玄海町が「文献調査」の受入れを表明

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昨日の敦賀市議会は広報広聴委員会を開催。
 
主に、市議会だより次号の内容確認と今年度の議会報告会について協議しました。
 
とりわけ、議会報告会に関してはここ2年、全議員が出席し、市民の皆さんにお越しいただく「参集型」と、議員を3グループに分け、市内の団体等に足を運ぶ「出前型」のハイブリッド方式で開催してきましたが、これを踏襲するのか、見直していくのかなどについて様々な意見がありました。
 
まだ内容が固まった訳ではないので、ここで詳細に記することは控えますが、めざす「開かれた議会、より身近に感じる議会」の考えのもと、一人でも多くの市民に参加いただき、関心を高めていただけるよう知恵を絞るのが本委員会の役割かと思いますので、引き続き委員の一人として、趣旨や原則論、ルールを重んじつつ、協議に参画してまいる所存です。
 
さて、同じく昨日の注目は、佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長が、高レベル放射性廃棄物等の最終処分地選定に向けた文献調査の実施を受け入れると表明したこと。
 
同町がこれに応募した場合、高知県東洋町(2007年に応募後、取り下げ)、北海道寿都町(2020年10月に応募、調査実施中)、同神恵内村(同時期に国から申入れ・受諾、調査実施中)に続くものとなります。
 
元々、町内団体からの請願があったことからすれば、地域の皆様が特定放射性廃棄物の最終処分と文献調査に高い関心を持っていただいたということであり、また、その後も町議会で議論を重ねたうえでの請願採択、そして脇山町長が前向きなご判断をされたことに心から敬意を表する次第です。
 
この判断に、マスコミはまたまた「核のごみ」のオンパレードですが、さすが正しく表記しているのが「原子力産業新聞」。
 
記事には、脇山町長の判断を受け、林芳正官房長官が記者会見で、玄海町による判断に対し敬意・謝意を表したうえ、「最終処分という国家的課題に対し、社会全体で議論を深めていく上で、非常に重要な一石を投じるもの」と、その意義を強調。海外の処分地選定プロセス事例にも言及し、日本においても「文献調査実施地域の拡大が重要」と、引き続き全国規模で議論していく必要性を述べたとあります。
 
また、地層処分事業実施主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)の近藤駿介理事長は、「最終処分は日本社会全体で必ず解決しなければならない重要な課題」との認識をあらためて示すとともに、引き続き「全国のできるだけ多くの地域に文献調査を受入れて欲しい」とするコメントを発表。
 
続いて、電気事業連合会の林欣吾会長からは、「発生者としての基本的な責任を有する立場から、国やNUMOとも連携しつつ、地域の皆様との対話活動を通じて、できるだけ多くの皆様との関心や理解が深まるよう取り組んでいきたい」とのコメントを発表したとありました。
 
以下の図(※1)に示すよう、文献調査は、高レベル放射性廃棄物等の処分地選定に向け、最終処分法で規定された最初の段階であり、関心を示した市町村を対象として、地域の地質に関する文献・データについて机上調査するもの。
 
(※1)資源エネルギー庁「総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 特定放射性廃棄物小委員会 第3回地層処分技術ワーキンググループ」(2024年5月2日開催)において、資料3としてNUMOが提出した「文献調査段階の評価の考え方」に基づいた評価及び検討のプロセス
 

【文献調査は、3段階の第1ステップ】
 
なお、地域には2年程度の文献調査期間中、国から最大20億円が交付されることを補足しておきます。
 
結びに、原子力立地自治体では初となる玄海町での文献調査受入れを皮切りに、今後、全国の多くの自治体でも手が挙がることを期待するとともに、ここ敦賀市、あるいは嶺南の立地自治体においても果たす役割があるものと、改めて認識を強める次第です。