国民に「還元する原資」は本当にないのか

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過去に税金を滞納していた神田憲次財務副大臣が事実上の更迭。
 
神田氏は9日に、自身が代表取締役を務める会社が保有する土地・建物について4回、固定資産税の滞納があり、差し押さえを受けたことなどを認めたものの、当初は辞任を否定していました。
 
これに対する野党各党からの批判、国民感情は言うまでもありませんが、辞任前時点で国民民主党 玉木雄一郎代表は以下のX(旧ツイッター)ポスト(投稿)。
 
「週が明けてもまだ辞めてないのか。与党は税制改正の議論をする前に滞納副大臣に辞めさせるのが先ではないか。どんな立派な税制を作っても信頼が無ければ税の賦課・徴収はできない。信頼のない者は税の現場から去れ。
 
明らかに怒っているのは、元財務官僚であった自身の信条から来る思いであり、まさに何日か前のブログで書いた「政治は信なくば立たず」と理解したところ。
 
その玉木代表。
 
このポストの後には、8日の衆院財務金融委員会で鈴木俊一財務相からあった、過去の税収増分は使用済みで「国民に還元する原資はない」との発言を踏まえ、自身の考えをポスト。
 
(以下、ポストを引用)
還元すべき税収がないとの批判が出ているが、それは補正後の税収上振れ分を0.17兆円しかないとみているからだ。1997年以降の税収弾性値の平均値を使って計算すれば税収の上振れは約9兆円になる。十分に「還元の原資」はある。名目GDPが4.4%も成長するのに税収が昨年度の71兆円より減るのはおかしい。
 

【令和5年度一般会計補正予算(第1号)フレーム(玉木代表のXポストより)】
 
2023年度決算が発表される来年7月頃に、「実は9兆円上振れてました」となる可能性は低くない。しかし、その時は減税の中身も決まってしまった後で、ときすでに遅しだ。与党議員にも税収の上振れ見通しについてはしっかり吟味してもらいたい。少なくとも+1710億円ではないだろう。
 
と述べています。
 
ここで出てくる「税収弾性値」を調べてみると、名目GDPが1%変化したときに税収が何%変化するかを示す値のことで、2021年度に4.2、22年度に3.0となり、これまで一般的に税収弾性値は1.1とされてきたことからすると、少なくとも近年の税収弾性値は政策当局の想定よりも高くなっていることが分かります。
 
また、2022年度は名目GDP成長率が当初予算時点での見通し+3.6%から実績は+2.0%に下振れしたにもかかわらず税収が上振れしており、具体的に同年度の税収を見ると、当初予算時点で65.2兆円であったのが、補正後予算で68.3兆円に上方修正。
 
最終的に決算時点では71.1兆円にまで上振れ(当初予算+5.9兆円)していました。
 
そう考えれば、今年度の税収は「少なくとも+1710億円」ではないだろうし、「ときすでに遅し」とならぬよう「与党議員にも税収の上振れ見通しについてはしっかり吟味してもらいたい。」との考えは十分に共感するところ。
 
神田氏の後任には、自民党の赤沢亮正衆院議員を起用したとのこと。
 
いわゆる「失われた30年からの脱却」の芽を開花までつなげることができるかどうか懸かっているのが「今」。
 
政府におかれては、「信なくば立たず」は言うに及ばず、慎重な景気への配慮をしつつ、税収上振れ見通しを明らかにしたうえでの財政運営をお願いいたします。