原子力小委員会にて中間論点整理がされる

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国道8号など、寸断されていた幹線道路が徐々に通行止めを解除するのに併せスタートしているのが、甚大な大雨被害となっている南越前町への災害ボランティア。
 
敦賀市からは市の職員が午前と午後に分けて派遣されたほか、私の勤務する日本原電も昨日からボランティア活動を開始。
 
また、嶺北の坂井市は市民参加向けのボランティアバスを運行するともあり、ここは福井県民一丸となって被災地の力にと思うところです。
 
かくいう私も何か少しでもお手伝いをと、明日11日は個人的にボランティアに申し込んだところですが、この暑さもあり、地域や親類縁者だけでは復旧が困難となっていることから、我こそはという方はぜひご協力いただけますようお願いいたします。
 
さて、ここ数日は災害関連のことを記載してきましたが、その間にも様々なことが進んでいるもの。
 
中国と台湾の緊張や内閣改造など関心事は多々あるところですが、日々話題が尽きないのは原子力政策。
 
経済産業省総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会の下部に置かれている「革新炉ワーキンググループ(革新炉WG)」では、7月29日の会合で「革新軽水炉を優先して開発を進める」との方向性や各炉型ごとのロードマップなどを示した中間整理案を取りまとめたところですが、昨日9日は、その内容が原子力委員会に報告された後、意見交換がされました。
 

【「革新軽水炉」導入に向けた技術ロードマップ(8月9日:委員会配布資料より抜粋)】
 
 →8月9日の原子力小委員会における配布資料はこちらをご覧ください
 
冒頭、挨拶に立った経済産業省の細田健一副大臣は、革新炉開発に関し、「今後のわが国の原子力技術の発展のため必要不可欠」と述べ、活発な議論を期待したほか、委員として出席した杉本達治氏(福井県知事)からは、「将来の原子力規模と道筋」の明確化を要望するとともに、折しも8月9日に美浜発電所3号機事故から18年を迎えたことに際し、当時の状況を、「西川一誠知事のもと、大変緊張して対策に取り組んだ」と振り返りながら、立地地域として改めて「原子力発電は安全確保が最優先」と強く訴えました。
 
また、専門委員として出席した全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)の坂田幸治会長は、「既設炉の再稼働と長期安定運転の実現なくして、革新炉開発の道筋を切り拓くことは困難」と指摘したうえで原子力事業による地域経済の活性化や雇用創出にも言及し、「人材・技術やサプライチェーンの維持・強化、そのための事業環境整備の必要性を強く打ち出すことが重要」と強調しました。
 
前者は原子力発電所立地地域、後者は原子力を含む電力関連産業で働く者を代表しての発言でありますが、両者とも決して自分達の地域や職域へのメリットのためではなく、わが国の根幹を成すエネルギー政策を真剣に考えるからこその意見であることをご理解いただけるのではないかと思います。
 
今回の原子力小委員会では、革新炉WGの中間整理案と合わせ、資源エネルギー庁が同委員会の中間論点整理案として、「原子力の開発・利用に当たっての“基本原則”の確認」「将来を見据えた研究開発態勢の再構築」など5項目について整理。
 
なお、専門委員として出席した日本原子力産業協会の新井史朗理事長は、以下を要望。
 
1.原子力の持続的活用・長期的な利用に関する国からの明確なメッセージ発出
2.建設中を含めまだ再稼働していないプラントの早期稼働の実現と新増設・リプレースの検討開始
3.原子力発電への国民理解・信頼獲得に関係者が一丸となって取り組むこと
 
この3点に関しては、全くもって私も同感。
 
とりわけ、1.にあるよう、国が明確な考えを示すことなくして進められない訳であり、今度こそは検討させるだけさせて何も変えない「時間の浪費」となることなきよう、岸田総理には覚悟を決めて「政治判断」されることを期待する次第です。
 
電力需給逼迫にこの国際情勢を踏まえ、今判断せねば、エネルギー安全保障上、本当に手遅れになりかねなとの危機感を抱いているのは、決して立地自治体や電力関連産業に勤めている者だけではないのですから。