「海洋放出」開始に向けた設備・保安上の準備が整う

ブログ 原子力 政治

安倍晋三元首相がテロリストの凶弾に倒れてから今日で1年。
 
志半ばでこの世を去った安倍氏を改めて追悼いたします。
 
また、暴力で命を奪い、言論を封じる行為は民主主義への挑戦であり、断じて容認できない旨、私たちが今一度思いを強めることが、安倍氏の死を無駄にしないことと認識するところ。
 
規模は違えど、私も同じ街頭に立つ者として、そのことを胸に置き、今後も言論を大事に活動していく所存です。
 
さて、話題を変え、7月4日に国際原子力機関(以下、IAEA)より日本政府に対し包括報告書が提出された福島第一原子力発電所※ALPS処理水の海洋放出について。
 
※ALPS処理水
トリチウム以外の放射性物質が、安全に関する規制基準値を確実に下回るまで、多核種除去設備(ALPS)等で浄化処理した水(トリチウムを除く告示濃度比総和1未満)のこと
 
今度は、原子力規制委員会(以下、規制委)が7日、東京電力に対し、同ALPS処理水の海洋放出に係る移送/希釈/放水の各設備について、使用前検査終了証を交付しました。
 
これにより、ALPS処理水の海洋放出設備について、規制委による使用前検査はすべて完了したこととなります。
 

【海洋放出を待つ、ALPS処理水を貯留するタンク群】
 
ALPS処理水の海洋放出設備は、2022年8月に設置工事が開始され、2023年4月26日には放水トンネル(長さ約1km)が完成。
 
6月26日にすべての施設の設置が終わり、同30日に最終の使用前検査が実施されていたところ。
 
なお、ALPS処理水の処分に関する関係閣僚会議は2023年1月に、「海洋放出設備工事の完了、工事後の規制委員会による使用前検査、IAEAの包括的報告書等を経て、具体的な海洋放出の時期は、本年春から夏頃を見込む」との見通しを示しています。
 
つまり、ALPS処理水の安全性レビューに関するこの包括的報告書は既に日本政府に提出されており、今回、使用前検査が終了したことから、海洋放出開始に向けた設備・保安上の準備は整ったこととなります。
 
後は政治判断のみ。
 
先般、公明党代表から「海水浴シーズンは避けるべき」との発言がありましたが、政府はいつ、どう判断するのか。
 
条件が整ったのに実行しないのでは、結果、言われもないデマを流して海洋放出を批判する中国の圧力に屈しているのと同意であり、今こそお墨付きをもらった「科学的根拠」をもって、然るべき判断を下していただくことを強く求める次第。
 
冒頭述べた民主主義とは、大衆迎合でもデマに怯むことでもなく、客観的事実をもってリーダーが判断し、国家的課題を解決することでもあると考えます。
 
それができるかどうか、国内はもとより、国際社会に対しても、毅然とした態度で日本が前に進めるか否かは、この海洋放出の判断に掛かっているといっても過言ではありません。
 
(参考)ALPS処理水のことを詳しく知りたい方は、以下、東京電力HPの「処理水ポータルサイト」をご覧ください。
 →「処理水ポータルサイト」はこちら