琴線に触れる「御巣鷹の尾根」

ブログ 人生観

「琴線に触れる」の意味とは、「感じやすい心情、心の奥に秘められた感動し共鳴する微妙な心情」と広辞苑にはあります。
 
普段過ごしていて、そう頻繁にあるものではありませんが、昨晩は「琴線に触れ」涙してしまいました。
 
それは、たまたま見ていた「ザ!世界仰天ニュース」という番組で、航空機単独事故としては世界最多の乗客、乗員520人が犠牲となった1985年8月12日の日本航空ジャンボ機墜落事故を特集したスペシャル番組。
 
機体を制御するすべての油圧機構を喪失し、極限の緊張にあったコックピットの32分間、乗客やその家族の人間模様を再現した番組でしたが、琴線に触れたのは、大きく揺れる機体の中で、死を覚悟し家族にメモを残した父親や、後にメモを確認し泣き崩れる家族の心情。
 
結婚を夢見た彼女を失った力士が、いつまでもその彼女を思い続けつつも、悲しみのどん底から奮起し人生を送る姿などでしたが、すべて共通するのは、「突如として」最愛の人を失ったということ。
 
力士のエピソードの場面では、涙を堪えきれず号泣してしまいましたが、遺族会の方が仰っていたのは、「このような目に遭う人を生まないよう、事故を風化させないこと」、「普段の生活を当たり前と思わないこと」でした。
 
前者に関しては、日本航空が回収した機体の一部を展示し、事故の教訓を語り継ぐとともに、新入社員は必ず墜落事故の現場「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)に登るなど、航空会社自らが「二度と起こさない」よう取り組みを続けるほか、昨晩のテレビ番組のように、メディアでも取り上げ続けることは大変重要なことと受け止めた次第です。
 
そうした思いに耽りつつネットニュースを見るとちょうど、「御巣鷹の尾根」が冬季閉鎖期間に入るのを前に、管理人さんや日航社員らが14日、墓標の清掃などの冬支度をしたとの記事が。
 

【尾根に続く登山道を封鎖する管理人さん(THE SANKEI NEWSより)】
 
うっすらと霜が降り、冷たく澄んだ空気が流れる尾根。
 
管理人さんは犠牲者それぞれの墓標前の花立てに水がたまって凍らないよう一つ一つを伏せ、慰霊碑の前に造花を飾った。「(今季は)登山中の事故なく閉山を迎えられてほっとしている。今後も整備を続け、霊山を守っていきたい」と語ったとのこと。
 
尾根への登山道は14日夕で閉鎖し、来年4月29日に再び開く予定とのことでしたが、こうした事故の教訓を自分自身に生かすこととすれば、先にあったご遺族の言葉「普段の生活を当たり前と思わないこと」。
 
人生には、上り坂、下り坂、「まさか」の3つの坂があると言いますが、その「まさか」が起きた時でも悔いなきよう、愛する人や大切に思う人との時間を大事に、そして自身の人生も一日一日、一生懸命に過ごしていくことと、涙とともに胸に留めた次第です。