強い寒気により電力供給も緊急事態

エネルギー ブログ

「爆弾低気圧」による大雪は、今のところ予報を裏切り、ここ敦賀ではまとまった降雪がないばかりか、昨日は青空が広がる冬晴れ。
 
路面状況の確認を兼ねて、早朝少し歩くと、凛とした空気に一面真っ白、眼前には朝陽に照らされる野坂山と冬ならではの風景に出会うことが出来ました。
 

 
雪の心配は少し和らいだものの、久しぶりに見る「氷柱(つらら)」と凍結する路面、家の風呂場の窓まで凍って開かないというのも久しぶりではなかったかと。
 
それもそのはず、敦賀測候所データによると昨日の最高気温は2.7度、最低マイナス2.4度と、とにかく一日中気温が上がらず寒い一日となりました。
 
この寒気により、今年一番の冷え込みとなっているのは、もちろん敦賀だけではなく全国各地に及んでいる訳ですが、これを表すのが電力需要。
 
北陸電力送配電エリアにおいては、爆弾低気圧による寒冷な気候条件が続いていることにより、昨日8日の最大使用率は99%(12時〜13時)。
 
11時から16時にかけては同エリアの需給バランスを保つ調整力電源等の供給力が不足し、電気の需給状況が悪化(需給>供給)する恐れがあったため、東京電力パワーグリッド株式会社、中部電力パワーグリッド株式会社から最大30万kwの電力融通を受けるという状況となっています。
 →→→「北陸エリアでんき予報」はこちらから
 

【本日9日の電力需給実績グラフ。緑の折れ線は昨日8日の実績を表しています。】
 
なお、北陸電力送配電に融通する東京電力パワーグリッドにおいては、東北電力ネットワーク株式会社から最大157万kWの電力融通を受けたほか、お隣の関西電力送配電においても使用率は98%に到達しており、まさに各エリアで綱渡りの電力供給状況となっており、「電力供給の緊急事態」とも言えると受け止めるところです。
 
こうした状況となっている理由のひとつは、当然の如く寒波で電力需要が伸びていること。
 
一日中、暖房器具をつけたまま過ごすなど需要が高まることは容易に想像できます。
 
もうひとつは、東京電力パワーグリッドが電力融通を受けた際に出したプレスに表れています。
 
以下、プレス文を引用。
 
「当社サービスエリア内における連日の低気温の影響により電力需要が増加し、LNG火力発電所が計画を上回る稼働を継続していることで燃料在庫が減少したため、発電事業者の持続的な供給力(発電電力量(kWh))が低下し、年明けから厳しい電力需給状況となっていることから、安定供給を確保するために他の一般送配電事業者から電力融通を受けたものです。」
 
ちなみに、北陸電力送配電については冒頭に述べた通り、「需給バランスを保つ調整力電源等の供給力が不足し、電気の需給の状況が悪化する恐れがあったため」とプレスでも述べられています。
 
つまりは、東京のプレスにあるようにLNG(液化天然ガス)の不足が原因であり、調達不足が深刻化していることが背景にあるとのこと。
 
大きくこの二つの要因が重なって発生している電力需給のピンチであり、これは偶然ではなく必然のものと認識するところであり、各電力会社においては、電力需給状況の改善を図るため、電力広域的運営推進機関に電力融通を依頼のうえ対応しているというのが現状であります。
 
そして、もう一つ認識しておかなくてはならないことは、安定した電力供給は「需要と供給のバランス」が釣り合って成り立っているということ。
 
つまりは、どちらかが大きく崩れると一部の人が使えなくなるのではなく、2018年に北海道で発生した「ブラックアウト」が記憶に新しいよう、全体が崩壊(停電)することになるという特殊性を強く頭に入れて置く必要があります。
 
「じゃあ電源は他に無いのか」ということになりますが、ソーラーパネルが雪に埋もれてしまっている太陽光発電は戦線離脱で論外。
 
原子力で言えば、北陸の志賀原子力発電所2号機は135万8千kW、日本原電の敦賀発電所2号機は116万kWと起死回生の戦力になり得る訳ですが、全て審査のため停止中。
 
「たられば」を言ってはいけませんが、この原子力が稼働していれば、厳寒時の需要にも十分耐え得るベースロード電源が確保できることを思えば、本当に「宝の持ち腐れ」であると忸怩たる思いが込み上げてくるところであります。
 
無いものねだりをしていても仕方ありませんので、これ以上は止めます。
 
何をさて置き、需給が逼迫している折迎えるこの三連休、私たちに出来ることは「節電」しかありません。
 
寒さは凌がねばなりませんので、各ご家庭においては、一枚多く着てカイロを貼り、一つの暖房器具や照明のスイッチを切ることにご協力いただけますようお願いいたします。
 
なお、こうした状況を踏まえ、安心で安定的な電源構成のあり方についてもご一考いただければ幸いに存じます。