審判の誤審と政策の誤算。責任は誰が取るのか。

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「球春到来」の選抜高校野球。
 
大会第2日の昨日は、第1試合で地元敦賀気比高校が広陵高校(広島)と対戦。
 
両監督ともに「5点勝負」と予想するも、広陵の切れ目のない迫力のある打線が終始圧倒し、0-9で敗戦。
 
平成27年以来の頂点を目指す敦賀気比にとっては、悔しい初戦敗退になったかと思いますが、また夏に向けて奮闘を期待したいと思います。
 
また、この試合では球審が誤審を認めて場内アナウンスで異例の謝罪を行うという珍しいことがありました。
 
四回裏の広陵の攻撃で、無死一塁から一塁線へ送りバントを試みた際、ファウルと思われた打球はライン上のフェアゾーンに戻ったため、これを見た球審はフェアと判定。
 
打者走者は一塁でアウトになったものの、二塁塁審はファウルのジェスチャーをしていたため、これを見た一塁走者は二塁への走塁をやめ、一、二塁間で挟まれアウトになりました。
 
私もこのシーンを見ていて、明らかにミスジャッジと思った訳ですが、その後、4人の審判が協議を行い、二塁塁審に誤審があったとし、犠打による走者の二塁進塁が認められました。
 
判定後、球審は場内アナウンスで状況を説明し、「私たちの間違い。止めたランナーを二塁に進めて再開します。大変申し訳ありません」と謝罪した。
 
過去にも、協議のうえ審判の判定が覆るケースはあったかと思いますが、「大変申し訳ありません」とまで謝罪されるのはあまり聞いたことがなく、逆にこうした姿勢に清々しさを覚え、テレビの前で称賛の拍手を送った次第です。
 
称賛は言い過ぎかも知れませんが、審判も人間で絶対はない訳ですので、誤った判定を修正することには許容する度量を持って観戦したいと思うところです。
 
さて、「判定」を「政策」の言葉に置き換えた場合に、全く「修正」されないのが「エネルギー」の問題。
 
昨日の福井新聞にも、電源を持たない新電力の撤退或いは調達価格高騰を受け、受付し切れないきほどの需要家が北陸電力に流れているとの記事がありましたが、これがまさに今の電力システムを物語る事実。
 
これに関して、他社が作った電力卸市場での売買で利益を得、調達価格が上昇、経営に影響があるとなれば顧客を放ったらかして撤退してしまうこと自体が、ライフラインである電力を取り扱う者として無責任極まりないと思う訳であり、こうしたシステム自体を作ってしまったことの負の問題が浮き彫りになっていると思うもの。
 
加えて、根底にある電力需給の問題。
 
今冬も数度、全国での電力融通で何とか供給を維持している状態であることは以前から述べているところですが、さらに先般の福島県沖で発生した地震の影響により、沿岸の火力発電所が相次いで停止となったことから、その厳しさに拍車が掛かっている状況にあります。
 
現に東京電力ホールディングスは、昨日ホームページのトップに「お知らせ」を掲載し、「週明け22日以降の天気予報では、関東地方の気温が低くなることが予想されており、電力需給が厳しくなる可能性があります。福島県沖を震源とする地震の影響による供給力の低下が継続しておりますので、引き続き、日常生活に支障のない範囲での効率的な電気のご使用にご協力をお願いいたします。」との要請をしています。
 

【東京電力ホールディングスの今日の「でんき予報」。明日以降は深刻な厳しさを迎えます。】
 
何度も申し上げるようで恐縮ですが、これは厳冬だからという一過性の次元でなく、電力自由化、原子力発電なきまま急拡大させた再生可能エネルギー導入による弊害(採算の合わない火力発電所の廃止や停止)が、これまた問題として浮き彫りになっていると言わざるを得ないと考えます。
 
私は、明らかに政策の「ミス」だと考えますが、この責任は一体誰が取るのでしょうか。
 
国民民主党の玉木代表は、昨日Twitterでまさにこのことを指摘しつつ、原子力発電所の早期再稼働を求める声を挙げているほか、自民党の議連でもそうした意見が高まるところですが、エネルギー危機を前に政府は一体どう考えているのか。
 
「何とか供給を」との電力事業者任せ、「節電をお願いします」の国民任せでは、この危機を乗り越えられないばかりか、電力需要と経済成長は比例の相関関係にあることからすれば、現実的に供給力を増やさなければ、企業活動や経済活動も縮小の一途を辿る、即ち二流国に転ずる可能性すらあると真剣に思う次第です。
 
以前に、フェアゾーンにあるボールをいかにファウルゾーンにするかが官僚の仕事、つまりは「いかに責任を取らないようにするか」だと聞いたことがありますが、この事態を前に、仮に誤算であったのだとしても政策を修正することはしていただきたいと考えます。
 
欧米各国は、間髪入れずエネルギー政策の転換(再エネ偏重から原子力発電利用に)を図っています。
 
岸田総理は夏の参議院選挙まで安全運転を貫き通すつもりなのか、いつまでも「検討する」でのらりくらりですが、そうしている場合ではありません。
 
冬を乗り越えても、参議院選挙の頃にはまた同じことを繰り返します。
 
電力需給逼迫とエネルギーコスト上昇に怯えて過ごす日本から脱するために、今こそ政治判断すべき時です。