2020年2月16日
国民の生命を守る「自衛隊」と「水道事業」
昨日は、私にとって「守る」ことの重要性を再確認した1日。
午前中は敦賀市上水道課の災害対策訓練、夕刻からは敦賀防衛懇話会の定期総会、講演会、懇親会に出席しました。
まず、昭和浄水場にて行われた上水道課の災害対策訓練について。
敦賀市では、これまでも日本水道協会の災害対策訓練にも参加する中、昨年の台風15号、19号での大規模停電において約14万戸、約17万戸の断水(給水停止)が発生したことを踏まえ、市内全域で供給電源を喪失した際においても安全に給水するための措置を講ずるべく、日頃より訓練にて備えているというものでした。
市内各エリアの配水池や中継点に給水するためのポンプは電動駆動であり、停電時にも必要な電源を供給すべく、昭和・中郷・手筒の中枢拠点には自家発のディーゼル発電機を設置しており、この日も自家発の起動により電源供給されることを確認。
ひとつの浄水場で自家発の多重化(複数台設置)までしていないものの、上記の3拠点でカバーし合って給水は賄えるとのことでした。
また、訓練に併せ、昭和浄水場内の施設見学と水道事業に関しても説明をいただきました。
お伺いした内容は以下の通り。
【施設・設備保全関係】
◉昭和40〜50年代に急速に水道管敷設した鋼管、VP管の老朽化(腐食や割れ)対策が急務。
◉対策にあたっては、物理的強度に優れるダクタイル鋳鉄や耐震性に優れる配水用ポリエチレンを採用。病院や避難所など、絶対に給水を止めたくないエリアにはダクタイル鋳鉄を敷設し、万難を配している。
◉機動性のある給水車(予備タンクも保有)や災害時にも使用できる「膜ろ過装置」も有しており、実際に手の浦、色地区などで3年間使用した実績もあり。
◉漏水対策に関しては、以前は市内を6分割、3分割、最近では2分割で大規模な点検・調査を行っている。
◉白銀地区で多く漏水確認がされたりもしたが、2年目には大きく減少。音調やメーター検診時にも調査を行うなど漏水対策にも力を入れている。
◉漏水対策に関しては、拡大した場合、道路の陥没による事故など社会的影響にも繋がりかねないことから、小さいうちに芽を摘むことが重要とし取り組んでいる。
◉断水や漏水発生時などに迅速に対応するため、管工事組合が2班体制で24時間スタンバイしている。
(ちなみに、水質と水量に関しては・・・)
◉敦賀市内の21箇所の井戸(深さ80m)を水源とする地下水は、そのまま飲料水として飲める良好な水質。
◉何もしなくても良いとは言え、水道法に基づく滅菌処理として0.2ppm(風呂の湯船に一滴落とす程度)の次亜塩素を注入している。
◉この注入量については、東京が0.4ppm、大阪は0.6ppmであるとのことであり、敦賀の水の良質性を有り難く感じました。
◉地下水量に関しては、ここ2年積雪量が少なくともそれ程の影響は無く、地下3〜5mの地下水も安定している。
【水道事業関係】
◉昭和36年に木の芽川水系の地下水を水源とし、8回に亘る拡張事業を経て、平成28年には未普及地域の解消を完了。
◉令和3年度に新幹線関連の整備が終われば、新設事業としては全完了となる。
◉市内の水道使用料に関しては、10年前に約34,000m3であったが、現在では人口減少等の影響により約30,000m3まで低下している。
◉これまでは、拡張〜使用料増〜収入増の構図で事業を進めてきたが、拡張なき今、これからは収入増を見込めない中でどう供給維持をしていくのかが課題になっている(全国的にも共通するもの)。
◉事業形態においては、例えば病院であれば、人件費がほぼ半分を占めるが、水道の場合は減価償却費が半分を占める。人件費は約10パーセント。
◉つまり、病院は「人」、水道は「設備」の事業ということであり、減価償却費を減らすことが、経営効率を上げることであるが、設備を無くしたり、メンテナンスしないということは出来ないことから、「限られた財源で老朽化対策」を行うことが担う役割と言える。
◉現在、企業債は60億円となっており、これ以上は借金のための借金となることから、慎重な検討を重ねたうえで使用料の改訂をお願いする方向となっている。
「百聞は一見に如かず」。
施設内見学では、漏水した腐食や割れた配管も拝見し、安定的に供給していくために老朽配管を再整備していく事業規模と必要性は十分理解することが出来ました。
最後にあった水道部長の言葉。
「蛇口をひねれば“当たり前”に出る水道ですが、この“当たり前”をいかに安価で安定的に供給し、維持していくのかを常に考え取り組んでいる」との思いは、電気とまったく同じであり大いに共感。
議員の立場としても、機会を捉え、こういった実情や取り組みを市民の皆さんにお伝えしていきたいと考えます。
視察の最後には「利き酒」ならぬ「利き水」。
①ミネラルウォーター、②蒸留水、③敦賀の水道水の3種類から当てるというものでしたが、見事当てることが出来ました。
これも「当たり前」に安くて美味し水が飲めること自体が幸せなことですね。
会員として出席しました敦賀防衛懇話会では、定期総会から講演会、懇親会と3部構成で進みました。
「陸海空自衛隊の隊員が安んじて任務に邁進できるよう民間防衛基盤の育成強化を図り、自衛隊の実施する各種行事の支援協力を行う」ことを目的とするこの会。
この日も鯖江、小松、今津、舞鶴など各地の基地、駐屯地より自衛隊員の皆さんも来場のもと開催されました。
中でも、「我が国を取り巻く安全保障環境・第10師団の活動について」と題した陸上自衛隊第10団師団長の鈴木直栄陸将の講演では、ロシアのクリミア併合が「ハイブリッド戦」と呼ばれたように、既に他国は「宇宙・サイバー・電磁波」などに軍事技術を進展させいることや中国の空母建造など軍事力強化、第一列島線・第二列島線に示される領空・領海の実行支配に向け進んでいること、さらには北朝鮮のミサイル技術強化など、日本として全く予断を許さない状況が続いていることを改めて知ることが出来ました。
特に中国に対しては、自衛隊として、尖閣諸島周辺のパワーバランスを保つべく、与那国・宮古・石垣に陸上自衛隊を配置し、監視・対応力強化しているとのこと。
先般の海上自衛隊の中東派遣に反対する声などもありましたが、現実はこのようにプレッシャーの掛け合いであり、お花畑の理想主義では国家は守れないと強く感じた次第。
その後の懇親会においても、自衛隊各部隊の皆さんともお話しすることが出来、大変有意義な時間を過ごしました。
この日、見て聞くことが出来た「水道」と「防衛」。
ライフラインと国防でステージはやや違えど、国民の生命を守るという意味では全く同じ。
それぞれのお立場で使命と誇りを持って、事業・活動にあたられる皆さんに感謝と敬意を表するとともに、今後も我がことと胸に置き、考え行動したいと考えます。