「順理則裕」の企業理念とともに。時代を見据え進化する「TOYOBO」

ブログ 働く仲間とともに

NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公であり、2024年に変更される新一万円札の顔となる人物といえば、「資本主義の父」と呼ばれる「渋沢栄一」氏。
 
そして、その渋沢栄一氏が、「東洋一の紡績会社」を目指し、「順理則裕」の企業理念を掲げて設立されたのが「TOYOBO(東洋紡)」であります。
 
「順理則裕」(理に従えば、すなわち裕かなり)とは、人としてあるべき倫理観や合理性、論理性を表し、TOYOBOの発想の基はここにある。
素材メーカーから、未来の暮らしをつくるメーカーヘ。
TOYOBOは変わり続けます。
 
と企業パンフレットにも書かれている訳ですが、そうした企業理念を忠実に守り、TOYOBOの前身の「大阪紡」(1882創立)から数えれば、140年近くの歴史を持つ東洋紡敦賀事業所に昨日はお伺いしてまいりました。
 

【応接室に掲げられた、渋沢栄一氏直筆の「「順理則裕」」の文字。敦賀事業所のものはレプリカで、本物は大阪の本社にあるとのこと。】
 
お伺いするメインの目的は、東洋紡の労働組合さんより市政報告会にお招いたことにある訳ですが、そのことを耳にした事業所(会社側)さんから報告会の前に説明の場を設けていただけるということで、同会派の今川博議員とともにお伺いした次第。
 

 
コロナ禍により、工場見学までは出来ませんでしたが、事業所説明においては、パワーポイントでの机上説明に加え、「N Room」と呼ばれる展示室にて事業所ヒストリーのパネルや製品の実物を見学するなど、充実した説明をいただきました。
 

【展示室「N Room」の様子】
 
東洋紡敦賀事業所が、敦賀の地に工場を置き、製造を開始したのが1934年。
 
レーヨン(人絹糸)の生産からスタートをし、1973年には基礎でもあるレーヨンの生産を停止したものの、時代の流れとともにフィルム・バイオ・高機能製品と、その事業内容を変え、現在では高機能製品の拠点して成長を遂げ、東洋紡の基幹事業所として研究から生産まで完結する体制を整えているとのこと。
 
これまでにない価値で未来をつくる機能性、より安心でサステナブル社会を実現するために、素材の持つ次の可能性を追求し続けるともあり、まさに企業理念の「「順理則裕」に沿った事業運営であると感心した次第。
 
敦賀事業所で生産している製品を若干ご紹介しますと、フィルムの分野では、ペットボトルと同型素材を用いたポリエステルフィルム(ペットボトルの包装フィルム」)や工業用フィルムでは液晶ディスプレイなどに用いられる超屈折ポリエステルフィルム、セラミックコンデンサの製造工程で使用する離型フィルム。
 
ポリマーの分野では、自動車部品、電子部品などに使われるポリエステル樹脂(PET)やナイロン樹脂、ホット用ペットボトル。
 
機能材の分野では、エアバック素材、サンダーバードの座席に使用されている3次元スプリング構造体「ブレスエアー」、釣り糸や船舶用ロープに使用される超高強度ポリエチレン繊維「イザナス」、世界一の強度・弾性率を有し、耐熱・難燃性においても最高レベルを誇る(消防服などに採用)PBO繊維「ザイロン」など。
 
そして最後はヘルスケア分野で、臨床検査薬用原料酵素、臨床検査機器、ライフサイエンス用研究試薬などを敦賀バイオ研究所、バイオ工場で生産し、微生物発酵と遺伝子測定を基幹技術に事業領域を拡大しているとのことでした。
 
こうして、国内、世界でもトップシェアを誇るような様々な製品を生み出している会社であることに改めて驚きましたが、ここ最近でいえば、新型コロナウイルスの「PCR検査」キットが有名。
 
バイオ研究所の所長さんにもお越しいただき、実物を前にお話しを伺うに、敦賀バイオ工場では6種類の試薬を開発し、厚生労働省の承認が要らない「研究試薬」と承認が必要な「体外診断試薬」の両方の生産体制を整えているのはTOYOBOだけとのこと(現在は、タカラが追随)。
 
また、30年来のバイオ技術を生かし、コロナ第1波の際には、検査前処理を不要とし、大幅に時間短縮する技術にてPCR検査キットを開発。
 
医療機関への提供はもとより、迅速な検査が求められる空港などにて使用され、国内シェアの1/3を誇りつつ、現在の第3波では生産が一杯一杯の状況であるとのことでした。
 
敦賀で培われた生まれるバイオ技術がこうして人命を救う、まさに社会に貢献していることは、本当に誇らしいことだと感じた次第です。
 
こうして説明を終え、展示室の「N Room」では歴史ウォールや事業・製品紹介、体験展示、人物展示などを拝見。
 

 
なかでも人物展示は、敦賀事業所を支えてこられた方々を大切に、様々な写真が思い出とともに収納されているようで、社員とその家族までをも大切にする社風が現れているように思えました。
 
実は、私の両親も敦賀事業所で長年に亘りお世話になった訳ですが、何とこの人物展示の中に、母に聞き取りをしたコメントが載っていると教えていただきました。
 

【母にヒヤリングをして記載したとされるメッセージ】
 
拝見しますと、中学を出て、新潟からはるばる敦賀にやってきて寮生活をする中で、親を心配させまいと過ごしていた言葉に正直感動しました。
 
全盛期は3,000人が工場に勤め、うち2,000人の男女が寮生活を送っていたと聞くに、母のコメントと同様な気持ちをもって多勢の方が過ごされていた情景も浮かんだ次第。
 
こうして、予定の1時間を20分も過ぎ、熱心にご説明いただいた訳ですが、世界、国内に誇る高い技術・製品の数々、そして140年近くに及ぶ歴史、そして渋沢栄一氏から授かった理念。
 
伝統と歴史を重んじつつ、新たな変革の時代に果敢にチャレンジしている「TOYOBO」から得るもの多き時間となりました。
 
ご対応いただきました皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。
 
メインであった労働組合さんへの市政報告会については、この後、別会場にて開催いただき、お仕事上がりでお疲れのところ執行委員の皆さんにお集まりいただき、耳を傾けていただきました。
 

【労働組合さんへの市政報告会の様子】
 
コロナもあって、こうした報告会開催は久方ぶりでしたので、私のパワポ資料も言葉も盛り沢山になってしまった感はありましたが、委員の皆さんからも活発なご意見、質問も頂戴しありがたい限り。
 
日頃よりお支えいただいている東洋紡の職場の皆さんの声を少しでも多くお伺いし、自身の活動、市政に反映していけるよう今後も頑張らねばと喝を入れた次第であります。
 
渋沢栄一氏が目指した「東洋一の紡績会社」は、社名から「績」の字を取ろうともしっかりと企業、そして社員の胸に生き続けている。
 
こうした素晴らしき企業が敦賀にあるんだということをより知っていただき、注目・関心を高めていくことも私の立場(議員)としての役割と思うところでもあり、その点、ここで青春から晩年までを過ごした両親の顔も浮かべつつ、広く発信していきたいと思います。