「文化財保護法改正案」が閣議決定 〜無形のものを守り、生かすことの大切さ〜

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法改正と言えば、最近ではもっぱらコロナ特措法(正しくは新型インフルエンザ等対策特別措置法)のことが取り上げられていた訳ですが、昨日新聞を読んでいると私にとって嬉しい法改正の動きが掲載されていました。
 
それは「文化財保護法改正案」であります。
 
この改正案は、演劇や音楽などの無形文化財と、食文化やお祭りなどの無形民俗文化財を保存・活用すべく、新たに「登録文化財」の対象に加えることで幅広く保護の網を掛けるのが狙いであり、政府は5日に閣議決定、今通常国会での成立を目指すとのこと。
 
さて、この文化財保護法に関しては、昭和25年に制定されて以降、その名の通り我が国の貴重な文化資源を大切に保存することを目的とし、名勝や景観なども組み入れ枠を広げてきた訳ですが、直近では平成30年に改正されています。
 
改正に至る審議会においては、「文化財の確実な継承に向けたこれからの時代にふさわしい保存と活用の在り方について」、「これまで価値付けが明確でなかった未指定を含めた文化財をまちづくりに活かしつつ、地域社会総がかりで、その継承に取り組んでいくことが重要」との答申がされました。
 
これを踏まえ、改正法案の趣旨を「過疎化・少子高齢化などを背景に、文化財の滅失や散逸等の防止が緊急の課題であり、未指定を含めた文化財をまちづくりに活かしつつ、地域社会総がかりで、その継承に取組んでいくことが必要。このため、地域における文化財の計画的な保存・活用の促進や、地方文 化財保護行政の推進力の強化を図る。」とし国会に提出。
 
いくつかの新たな条項の中で最も大きかったのが、「市町村は、都道府県の大綱を勘案し、文化財の保存・活用に関する総合的な計画(文化財保存活用地域計画)を作成し、国の認定を申請できる。計画作成等に当たっては、住民の意見の反映に努めるとともに、協議会を組織できる(協議会は市町村、都道府県、文化財の所有者、 文化財保存活用支援団体のほか、学識経験者、商工会、観光関係団体などの必要な者で構成)」との内容が盛り込まれたことでした。
 
私はこの点を取り上げ、まさに全国平均の約3倍の指定・登録文化財を有する敦賀市として、「地域計画」を策定のうえ総合的且つ体系的な施策として取り組むべきと意見提起したところ。
 
これに対し市からは、「他市町の取り組みも調査のうえ、来年度より取り組む」との前向きな答弁を頂戴し、方向性や思いは同じとありがたく思った次第です。
 
経過が長くなりましたが、こうした取り組みをさらに推し進めるべく、今回の改正案では、とりわけ「無形」のもの、先ほどのお祭りなどを始め、茶道や華道、書道のほか郷土料理、日本酒醸造なども対象に想定され、さらには現代アートやファッションなどについても、今後文化的価値を見極めていくこととなっています。
 
冒頭、「私にとって嬉しい」と表現したのは、まさにこうして地域に潜在的にある資源(文化)に法律がスポットをあて守り、生かそうとしている点にあります。
 
寺院や仏閣などに代表される「有形」のものと違い、生活文化は消滅しやすいと言えます。
 
つまりは、建造物だけを守っても、その中で営まれる生活文化が消えてしまっては、生活に密着した魂のない抜け殻(建物)だけが残ることになることを考えれば、やはり文化は人や生活とともにあるものと考えます。
 
平成30年、そして令和3年と続く「文化財保護法」改正は、時代の変化を見極め、いち早く保護の仕組みを整備し我が国の豊富な文化を守ろういう、国の覚悟や意気込みを感じるところであり、現代に生きる私たち自身こそその趣旨を正しく理解し、地域総ぐるみで役割を果たすことこそが、次代につなぐ、つまりは歴史をつなぐことであると思って止みません。
 

【写真は、敦賀市阿曽地区の伝統行事「相撲甚句」。300年以上前から続くとされ、少子高齢化の危機にあっても知恵を絞り継承されています。】