apple社のサプライヤーへの要求事項から思うこと

エネルギー ブログ

毎週水曜日は、西浦県道での辻立ちということで、昨朝も名子のヨットハーバーまで。
 
この日は若干雲の多い空模様ながらも、毎回表情を変える飽くなき敦賀湾を望みつつ、安定供給の一翼を担うべく発電所に向かう皆さんにご挨拶させていただきました。
 
回を重ねるごとに、手を振り返していただける方が増えている気がしており、今後も「継続は力なり」の思いのもと続けていく所存です。
 


【写真は自撮りで恐縮です】
 
さて、以前にApple社が発表したニュースで、製造パートナー110社以上がApple製品の製造に使用する電力を100%再生可能エネルギーに振り替えていくとし、同社が2030年までに目指す、事業全体でのカーボンニュートラル達成に向けた一歩となることや今回の計画が実現すれば、二酸化炭素(CO2)換算で年間1500万トン分の温室効果ガス削減に寄与し、これは毎年340万台以上の自動車を排除することに匹敵するとありました。
 
また、Appleは、サプライヤーが各社の再生可能エネルギーの目標を達成し、新しいクリーンエネルギーを世界中のコミュニティに届けられるよう支援するため、新たなツールの継続的開発、トレーニングなどの支援をしているともありました。
 
この際のリサ・ジャクソン副社長のインタビューでは、「取引先からは提案(100%再エネ切替え)にどんな反響があったのか?」との問いに対し、「ためらいが生じるのは理解できたし、驚きはしなかった。私たちと、決して脅しや二者択一を迫るのではなく、一緒にやっていきたいと考えている」とあり、この言葉が特に印象に残った訳ですが、「一緒にやっていきたい」という提案に関して、日本の取引先は以下のように述べています。
 
◉日東電工
「最大限、自己調達をできるような形で取り組んでいるところ。最終的には、この投資が、経済価値として、企業価値として返ってくると信じて進めている」
 
◉村田製作所
「(アップルの求めは)決して低い目標ではなくて、かなり難しい目標。これから国内外の企業が、サプライヤー(取引先)に対しても、いろんなことを求めてくると考えているし、そこにどう対応していくかというのが各企業の課題」
 
そんな矢先、ちょうど昨日は、電機関連産業で働く皆さんより、産別大の課題などについてご説明いただく場があり、その後の意見交換で私のほうからは、せっかくの機会ということで、サプライヤーとして電機業界全体としてapple社の要求をどのように受け止め、対応しているのかについて質問させていただきました。
 
福井県内でもappleのサプライヤー企業の工場が多くあり、既にこうした要求に応えるべく、自社の設備対応や非化石由来電力の調達にあたっているとのことでしたが、やはり認識としては、応えなければ従前同様の関係でなくなるとの危機感でした。
 
また、appleからは、エネルギーのことならず、時間外労働などの働き方に対しても厳しい要求があるということを聞き、驚きました。
 
こうして、部品調達の段階から世界標準としていることは、高い品質を目指すことの表れということが良く理解できた訳ですが、最後のオチには、「もちろん納期の要求も厳しい」と。
 
いずれにしても、世界の大企業の発想は一歩も二歩も先を行く、独創的なものであり、こうしたところから技術革新は生まれるものとも受け止めた次第です。
 
国内でもTOYOTAなどが、取引企業に対してクリーン電源調達を要求する動きがあるとも聞きますが、これからは使用している電気が何由来か、労働に対しても適正か否かで企業や製品の価値が変わる時代、世界の潮流となることは間違いないところ。
 
各自治体においても最近、「ゼロカーボン宣言都市」に手を挙げたとの記事を多く見ますが、中身を見ると「省エネを推進します」、「紙の使用量を低減します」の取り組みを掲げるのみであったりもして、ややパフォーマンス感が否めない部分もあります。
 
本質的な点を理解すればするほど、達成の困難さから、相当な覚悟なくば手など挙げれないと思うところでありますが、ここ敦賀はどうか。
 
確立した脱炭素電源である原子力発電の再稼働、力を入れて取り組んでいる水素(グリーン水素)の供給力拡大などにより、エネルギーに関して真の意味で価値を高められる都市、先のappleやTOYOTAのサプライヤーにとってもインセンティブが得られるエリアになるのではと考えるところであり、そうした点も頭に置き、現在、そして将来に向けた施策について考え、提言していきたいと思います。
 
なお、こうしたことに取り組むための基盤には必ず「人」の存在がありますので、「人への投資」がますます重要であることを付け加えさせていただき、本日のブログを閉じさせていただきます。