敦賀2号は「信頼と安心」のマイプラント

ブログ 原子力

本日の福井新聞1面には「活断層否定は困難 建屋直下との連続性焦点」のタイトル。
 
昨日行われた原子力規制委員会の「第1256回 原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」に関する記事で、日本原子力発電株式会社(日本原電)敦賀発電所2号機(敦賀2号)の「K断層の活動性評価」に係る審査の結果を報じたもの。
 
私自身もちろん注視していた審査会合であり、敦賀2号原子炉建屋の直下を通る「D-1破砕帯」が活断層か否かについて、①D-1破砕帯の延長線上にある敷地内断層「K断層」の「活動性」、②K断層が原子炉建屋まで延びているかの「連続性」 を論点に審査が進められており、昨日の会合ではまず①について、日本原電からのコメント回答がされた上で、規制委員会の審査チームとの共通理解として確認されました。
 
専門性が高く、膨大であるため、細かな内容まで記載することは控えますが、会合の最後に両者で確認された内容のトピックスだけ掲載いたします(YouTube画面のスクリーンショットより文字起こし)。
 

【原子力規制委員会・原子力規制庁のYouTube画面。昨日の審査会合は約5時間半。】
 
<以下、抜粋引用>
 
日本原電のコメント回答及びK断層の連続性評価に係るスケジュール等について議論を行い、以下の事項について、審査チームと事業者との間で共通理解となっていることを確認した。
 
[I.本日の審議結果]
 
1.K断層の活動性評価に係る事業者からのコメント回答
(1)事業者からのコメント回答に関し、審査チームから、以下の事項について確認した。
 ・事業者が、地層の堆積年代で示している凡例のうち、「不整合境界」については、時間間隙の程度に関わらず、堆積構造の観察結果で認定していること…など他3項目
 
(2)審査チームは、これまでのK断層の活動性評価に係る指摘事項について、事業者として全て回答していることを確認した上で、設置変更許可申請書及び補正申請書(以下、「申請書」という。)の内容について、事業者から説明を終えたことを確認した。一方、事業者からは今後引き続き、調査等 に取り組みたい旨の申し入れがあった。
 
(3)審査チームは、申請書におけるD-1トレンチの北西法面、原電道路ピット及びふげん道路ピットにおけるK断層の活動性評価について、3層の堆積年代が後期更新世以降である可能性が否定しきれていないこと等から、活動性を否定する地点として妥当とはいえないことを言及した。
 
2.今後の審査の進め方
今後の審査会合の進め方に関し、審査チームとしては、以下の事項について確認した。
現地調査について、K断層の連続性評価に係る地質データの確認を目的として、6月6日及び7日に実施すること
・K断層の連続性に係る規制庁職員による現地確認(4月17日、18日及び25日)の確認できなかった事項については、基本的には6月の現地調査において説明すること。
・K断層の連続性に係るコメント回答について、事業者は、できる限り6月中旬までに回答するとしていること。また、6月中旬までに回答できないものは、7月中旬までに全て回答するよう努力するとしていること。
・次回審査会合では、K断層の連続性に係る審査会合での未回答コメントへの回答についての議論を予定していること。
 
[II.K断層の活動性評価に係る審査チームの確認状況]
 
K断層の活動性評価に係る設置変更許可申請書及び補正申請書については、これまでの審査会合(6回)において、事業者から申請内容の説明及びコメント回答を確認し、また、D-1トレンチの現地調査(1回)を行った。これまでの審議を踏まえ、事業者が行っているK断層の活動性評価に係る審査チームの確認状況は、次のとおりである。
 
1.K断層の分布及び性状
(1)割愛
(2)K断層の走向・傾斜については、D-1トレンチ内で一様ではなく、一部大きく異なるものがみられること。また、K断層による変位については、基盤岩より上位の地層では複数に分岐し、上方に向かって断続的に出現するという特徴を有し、また、K断層による地層の変形については、元の堆積構造が分からない状況において、確かに変形によるものであると科学的に判断することは困難であること
 
(主要な確認事項)
K断層の活動性評価について、審査チームの主要な確認事項は次のとおり。
i)北西法面でのK断層の活動性評価について、3層中の細区分層は、2.に記載のとおり、地層の分布は面的な拡がりがなく局所的であり、地層境界も複雑で様々な方向に傾斜している。また、変形を受ける前の元の堆積構造がわからないこと等から、これらの地層に認められる傾き等が、変形を受けた 結果なのか、初生的なものか評価することはできないため、K断層による変形を受けた地層と、変形を受けていない地層を明確に分類してK断層の活動性を評価できないことから、3層中のK断層による変位・変形に基づき、K断層の活動性を否定することは困難であると評価できること
 
ii)北西法面でK断層の上方に見られる割れ目については、K断層の位置や形状が連続的ではなく、変位は上方に向かって断続的に出現するという特徴等を踏まえると、当該割れ目がK断層に関連していないことが十分に示されていないこと
 
iii)原電道路ピットでK断層の上方延長上に見られる割れ目については、K断層の位置や形状が連続的ではなく、変位は上方に向かって断続的に出現するという特徴を踏まえると、当該割れ目がK断層に関連していないことが十分に示されていないこと。
 
iv)ふげん道路ピット東法面(下段)で基盤面に向かって1層中でせん滅しているK断層については、付近のボーリング孔で確認した結果、基盤岩中で確認したK断層と一連のものであると評価していること
 
v)K断層の第四系の1層堆積以降の活動回数については、スケッチが限られた範囲しか示されていないこと、鉛直変位量が適切に評価されていないこと等から、断層変位の累積性は認められないとは言えず、K断層の活動回数が1回と評価することは困難であること
 
以上が、共通認識とされたことの抜粋であり、これをもって①「活動性」に関する審査を一旦終える形となりました。
 
なお、これに関し日本原電は、同じく昨日夜にプレスにてコメントを公表。
 
内容は以下のとおり。
 
(日本原電コメント)
 
敦賀発電所2号機の新規制基準適合性審査に係る当社の対応について
 
当社は、本日、第1256回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合において、敦賀発電所2号機の敷地内のD-1トレンチ内に認められるK断層の活動性について、これまでの審査会合や現地調査でいただいたコメント全てに対して回答しました。
 
本日の審査会合において原子力規制庁から、「D-1トレンチの北西法面、原電道路ピット及びふげん道路ピットにおけるK断層の活動性評価については、3層※の堆積年代が後期更新世以降である可能性が否定しきれていないこと等から、活動性を否定する地点として妥当とはいえないこと」との確認結果が示されました。
 
当社はこれまでに、K断層の活動性を否定するために様々なデータを提出してきました。原子力規制庁の確認結果に基づき、追加調査について検討してまいります。
 
当社は、引き続き、今後の審査に真摯に対応してまいります。
 
※3層:D-1トレンチの北西法面において、当社がK断層の活動性を評価した地層
 
以上
 
私の立場から言及することは控えますが、ちょうどこの日のお昼休みは敦賀発電所での活動報告会を開催したところ。
 
ここでは、見直し議論が本格化する次期「エネルギー基本計画」において、今後増加する電力需要をいかに脱炭素電源で賄っていくのか(ベストミックスをベースに)が最重要ポイントであり、この役割を担うのは原子力発電。
 
午後に審査会合が行われますが、日本のこうした現状からも、敦賀2号の再稼働に向け頑張っていきましょうと声掛けした次第です。
 
精神論でどうなるものではないことは百も承知ですが、敦賀2号は私たちにとって、ともに育ち、社員から協力会社の方々まで、皆で大切に運転保守してきたマイプラント。
 
「可能性を否定できない」の一言で、愛車を廃車にすることはできません。
 
今回の審査会合で示された確認結果は極めて残念無念ではありますが、原子力発電を通じて社会に貢献するという意義は不変。
 
これまで幾多の難局を乗り越えてきたよう、「ネバーギブアップ」と「不屈の精神」で科学的・技術的データをもって立証し、審査を突破するのみです。
 

【敦賀発電所での報告会の様子。いかなる状況になろうとも、「信頼と安心」の敦賀2号は誇るべきマイプラントです。】