2023年4月15日
次世代革新炉の開発・建設に必要なこととは
「選挙前最後の○○」と、ひとつづつ自分なりの節目を迎える今日この頃ですが、昨日は平日最後の辻立ち。
この4年間、毎週水曜日に立ち続けたホームグラウンドの名子にて、5名もの原電総連役員にご協力いただき活動を終えました。
昨日も窓を開けて手を振り返していただいた皆さん、車の中で会釈いただいた皆さんには感謝しかありませんが、こうして頂戴したエールを自信や力に変え、明日からの選挙戦に臨む所存です。
さて、選挙前といえば、事前に市議選候補予定者に対して行われた新聞社のアンケート調査。
今回、政策的なアンケートは福井新聞1社でしたが、大きく3項目あったうちのひとつが「原子力発電」に関わること。
実は、4年前もこの設問があったことからしても、敦賀と原子力は切っても切れない関係にあるものと改めて認識するところ。
私が回答したそのままを書くのは控えますが、我が国においては、昨年末のGX実行会議にて原子力を今後も最大限活用することを明示したうえで、次世代革新炉によるリプレースを進めることを方針に盛り込んだもの。
国としてそうした方針を示した以上、計画通り進むよう政府として後押しすることが肝要であることは言うまでもありませんが、これに関しては、先んじて原子力回帰した英国が、原子力発電所の新設に対し、政府が直接投資をするなど積極的な関与が図られているところです。
また米国においては、あのマイクロソフト創設者のビル・ゲイツが筆頭オーナーを務め米原子力企業「テラパワー」。
昨年12月、日本が参加する次世代高速炉の開発計画について、ロシアのウクライナ侵略の影響で核燃料の確保が難しくなったため、運転開始が2年以上遅れるとの見通しを明らかにしたものの、遅れたとて2030年頃の話しであり、日本よりも格段と早く進むもの。
そうしたなか、同社のナトリウム冷却高速炉「Natrium」(電気出力34.5万kW~50万kW)の初号機建設をワイオミング州で計画中の電気事業者パシフィコープ社は3月31日、2033年までにさらに2基建設する方針であることを明らかにしています。
【ナトリウム炉とエネルギー貯蔵システムの完成予想図(提供:テラパワー社)】
なお、ここで肝になるのは、Natrium燃料設備は、先進型原子炉実証プログラム(Advanced Reactor Demonstration Program)に基づき、テラパワー社と米国エネルギー省(DOE)が共同出資する予定であること。
先進型原子炉実証プログラムは、先進型原子炉の実証を加速させることを目指した官民パートナーシップによる費用共同負担のプログラムで、その設備投資は2億ドルを超える規模となるとあり、民間の開発意欲や投資予見性を後押しするに加え、国策で進めることを積極的な支援の姿で示していることが分かります。
欧米のこうした動きを踏まえ、2月9日に開催された議員説明会「GX実行会議を踏まえた今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)のポイント」(説明者:経済産業省資源エネルギー庁原子力立地政策室長)の場で私は、「次世代革新炉の開発・建設に対する事業環境整備の在り方については、事業者側の予見性を高めるための国の支援が必要。例えば英国では新規建設事業に対し、政府の直接投資がされているが、今後どう進めていくのか。」と質問し、室長からは「電力市場の脱炭素オークションなども活用し進めていきたい」との回答があったところ。
これに関しては、総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループで座長を務めている黒﨑健氏(京都大学複合原子力科学研究所教授)が、次世代革新炉の開発・建設に係わる事業実現に向けて、「ニーズがありユーザーが現れること」を前提に、採算の見通し、規制の確立の必要性を指摘しており、その中で特に、採算見通しのための仕組みとして、EUタクソノミー[※1]、英国のRABモデル[※2]などを例示のうえ、「脱炭素の取組に原子力を盛り込むことが一つのポイントとなる」と述べており、今後そうした政策が進むよう求める次第です。
[※1]
持続可能な経済活動を明示し、その活動が満たすべき条件をEU共通の規則として定めるもので、2022年2月に原子力を含めることに関する規則が採択された。
[※2]
規制当局が認可した投資を規制料金を通じて回収する仕組みで、英国では下水道や空港建設で実績がある。
今後目にされる福井新聞の候補者アンケートに書いたことは、こうした考えに基づき示したものであり、その点お含み置きのうえご覧いただければありがたく存じます。
結びになりますが、4年間続けてきたことといえば、このブログ。
立候補届を出すまでが「選挙前」とすれば、明朝の投稿が「選挙前最後のブログ」となります。
書くことは随分前に決めてありますので、節目の明日、このサイトでお会いできればと。