2021年7月2日
期待とワクワク感高まる「“本屋”でもない“図書館”でもない、新しい知の拠点」
9月にもあろうかと言われる次期衆議院選挙ですが、元衆議院議長でもある伊吹文明議員は、既にこの選挙に不出馬を表明されている議員の一人。
この伊吹議員が、不出馬にあたって現在の政治の状況も振り返りながら、「国会議員の責任」として述べられた言葉にはこうありました。
「国会議員の責任」は、選挙区の主権を預かっていることに尽きます。国民主権と間接民主制が憲法の精神です。かつて「先生と呼ばれたい」「赤坂の料亭に行きたい」などの発言で批判された人もいましたが、本来の責務を自覚していれば、国会議員の仕事は自己抑制の伴う窮屈でしんどいものですよね。
また、中選挙区から小選挙区になり、衆院議員は各選挙区から1人です。自分に投票しなかった人の主権も預かっていることにもなる。最後は多数決ですが、他党の意見にも耳を傾ける責任と謙虚さだけは失ってはならない。
私がこの言葉から感じたのは、太字で強調した二つの認識。
この認識は地方議員とて同じことであり、長く国政でご尽力された重鎮の教えと思い、自身の胸にも留め行動していきたいと思います。
さて、28日に定例会を閉会した敦賀市議会ですが、昨日は新幹線対策特別委員会が開催され、駅西地区土地活用事業について調査を行いました。
具体的には、丸善雄松堂と編集工学研究所が検討を進める「知育・啓発施設に係る内装設計について」ということで、駅西広場の目玉とも言える複合施設内の大部分について、基本設計が整ったことを踏まえ、今後の方向性を確認すべく、設計者である両社を参考人としてお招きしての調査が行われました。
丸善さんらからの説明に入る前には、所管する都市整備部の担当から「設計・運営会社として選定した当初から、本施設や敦賀市の発展につなげるとの両社の熱意は変わることなく、今回も自信を持って提示させていただく」(書き留めまではしませんでしたが、このような言い回しであったかと)と、中々、委員会の場でここまで自信満々に、しかも情緒的に熱く語る担当もいないと思いつつ、それだけ彼自身も熱き情熱を持ってこのプロジェクトに取り組み、両社との信頼関係のもと仕事を進めているという自負と誇りの表れと、何か頼もしくも嬉しく感じ、思わずマスク越しに顔がニヤついてしまった次第。
一昨日の総合運動公園野球場のスコアボードと同様に、市や担当に強い思いや熱意があれば、それは相手方にも伝播をし、プラススパイラルの相乗効果を生むというもの。
まさにこの知育・啓発施設に関しては、私の目にも、所管部署と受注者ががっちりスクラムを組んで前進していると映り、ある種安心感を持って期待するものであります。
前置きが長くなりましたが、この施設は、当初より「人が行き交い、文化を育む港 敦賀が響き合う場」とし、「Place Of Ring Tsuruga」の頭文字を取った「PORT」である、「“本屋”でもない“図書館”でもない、新しい知の拠点づくりを目指します」とのコンセプトのもと進められてきているもので、私も幾度となく丸善雄松堂さんよりお話しを聞き、このめざす点については大いに共感しているものであります。
今回は、さらに施設の機能・活動の背景となる考え方として、「本を中心に、生き生きとした場が生まれる」との意味を有する「BOOK WARE」(ブックウェア)、「様々な本が行き交い、つながることで新たな体験を生む本棚空間」を表す「BIBLO Terminal」(ビブロターミナル:仮称)を加え、このワードにより、施設の存在意義や存在価値に具体的なイメージを重ねるということ。
さらに、施設の空間コンセプトについては、建物躯体の変更に伴い、先ほどの「PORT」というコンセプトを新しい空間に合わせ再編集(再設計と表現しないところが、丸善・編集工学研究所らしいと感じました)し、「World Tree 〜世界樹〜」とのコンセプトを掲げたとのこと。
これは、本を通じた市民の成長、多様な価値観、そして市民同士のつながり、敦賀と世界とのつながりを、空間としても表現していくとの意味であり、スケールの大きい、発展性あるものとして理解するところ。
プレゼンテーションにおいては、上記の説明に加え、各ゾーンのレイアウトの考え方やパースを用いた各アングルからの館内イメージも確認するなど、大変分かりやすく、熱意の伝わってくる時間となりました。
全てまではお見せできませんが、特徴的なパースのみ、以下掲載します。
【公園側から見た施設イメージ。奥の壁面には世界樹。】
【吹き抜け部分。1階面の本棚も上から見ると樹木の形。】
【2階の親子ひろばコーナー。読み聞かせや玩具コーナーを両サイドに配置。】
その後の質問時間では、私からは、吹き抜け部分に北前船や敦賀の港をイメージするという当初のコンセプトを踏襲するのであれば、よりダイナミックに表現すべきではないか(より“敦賀ユニーク”をアピールするとの観点)、人の賑わいや市民の日常使いとしての効果が発揮できるようワークショップスペースの位置を外からも人目につく場所にしてはどうかとの意見提起。
3万冊としていた蔵書数は躯体変更があっても確保できるのか、選書については市民へのマーケティングなどニーズの汲み取りは行うのか、多様な世代が集う場にしていくためのコンテンツとはなどの質問をさせていただきました。
他の委員の皆さんからも、開業後の運営面までを含め、活発な意見が挙がったことは、駅前の目玉になるであろう本施設に対する、期待の表れではないかとも受け止めた次第です。
予定では、今秋からいよいよ建築工事に入るこの施設。
2022年秋の開業をめざして進められる「“本屋”でもない“図書館”でもない、新しい知の拠点」に私自身、大変期待するところ。
7月からは、施設名称の公募も行うとのことであり、そうしたことも契機に、開業までを、ちびっ子からお年寄りまでが心待ちにするような、「ワクワク感の貯金」をタップリ膨らませることが出来る期間にしていければと、終始期待高まる一日となりました。