敦賀発電所2号機の「新規制基準適合性審査の取扱い」。苦しくとも使命と誇りを忘るることなかれ。

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国内の新型コロナウイルスの新規感染者数は18日20時時点で2万3千人を超え「過去最多」を更新、また「過去に経験したことのない」大雨による被害、長雨による順延で「大会史上最も遅い」決勝戦の日程となる夏の甲子園など、この先どうなるのか、どこか暗雲立ち込める雰囲気が漂う日本国内。
 
そんな中でもポジティブに、気持ちは明るく過ごさねばと思うところです。
 
そうした中、私にとっては大注目の、日本原子力発電株式会社(以下、日本原電)敦賀発電所2号機の「新規制基準適合性審査の取扱い」について、昨日、原子力規制委員会(以下、規制委員会)が開かれ、これまで①原子力規制検査と②新規制基準適合性審査(破砕帯等)を並行して進めてきたものを、業務プロセスの構築が確認されるまでの間は、審査会合(上記の②)を実施しないことを決定しました。
 
規制委員会で配布された説明資料では、「経緯」として、令和2年10月7日の規制委員会において、日本原電敦賀発電所2号機のボーリング柱状図データ書換えに関して、審査とは別に、データや知見に関する記録のあり方、品質保証のあり方について原子力規制検査で確認するとの方針が示されて以降、令和3年7月28日の規制委員会において、当該検査について経過報告、規制委員会においては、経過報告を踏まえた今後の同発電所の審査の取扱いを議論するため、審査状況を報告するよう指示があったため、これを報告するとともに今後の進め方を諮るとしています。
 
また、「新規制基準適合性審査の状況」では、令和2年10月以降の審査状況として、指摘のあった審査資料におけるボーリング柱状図データに関する取扱いや日本原電の対応方針を確認するなど、審査チームは、同社からこれまでに提出された資料について、その内容を確認中であることを説明。
 
そして最後の「今後の進め方」に関しては、これまでの経過を踏まえると、今後、破砕帯等に係る審査において、柱状図の調査データ等に基づく事業者の評価結果の妥当性を技術的な観点から審議を行うためには、審査資料の信頼性が確保されることが必要であるとし、規制検査においては、当面、①調査データのトレーサビリティが確保されること、及び、②複数の調査手法により評価結果が審査資料に示される場合はその判断根拠が明確にされること、の2点が確保される業務プロセスが構築されているかについて優先的に検査を進めることとし、審査チームは、このような業務プロセスの構築が確認されるまでの間は、審査会合を実施しないことが確認されました。
 
つまりは、挙げられた2点を優先的に確認することにより、審査資料の信頼性を担保する体制やシステム構築がされることを確認し、それが整えば審査を再開すると受け止めた訳ですが、規制庁からの説明の後、幾つかあった委員からの質疑において、地盤の審査を担当する石渡委員からは、説明された今後の方針について、「これでいいのではないか。最終報告が出てくるまでは、審査は行わない方がいいのではないかとの考えは今も変わっていない。」との発言がありました。
 
時間軸で見た場合、確認された方針と石渡委員の仰ったことに認識の違いがあるのではとも思いましたが、その点は規制当局、事業者双方の人的リソースや効率性を考えても、空白の時間を無駄に費やすことのなきよう、審査再開に向け、スピード感をもった対応がされるものと考えるところです。
 
一方、事業者である日本原電においては、同日「敦賀発電所2号機の審査の取扱いに関する原子力規制委員会の方針について」のタイトルでホームページにコメントを掲載しており、事実関係の経過等を示したうえで、以下のように結んでいます。
 
(以下、同社コメント抜粋)
今後、抽出した問題点の根本原因分析と再発防止対策を提示し、確認いただきながら進めてまいります。なお、当社はこれまでの分析に基づき、自主的に是正処置を適宜実施しております。
本日の規制委員会で示された方針に基づき、業務プロセスの構築を確認していただくための準備を早急に進め、早期に審査会合を実施していただけるよう、全力で取り組んでまいります。
 
一旦ここで、新規制基準適合性審査は足踏み状態となるものの、軌跡を辿れば、福島第一原子力発電の事故以降設置された、第三者委員会として強い権限を持つ原子力規制委員会の中に出来た、法的根拠のない有識者会合が一方的に、敦賀発電所2号機直下を走る破砕帯を活動層だとしたのはもう10年前。
 
以降、2012年~2015年に掛けては、敦賀発電所敷地内破砕帯の評価に関して、原子力規制委員会有識者会合に係る対応を行い、そのうえで敦賀発電所2号機は2015年11月に新規制基準への適合性確認審査の申請を行い、ここに至るところです。
 
申請してからこれで6年が経過しようとしていますが、審査の入口である敷地内破砕帯評価が、本格議論前にこうして足止めとなることに忸怩たる思いは尽きませんが、時間が掛かろうが懸命に審査を進めている意義は、原子力発電によって日本のエネルギー政策に貢献し、ゆたかな国民生活と経済発展を将来に亘り支えるため。
 
苦節何年になろうと、この大きな使命と誇りを胸に、必ずや再稼働を果たす。
 
現場第一線で奮闘されている職場の皆さんと思いをともに、暗雲振り払えるよう、自身も役割を果たしていきたいと思います。
 

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