市民の皆さんと共有したい「敦賀市の人口統計データ」

ブログ 敦賀市議会

敦賀市の総人口は、平成23年に69,170人であったのが、令和5年では63,039人と、6,131人(▲8.9%)減少しており、トレンドで見ても平成23年以降、一貫して減少し続けているところ(住民基本台帳を基にしたデータ)。
 
こうした状況を踏まえ、本市においては「人口減少対策」を総合計画のメインテーマに掲げ、様々な施策に取組むところ、昨日は「敦賀市の人口統計データ」に関する議員説明会を開催。
 

【全員協議会室で開催された議員説明会】
 
冒頭、市長からは「議会や市民とオープン(データ公開含む)且つコミュニケーション良く議論していきたい」との言葉があり、以降、米澤市長自らが説明者となって、現況等の説明がありました。
 
説明のあった内容は、市民の皆さんとぜひ共有すべきものと考えることから、以下、資料のキャプションベースでご紹介いたします。
 

【平成23年以降、減り続ける総人口】
 
<年齢区分別人口>
・敦賀市も高齢化が進んでいる。
・老年人口は、H22(2010)→R5(2023)で3,060人増。R5の高齢化率30.5%。
・一方、年少人口は減少。H22(2010)→R5(2023)で2,451人減少。
 
<自然動態(出生数と死亡数)>
・死亡数は増加トレンド。老年人口の増加、特に人口のボリュームゾーンである「団塊の世代」が現在75〜77歳。
・出生数は減少トレンド。

 
<社会動態(転入数と転出数)>
・H24(2012) 以降は一貫して、「転出数>転入数」。
・転出数は、H24以降の4年間程が高止まり、H28 (2016)、H29(2017)に減少したものの、H30(2018)以降は再び増加傾向になり、ここ数年はH24以降並みに多くなっている。
・転入数は、H24以降の7年程が大幅減、ここ数年は持ち直しか。

 
<原子力発電と社会動態>
・H24(2012)以降の数年は社会動態と原子力発電所の従業者数は非常に似た傾向(原子力発電所の状況による響を大きく受けていた)
・R1 (2019) 以降に原子力発電所の従業者数が増加している局面でも、社会減が継続している。(原子力発電所の状況の影響ではない要因も考慮すべき)
 
<出生数と婚姻数>
・最近、出生数減少と婚姻数の関係が注目され、「婚活」政策が増えてきている。
・敦賀市でも婚姻数は減少。H22(2010):351件→R5(2023):210件。
・H22→R5で、婚姻数は40.2%減少、出生数は42.5%減少で、傾向が一致している。

 
<大学等進学率とUターン率>
・大学への進学率は近年上昇トレンド。
・卒業生が650人だとすると、進学率が55%ならば進学者は358人、62.7%ならば408人で、50人多く進学することになる。→進学率の影響は大きい。
・Uターン率はR1(2019)まで上昇傾向にあったが、R2 (2020)以降は30%を切り、伸び悩み。

 
データをもとに、このような全体の傾向を共有したうえで、敦賀市の「人口減少対策」についても説明あり。
 
①なぜ「人口減少」が問題なのか?
・生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口)の比率が上昇すると経済が成長しない。
・社会保障制度の維持が困難になる。
・労働環境が悪化する。
・医療、介護の環境が悪化する。
 
②「人口減少」にどう対応すべきなのか?
・人口増加志向【徹底抗戦】→人口が減っては衰退してしまう。何としても人口を増やさなくてはならない。
・縮小均衡志向【撤退戦】→人口が減っていくのは避けられない。上手にダウンサイジングしていくことが大事。(ex.8がけ行政)
 
•しばらく(実は長期間)は人口減少が続く。
・ しかし、急激な人口減少は地域社会に与える影響が大きい。
・ 反転スイッチを早めに押さなくてはならない。
・ 本当に効果があることは何なのか、をしっかり考えることが重要。
 
こうした考えを背景に、昨年度見直した第8次総合計画で「人口減少対策」をメインテーマに位置づけるとともに、R5年度には「人口減少対策室」を設置(従前は移住定住推進室)、様々な分野(部署)の各種施策を「人口減少対策」を意識しながら立案するとし、以下のイメージ図で示す「好循環モデル」の実現をめざすとしています。
 

 
こうして説明を受けた後の質疑では、私からも、次の質疑と意見。
 
①的確な対策を講じるうえで重要なのは現状分析であり、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の調査で得られている実態(非婚、晩婚、20歳代の第1子出産など)の各項目が敦賀市でどうなっているのか分析しては。
②皆で知恵を出し合うとの観点から、各種データのオープン化は非常に有効であり、今後オープン化するデータの項目や期間、開示方法はどうお考えか。
③少子化対策に関しては根幹にあるマインドの部分として、政府が「2030年までがラストチャンス」と言っているが、ある種こうした危機感のもとで結婚や出産があたかも義務のように捉えられるのはマイナス。結婚して子を産み、育てることは尊くも楽しいものであることを、特に若い中高生などに伝えていくことが重要と考えるが、どうお考えか。
 
市長からは、①まだお示しできる状況にはないが、そうした視点でも分析を進めている、②福井県には充実した各種データがあるが、そこから敦賀市のデータを抜き出し、市のホームページで公開したい、③根本にある捉え方として重要。中高生など若い人に対しては確かにそうかもしれない との回答がありました(私のメモベースにつき、言い回しが違う可能性があるのはご容赦を)。
 
人口減少対策に関しては、東京一極集中が進むなか、地方で人の奪い合いをしていても、国全体(国力)として何の解決策にもならないことから、とりわけ重要なのは、ベースの人口を底上げする「少子化対策」。
 
そういった意味で、敦賀市全体で、上記③のようなマインド、風土をつくり出していくことが重要であり、そして何より、行政や議会だけが考えるのではなく、課題認識を共有し、市民皆でアイデアを出し合うことが、プラスのスパイラルに転じる鍵を握ると考えるところ。
 
結びになりますが、「徹底抗戦と撤退戦の間」の立ち位置で、“急激な”人口減少を避けるため「人口減少スピードを緩めたい」とする米澤市長の考えは十二分に理解するところであり(ちなみに私は「徹底抗戦」タイプ)、昨日もご自身でパワーポイントを操作しつつ、丁寧かつ分かりやすく説明いただいた市長の熱意と姿勢には心から敬意を表するところであり、今後は人口減少対策、少子化対策の「敦賀モデル」を構築できればと考える次第です。