世界から取り残される日本を選ぶのか、再び成長する日本を選ぶのか

エネルギー ブログ

令和6年度予算にも計上し、「デジタル人材育成」に取組む敦賀市ですが、市のホームページを見ると「IT×地域課題解決のデジタル人材育成プログラムを開催します!」のタイトルが。
 
デジタル人材育成の一環として、今年度は、ITものづくり(webサイト制作)で地域課題解決を目指す「1DAYプログラミングイベント」、生成AIを学び、使い、活用しながら地域課題解決を目指す「Z-SCHOOL」を開催するとのこと。
 
詳しくは、以下のリンクよりご覧いただきたく存じますが、敦賀市内在住又は在学の中学生・高校生を対象(定員50名)として開催するとのことであり、多くの参加を期待するところです。
 
 →敦賀市HP「IT×地域課題解決のデジタル人材育成プログラムを開催します!」はこちら
 
さて、急速に進展するデジタルの世界。
 
ChatGPTの急速な普及を転換点として、かつてない規模とエネルギーで、多くの研究者・開発者・企業が人工知能(AI)の分野に参入しているところ、OpenAIは13日に最新のAIモデル「GPT-4o(フォー・オー)」を発表。
 
私も無料版ChatGPTをさわりだけ使ったことはあるものの、さらに能力が向上し、テキストはもちろん、音声・画像・映像をシームレスに扱い、自然なテンポでのリアルタイム音声会話が可能になったとのこと。
 
「GPT-4o」は既存モデルと比較して、特に視覚と音声の理解向上が際立っており、音声入力は最短232ミリ秒、平均320ミリ秒で応答可能(こんな単位で表現することは滅多にありませんが…)で、人間の会話の応答時間とほぼ同じであることに加え、会話の割り込みや背景ノイズ、複数の声、声のトーンなど、複雑な対話の要素を理解できるようになったとのことで驚く限り。
 
前述の通り、研究者や開発者が次々と参入していることを踏まえれば、これに留まることなく今後も開発されることを末恐ろしくも思う訳ですが、いよいよ「ターミネーター」の世界が現実味を帯びてきたものと認識する次第です。
 
こうしたなか、人工知能AIなどの莫大なデータを支えるのは、これまた莫大な電力。
 
国際エネルギー機関(IEA)が試算した、データ流通量の急増から来る世界のデータセンター(DC)の電力消費量は2026年に、22年比2.2倍の1000TWh(テラ・ワット時)に拡大するとのこと。
 
※テラは1兆
 
これは、日本の年間総電力消費量に相当する規模であり、膨大なデータ処理を伴うAIの普及が拍車をかけていることが分かります。
 

【IEAによる世界のデータセンター、AI等の電力需要の見通し(令和6年5月15日 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第55回会合)資料より)】
 
日本においては、電力広域的運営推進機関が算出した需要想定において、データセンターや半導体工場の新増設により、2024年度で+48万kW、2033年度で+537万kWの最大電力需要の増加を見込んでおり、人口減少や節電・省エネ等により家庭部門の電力需要は減少傾向だが、データセンターや半導体工場の新増設等による産業部門の電力需要の大幅増加により、全体として電力需要は増加傾向となっています。
 

【今後10年間の電力需要の想定(令和6年5月15日 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第55回会合)資料より)】
 
5月15日に開催された「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」(第55回会合)により「エネルギー基本計画」見直しの本格議論着手となった訳ですが、引用資料を見てお分かりの通り、前回見直しの際には、2030年の電力需要は「減少」としていたものが、現時点で「増加」、しかも「大幅に」となっています。
 
つまりは、議論の「前提条件」が大きく変わったことを認識しておく必要があります。
 
資源のない我が国におけるエネルギー政策の基本的考えは、安全性(Safety)を第一義に、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時達成する、いわゆる「S+3E」。
 
この中の「安定供給」に関しては、原子力発電の長期停止(2030年の電源構成で20〜22%目標のところまだ6%)によって、綱渡りの電力供給が続いていますが、今後はデータセンターだけで100万Kw級発電所5基以上分の電力を確保する必要があります。
 
まずは既設原子力発電所の再稼働ですが、火力を含めた新規電源の建設、開発を急がねば、この先、電力不足となるのは火を見るより明らか。
 
世界から取り残される日本を選ぶのか、再び成長する日本を選ぶのか。
 
次期「エネルギー基本計画」が、究極に「現実的」なものとなるかに掛かっていると言っても過言ではありません。