またもや民間企業経営への政治介入

ブログ 政治

昨日、水曜日の朝はホームグラウンド「名子」での辻立ち。
 
曇天、やや風が強い天候ながら、原電労組の役員1名とともに元気に活動しました。
 
通行される方々へのお手振り、ご挨拶をしながら、役員の方とは子育て家庭のことや職場のことなど、様々お話しできることが「辻立ち」の楽しみでもあり。
 
仲間から伺ったことを頭に置き、今後、自身の思考や活動にも反映していきたいと思います。
 

【役員と同様、一緒に活動してくれる「こくみんうさぎ」。徐々に定着しつつあります。】
 
さて、ここ数日は敦賀市議会のことを書き綴ってきましたが、並行して開催されているのが福井県議会。
 
代表質問や一般質問では、エネルギー・原子力政策などを始め、敦賀市政とも直結する事項が多々取り上げられることから、時間を見つけ、インターネット録画や会議録速報版などをチェックするところですが、中には「おいおい」と言いたくなる質問があるもの。
 
その質問とは、7月4日に行われた福井県議会一般質問(2日目)に登壇した斉木武志議員。
 
北陸電力が先に行った電気料金の値上げを捉え、以下の通り質問(会議録速記版より抜粋)。
 
◉北陸電力さん、(電気料金を)上げるのはしようがないけど、42%、全国一上げる理由は何なんだというところがまだ県民にも腑に落ちていない。
◉北陸電力の(燃料)調達価格をいかに下げるかということが重要だと。この電力供給を下げるために化石燃料を※JERAと、でかいとこと組んでやらないんですかということを、知事から私は、政治の側からね、税金をいっぱい使う側として、こういう公的企業には言う必要があると私は思うのですが、知事の御所見を伺いたいと思います。
 
※JERAとは
東京電力と中部電力との包括的アライアンスに基づき、日本に国際競争力のあるエネルギー企業を創出することを目指して設立され、燃料上流・調達から発電、電力/ガスの卸販売に至る一連のバリューチェーンが当社に一元化された国内火力発電の半分を占める発電能力と、世界最大級の燃料取扱量を誇るエネルギー会社
 
これに対し、杉本達治知事は、
◉今までが非常に水力中心で火力は安かった、石炭火力がですね。こういったメリットも生かして、今まで(電気料金が)低かった。こういう歴史もあるわけですので、一体、その中でどういう価格帯、どういうやり方でやっていくのが北陸電力として、我々、利用者に対してしっかりと低い価格を出していただけるのか、こういうことも含めてしっかりと経営判断していただきながら進めていただきたい。今後とも、北陸電力に対して我々としても合理化、効率化について要請を続けていきたいと考えております。
 
斉木議員はさらに、
◉(北陸)3県知事で御会談をされて、やっぱり北陸電力と、やっぱり燃料調達価格を下げるためには分社化も視野に、燃料調達価格を劇的に下げなさいという申入れをすべきだと思うのですが、知事の御覚悟を伺いたいと思います。
 
これに杉本知事は、
◉おっしゃられるとおり、まさに北陸電力にとっても極めて経営的、経営上の重要な課題だというふうに認識をいたしますし、(中略)今後とも北陸電力に対して徹底した合理化、効率化、さらに国に対してもですね、全ての政策的な手段を使いながら電気料金の抑制に対してさらに力を尽くしていただくように要請をしてまいります
 
この質問を聞いて、斉木武志議員が衆議院議員時代の2022年5月の衆議院 経済産業委員会にて「日本原電」をテーマに質問された時のことを思い出しました。
 
この時の質問では、
◉日本原電は、定款により原子力で手足を縛られている企業であり、原子力発電所を何としてでも動かそうとしており、敦賀2号審査での書き換え問題の「改ざん」(後に「改ざん」のようなものではないと規制委員会も認めている)のような、どんな手を使ってでも、リスクを犯してでもという話しになる。これは原子力でしか生き残る道がない企業として当たり前のことかも知れないが、縛りとなっている定款を変えて柔軟な選択肢を与えることが大事であり、経産省からも指導してはどうか
 
◉電力需要は既に低下し、今後もその低下傾向が進むという中で、敦賀3,4号の電気は受電会社である関西電力も北陸電力も「買わない」と言っている。コスト感のない増設は止め、1,600億円を投じて出来た「空き地」には「水素発電所」を建ててはどうか
 
◉日本原電は、国策民営として原子力をやってきた会社、国策としてリニューアルを促し、今度は電源開発や日本原燃と合併も視野に入れるべき。
 
当時の梶山大臣は、「仮定の話に考えを述べることは避ける」、「民間会社の経営に関わることであり答弁を控える」とのことで、明確な答弁はほぼなく、つまりは相手にしなかった訳ですが、一民間企業の経営に口を突っ込む、ましてや分社化や合併までを政治が介入して、公的な場で発言して良いものかと、再び同じ気持ちが蘇ってきた次第です。
 
北陸電力に関して言えば、これまで40年以上も規制料金の値上げをせずにやってきました。
 
ましてや電力の全面自由化やシステム改革が進み、電気料金を論ずる上においても重要な「志賀原子力発電所」の長期停止を余儀なくされる中、乾いた雑巾をさらに絞るかの経営効率化を行いながら、この北陸の地の電力安定供給を守ってきてくれたのが北陸電力であり、そうした血の滲むかの努力など無かったかのような発言に、私は憤りを感じる次第です。
 
連合や政党の関係も全く無い斉木議員が何を質問しようと、私には関係のないことからも知れませんが、日本原電の時もそうでしたが、今回も北陸電力で働く人の話しは聞いたのか、昼夜を問わず、必死で安定供給を守る現場最前線の人の気持ちを考えたことがあるのかとだけは言いたい気持ちであります。
 
先ほど申し上げたよう、北陸電力においては、血の滲むような経営効率化をした上でのギリギリの判断が今回の料金値上げとなっていることを、このブログをご覧になられた皆様にはご理解いただきたいですし、斉木議員におかれては、この後、衆議院解散があれば、県議会議員の任期中であっても、国政に再チャレンジされると公言されておられますので、その際はぜひ、経営側の声だけではなく、現場で働く方が大事にしている「信念」とは何かまでを把握いただき、ご健闘されますことご祈念申し上げます。