「私たち女性が産まずして何が女性でしょうか」発言の真相

ブログ 人生観


【X(旧Twitter)に掲載されていた風刺画】
 
5月9日のブログで、「『だから何』と言いたいタイトル」と題し、福島第一原子力発電所ALPS処理水の海洋放出に関して共同通信社が、全く問題が無いごく少量のトリチウムが検出された際にも「トリチウム検出」とタイトルに掲げたことを捉え、なぜ「風評加害」になり兼ねない、誤解につながるタイトルをつけるのかとの意見を申し上げましたが、またもや同種の記事が(以下)。
 
上川氏「うまずして何が女性か」 静岡知事選の応援演説で
 
上川陽子外相は18日、静岡県知事選の応援のため静岡市で演説し、自民党推薦候補の当選に向け「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と述べた。新たな知事を誕生させるとの趣旨の発言だが、野党からは「子どもをうまない女性は女性ではないと受け取られかねない不適切な発言だ」(立憲民主党の逢坂誠二代表代行)との批判が出た。
 
翌日、上川外相はこの発言について、「女性パワーで未来を変えるという私の真意と違う形で受け止められる可能性がある」として撤回した訳ですが、これに国民民主党の玉木雄一郎代表はXで次のようにポスト。
 
上川大臣の発言が話題になっています。次期総理候補とも言われている方ですから、突っ込まれる余地のある発言をしたことは、正直、軽率だったと思います。
 
他方、配信したメディアの第一報の見出しが
 
「私たち女性が産まずして何が女性でしょうか」と述べた。
 
だったものが
 
「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と述べた。
 
に修正されています。「産まず」も「うまず」に、なぜか、ひらがなに変更。
 
修正前の第一報では、「女性は子どもを産むもの」だと決めつけ、政治的な正しさを欠いているとの印象を与えるものが、修正後は「新知事を誕生させよう」との意味がより明確になっていると思われます。
 
そんなことはないと信じたいのですが、あえて前者の配信を行い、センセーショナルな印象を与えた方が記事のビュー数を稼げるとの企図がメディア側にあったとしたら、果たして適切な配信だったのか、よく考える必要があります。
 
いずれにせよ、私自身も言葉の選択には十分気をつけたいと思います。
 
(引用終わり)
 
確かに私も違和感を抱いたのは、「産む」から「生む」ではなく、「うむ」としているところ。
 
漢字一文字にはもちろん意味があり、ペンの力を持つ新聞社であれば最も気を使う部分かと思いますが、なぜ「ひらがな」としたのか。
 
なお、Xには「コミュニティノート」という、Xでより正確な情報を入手できるようにすることを目的に作られた機能があり、この機能により、誤解を招く可能性があるツイートに、Xユーザーが協力して背景情報を提供することができようになっていますが、この記事に対しては以下のようなノートが付されています。
 
記事タイトルだけを読むと失言があったように見えますが、上川氏の発言について読売新聞では以下のように報じています。
 
”自民党推薦候補について、「この方を私たち女性が(知事として)生まずして何が女性でしょうか。生まれてくる未来の静岡県を考えると、手を緩めてはいけない」と述べ、支持を訴えた。”
 
元の発言を切り取ることなく理解したうえで配慮に欠けた発言であったか、言葉狩りか、判断することをお勧めします。
 
(引用終わり)
 
奇しくも、世界に発信される「X」の中でこう表されたことを、発信元はどうお感じか。
 
本日は、敢えて冒頭に風刺画を置きましたが、眼前の事実も「切り取り」次第でいかようにでもなります。
 
メディアが発信する情報を鵜呑みにすることなく、その背景や全体の流れから、真実を見抜く力が求められる。
 
情報にあふれる現代社会にあって、改めて、その点に留意するとともに、地方議員であっても自身の言葉には十分注意する所存です。