「2024年 エネルギーフォーラムin敦賀」が開催されます

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「ここまで電力需給は逼迫している」
 
改めて、厳しい状況を認識したのは、昨日、経済産業省・資源エネルギー庁が、広域予備率が低下した場合に一般送配電事業者が講じる追加供給力対策に関し、現在、広域予備率で「8%未満」としている実施の判断基準を「5%未満」に引き下げる旨見直すとしたこと。
 
理由は、電力の需給運用において、需要の増加等により需給の状況が厳しくなることが見込まれる場合には、一般送配電事業者が広域予備率の状況に応じて追加供給力対策を実施するとなっているところ、このうち、広域予備率8%未満が実施の判断基準となっている「発動指令電源の発動」は、容量市場のリクワイアメントに基づき、12回/年度の発動上限が設けられていますが、東京エリアにおいては9月24日時点で既に10回、中部エリアでは9回発動している状況にあり、発動指令電源の発動回数が年間上限に迫っていることから、2024年度内は基準を広域予備率5%未満に引き下げるとあります。
 
揚水リソースの運用切り替えなど、その他の対策も基準を厳格化する方向で検討するとのことですが、暑さ寒さの程度はあるにせよ、恒常的な供給力不足に陥っていることを露呈するものであり、審査を終えた原子力発電所を速やかに稼働させるなど、「今できること」を政治判断で速やかに実行いただかねばならないと強く思う次第です。
 
そうしたなか、電気料金の国民負担を含め、「エネルギー危機」にあることを国民皆で課題認識することが重要と思うところ、明日は、今後のエネルギー政策を考えるフォーラム」が敦賀の地で開催されます。
 
それは、福井県原子力平和利用協議会が主催する「2024年 エネルギーフォーラムin敦賀」。
 
開催日時やテーマに関しては以下のとおりとなっています。
 
◉日 時: 2024年9月28日(土) 14:00 ~ 16:00
◉場 所: 敦賀市民文化センター 大ホール
◉テーマ: 「カーボンニュートラルに向けて日本のエネルギーのこれからを考える」
          ~第7次エネルギー基本計画の展望と原子力への期待~
◉トークセッション 
・(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)システム研究グループ グループリーダー  東京工業大学 科学技術創成研究院 特任教授 秋元圭吾氏
・エネルギー広報企画舎 代表 高木利恵子氏
 

【福井県原子力平和利用協議会作成のチラシ】
 
ここで登壇される秋元圭吾先生は、誰もが認めるエネルギー・環境分野における日本の第一人者であり、これまで多くのエネルギー・環境システムの分析・評価や地球温暖化対応戦略の政策提言をされている方。
 
略歴を以下にリンクしますので是非ご覧いただきたく存じますが、「エネルギー基本計画」の検討を行う総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会委員はもとより、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織である気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)委員も務められるなど、国内外でご活躍されています。
 
 →秋元圭吾氏の略歴はこちら
 
なお、秋元先生のお話は、以前に何度か拝聴したことがありますが、東日本大震災・原発事故を受けて、政府がエネルギー・環境政策を白紙から見直すことを決めた際に、内閣官房ホームページのあるコーナーにあった、先生の思いが印象に残っています。
 
<以下、秋元先生の言葉>
 
エネルギー・環境問題は複雑であり、広範かつ深い理解が必要です。コスト等検証委員会委員としても、客観的にデータを読み、より蓋然性が高いことは何かを追究してきました。エネルギー・環境戦略の選択肢については、経済分析を行う1研究機関としてこれに取り組みました。その分析でも、専門性を発揮し、客観的、論理的にデータを扱い、蓋然性が高い分析に努めました。原発への畏れ(おそれ)を覚えます。しかし同時に、各選択肢によって異なって表れる経済的なリスク、気候変動リスク、エネルギー安全保障・安定供給リスクなど、多くのリスク、その裏表となる便益を冷静に見つめることが重要です。一面的な判断、感情的な判断では、将来にわたって社会を幸福にすることはできません。多くの方々が一歩踏み込んだ理解をし、政治家の方々も、一層、広く深い理解に努められ、大きな判断がなされることを望みます。
 
震災、そして福島第一原子力発電所事故の後にあって、このように冷静に科学的な思考を持たれ、今もそのままのスタンスで意見提言を続ける秋元先生。
 
ぜひ明日のフォーラムには多くの方にお越しいただき、これからの日本のエネルギーを考える機会にしていただければと存じます。