3会派合同行政視察2日目(山口県山口市)

ブログ 敦賀市議会

瀬戸内は暖かいというイメージでしたが、宿を出ると凛とした寒さ。
湿度の差か、敦賀よりも風が冷たく感じられました。
 
さて、視察2日目の昨日は、お隣の山口市へ。
人口19万5千人の県都山口市は「豊かな暮らし 交流と創造のまち」のスローガンのもと、「広域県央中核都市づくり」、「個性と安心の21世紀づくり」を柱としたまちづくりに取り組んでいるとのこと。
 
視察の目的は、山口市が取り組む「いじめ防止対策」について。
坂井市議会議長様から丁重なる歓迎のご挨拶を頂戴した後、同市教育委委員会の学校教育課様より現況を交えた取組み内容について説明をいただきました。
内容は以下の通りです。

 
【いじめ防止の取組みについて】
山口市においては「いじめは決して許される行為ではない」との人権上の基本理念のもと、いじめがあった場合には「最後まで守り抜く」「確実に解決するまで粘り強く取り組む」との決意を込め、平成26年5月に「山口市いじめ防止基本方針」を策定。
その後、3年間の様々な課題等を踏まえ、同方針を平成30年3月に改訂しており、今回は、改訂のポイントである「未然防止」と「早期発見」に向けた具体的な取組みを中心に話しを伺いました。

 
◉支援体制について
・いじめ防止対策強化のため、今年度より「児童生徒安心支援室」を設置。これまで、問題・不登校を主事1人で見ていたことに限界を感じ、主事を増員することとし、組織的な支援体制としたうえで、とにかく初期対応を早くすることに重点を置いた。
・同室は室長1名、主事3名(生徒指導、教育相談、学校安全)の計4名体制。
・他の「いじめ初動サポーター」、「いじめ不登校専門相談員」、「生徒指導推進専門員」、「教育相談室」、「学校安全サポーター(警察関係含む)のスタッフ並びに「各学校」と常に連携を図ることとした。
・また、指導主事10名配置し、山口市内の小学校33校、中学校18校の計51校を分担制とした。これにより、他市町以上に主事が各担当に出向けており、教育委員会と学校の日頃の連携が高まったとのこと。
 
◉「未然防止」と「早期発見」について
・早期発見から解決に導くための連携ツールとして「いじめ速報カード」等を採用。内容と流れは以下の通り。
(いわゆる「カルテ」のようなものと受け止めました)
①いじめ速報カード・・・些細な兆候であっても躊躇せず、状況を記載(学校)し、教育委員会に提出。翌日には連携開始。
②いじめ続報カード・・・その後の経過を生徒・保護者に確認。事象によっては定期的に家庭訪問するなど臨機応変な対応を図っている。
・この他、学校では週1回(簡易的なもの)、学期ごと(詳細なもの)にアンケートを行なっている。
・いじめ速報カード提出後は、前述の支援体制での対応はもとより、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとも常に緊密な連携を図り、多角的視点を持って対応を進めている。
・「解決するまで粘り強く」の言葉通り、徹底して「いじめを無くす」気概が伺えました。
 
◉不登校対応について
不登校に対しては、いじめとは別に以下のような対応がされていました。
①不登校早期対応カード・・・病気以外の理由で連続3日間または1ヶ月以内に断続5日欠席した場合に提出。本カードをもとに以降対応。
※カード提出の前に、学校から連絡が入っているケースが多い。
②不登校個人カード・・・・・年間15日以上欠席した生徒に対して、関係者(親・指導者・医療機関等)で状況把握、連携するツール。
③あすなろカウンセリング・・希望があれば臨床心理士とのカウンンセリングが出来る。
④あすなろ教室(2箇所)・・不登校児が心を元気にして、再び登校してもらうための教室。長期間通う生徒もいるが、週2日は学校、3日は教室など、緩やかな通学で徐々に慣れてもらうことも可としている。登校意思があった場合には、学校の担任の先生と生徒で良く話しをしたうえで、クラスの生徒とともに受け入れ環境を整えている。
 
以上が、具体的施策の報告となります。
 
社会的問題でもある「いじめ」であすが、仰っていたのは「(いじめの)報告があったほうがプラスになる」との認識で取り組まれていること。
デリケートな問題と隠すのではなく、オープンにし取り組むことで、早期解決やいじめを無くすことにつながるとの思いで、教育委員会と学校がフランクに連携している様子がお話しからもヒシヒシと伝わってきました。
 
また取り組みを通じ、小学校では児童会から、中学校では生徒会側から「いじめ撲滅宣言」や「NOいじめ!」が出されているとのことであり、これぞ真の意識醸成・意識改革だと感じました。
 
敦賀市においても取り組みを進めていますが、「すべては子どもたちのために」を合言葉とし積極的に「いじめ防止対策」に取り組む山口市から得た内容と照らし合わせ、実情に応じた具体策に反映することが肝要です。
また、関係者からお話しを伺いながら対応していきます。
 
以上、2日間の行政視察はすべて大変有意義なものとなりました。
対応いただきました周南市、山口市の行政関係者の皆さん、同行した各会派の議員各位に感謝申し上げ、視察報告に代えさせていただきます。
ありがとうございました!

(山口市役所には、同市出身の卓球オリンピック代表の石川佳純選手の激励幕が掛けられていました)