高経年プラントの再稼働反対請願に対し討論する!

ブログ 原子力


 
11月26日に開会した令和元年第7回定例会は、昨日、全提出議案の審議を終え閉会しました。
 
二度の入札不調により、工事への影響が心配されていた市庁舎建設工事においては、三度目の入札結果、12月12日に落札がされ、契約案件として最終日に議案提出のうえ、委員会付託を経て可決されました。
年明けの1月中旬には起工式を行う予定としており、生まれ変わる敦賀市のシンボルの完成を楽しみに、安全作業での完遂を祈念するところであります。
 
また、市民からの関心の高い「敦賀きらめき温泉リラ・ポートに係る調査特別委員会」からは福谷委員長から中間報告が行われ、調査の経過や詳細な状況が説明されました。
タイトなスケジュールのもと調査を進めてきた当委員会の一員として、議会での報告をひとりでも多くの市民の皆さんに聞いていただけたのであれば幸いかと思った次第。
今後、調査は本格化していきますが、公開の原則に基づき、公平・公正の視点をもって対応していく所存です。
 
最終日には、請願3件の採択も行われました。
このうち、関電の一連の問題に端を発し提出された「老朽原発再稼働に関する請願」については、付託先の原子力発電所特別委員会(原特)での審議結果「不採択」扱いとなった旨、本会議にて原特委員長からの報告がされた後、賛否討論のうえで採決が行われました。
 
少しややこしいのですが、「請願に賛成、すなわち委員長報告に反対」の立場では、日本共産党議員団の山本貴美子議員から、私は「請願に反対、すなわち委員長報告に賛成」の立場から各々討論を行いました。
※採決の結果、委員長報告の通り「不採択」
 
以下に、私の討論の内容を掲載しますのでご覧ください。
 
(やまたけ討論:全文掲載)
【請願第7号】老朽原発再稼働に関する請願に対する討論
 
市民クラブの山本たけしです。
 
私は、請願第7号「老朽原発再稼働に関する請願」を不採択とする委員長報告に賛成の立場から討論を行います。
 
まず、我が国における原子力発電所の運転期間については、原子力発電所が建設された当時、法令上の定めはありませんでしたが、福島第一原子力発電所事故の後に改正された原子炉等規制法によって、運転できる期間は運転開始から40年。
ただし、原子力規制委員会の認可を受ければ、20年を超えない期間で、1回に限り延長できるとする、いわゆる「運転期間延長認可制度」が規制されました。
 
そのうえで、関西電力のみならず、国内の原子力発電所においては、建設段階から、長期間の運転を考慮し、材料、強度、寸法等に十分な余裕を持たせて設計していることに加え、営業運転開始から30年を迎える前に「高経年化技術評価」を行うとともに、評価に基づき策定される「長期保守管理方針」により、個別機器の点検・修繕の計画(いわゆる保全計画)を運転サイクルごとに届け出て国の確認を受けています。
 
このように、原子力発電所の高経年化対策は、日常的な点検や計画的な機器の取替えなど、適切な健全性確認をするとともに、経年的な変化の傾向を把握し、故障に至る前の保全、さらに、常に最新の技術基準に対応していることから、長期間運転を継続した原子力プラントにおいても高い安全性が確保されているものと考えます。
 
よって、関西電力が保有する高浜1、2号機、美浜3号機は、先に述べた対応を図りつつ、運転期間延長認可申請をし、原子力規制委員会の厳格な審査を経て、結果60年までの運転について認可されたものであり、請願にある「運転を続けるとそれらの物がどんどん安全使用の限界を超えていく」との考えは、こうした客観的事実や科学的根拠に基づかないものであると考えます。
 
次に、「原子力発電所の再稼働」について。
 
まず、請願の事実認識について。記載には「福島原発事故から5年間は、原発が稼働せず原発で作られた電気は全くなくても私たちの暮らしに何の問題もありませんでした。現在でも原発で作られている電気は2%程度でしかありません」とありますが、実態としては、経済産業省 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」によれば、事故後原子力による発電がゼロであったのは、「2014年の1年のみ」、続いて現在の原子力発電の需給割合に関しては、同じく資源エネルギー庁が先月発表した「電力調査統計(2019年8月分)では「5.8%」となっており、事実認識が実態と異なるものであることを指摘させていただきます。
 
そのうえで、福島事故後の電力供給に関しては、各電力会社が既に運転停止、あるいは運転年数の古い火力発電所をフル稼働させ炊き増ししたことや、運転やメンテナンスに必要な人員を総動員し供給体制を整えるなど、昼夜分かたぬ対応を図ったことに加え、企業・国民の皆さんの節電に対する協力があったからこそ成り立ったものであり、容易に電力供給を維持出来た訳ではありません。
 
現時点においては、天候によって発電量が左右され、貯蓄機能のない太陽光を始めとする再生可能エネルギーは、主力電源に成り得ず、不安定な中での系統接続の問題や固定価格買取制度による賦課金は、年間2.4兆円に及ぶなど大きな国民負担となっています。
また、ベースロード電源を支える火力発電所は化石由来であることから、ホルムズ海峡に象徴される中東情勢の影響など、外的要因によって生じる大きなリスクを抱えていることを忘れてはなりません。
 
よって、既に閣議決定している「第5次エネルギー基本計画」や「第5次環境基本計画」、あるいは「パリ協定に基づく成長戦略」に示されているとおり、少資源国である我が国のエネルギー安全保障、経済性、気候変動や温暖化対策の観点から、「原子力発電は、安全性の確保を大前提に今後も活用すべき存在」としており、国民生活と経済活動の血液とも言える電気の「真の安定供給」につなげるためにも、安全が確認された原子力発電所の再稼働を進めるべきであるとの考えから、請願の項目に反対するものであります。
 
以上、本請願に対する私の考えを申し上げ、委員長報告に賛成の立場での討論といたします。
議員各位のご賛同を宜しくお願いいたします。
 
 
次回、3月定例会は2月25日開会となります。
年末年始を挟むこの間ではありますが、市民の皆さんへのご報告とご意見をお伺いする場をひとつでも多く設け、市政に反映できるよう取り組んで参ります。