飛翔(はばたく)原子力機構

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有楽町朝日ホールで開催された報告会

昨日は、横浜での図書館総合展(詳しくはFacebookで紹介)に続き、有楽町朝日ホールで開催された「第14回原子力機構報告会」に出席。

原子力機構報告会は、昨今の原子力・エネルギーに対する関心の高さを表すかのように約500名の参加のもと盛況に開催されました。

従来は、言葉通り、機構からの活動報告メインであったとのことですが、今回は若手技術者による研究成果発表や2つのテーマでのトークセッションなどもあり、大変興味深く拝聴させていただきました。

原子力機構となって15年を迎え、将来に亘って貢献するために何を目指し、そのために何をすべきかという将来の姿を「JAEA2050+」として取り纏め、①気候変動問題の解決、②エネルギーの安定確保、③Society5.0の実現の3つのテーマに貢献していくため、原子力技術を通じた取組みを進めていくとのことであり、2部構成でその内容紹介がされた。

第1部は、「将来ビジョン」に関する研究成果発表とトークセッション。
①機械学習が開く放射線計測の未来
②高温ガス炉による水素製造技術の研究開発
③スピンによるエネルギーの有効利用と展望
正直、私の知識レベルでは到底完全理解に至らない訳ですが、3項目ともに若手の技術者が理路整然と成果を語られる姿、原子科学で将来のエネルギー問題を解決していくとの強い気概に感銘を受けた次第。
特に③に関しては、電子が持つスピン(磁気の流れ)を利用し、起電力につなげていくとの研究であり、IoTなどを含む未来社会に向け、超小規模で分散的な電力供給を可能とする凄い発想と理解することが出来ました。

トークセッションでは、「原子力機構の研究と社会との関わり」をテーマとして、5名のパネリストのもと意見紹介されました。
機構に対して望むことの問いに対しては、
社会に役立つ研究成果、高温ガス炉や小型モジュールを30年以上も前から研究開発してきたことを知らない若い人も多いのではないか。
今さら「社会貢献」「社会に役立つ研究」と言わなくても、どうして研究成果が実現に至らなかったのかを話してもらうべき。
根本的な原因は、日本民族が将来を見ない、リスクに対する考えが乏しいことであり、そういう面のコミュニケーション(一般市民レベル)をしっかりやっていって欲しい。
説得できるための人材、タレントを作ることが重要で、コミュニケーションが足りないのでは。
などの提起がありました。

第2部のトークセッション

第2部においては、「福島の復興・再生への貢献」をテーマとし、復興・再生に向けた機構の取組み報告、除染廃棄土壌の現状についての基調講演の後、トークセッションが行われました。

イノベーション・コースト構想については、廃炉・ロボット、農林水産などに関し、特に人材育成に力を入れ進めてきており、南相馬のロボットテストフィールドには、大企業やベンチャー、研究者含めて集まってきているとの報告。

一方、夢だけでは食べていけない。
10年後に何をしているのか、子どもたちや若い世代にどういう道を進めて上げられるのかの筋道を大人が見せてあげることが必要。
教育は、一過性でなく、一連の道として、長いスパンでもう少しデザイン出来れば良いと考えている。
産業復興のためイノベーション構想で前を向いていくが、医療分野など、非生産部門も基盤を支えているという認識をもっと持つことが大事。
30年後の未来にあるべき姿を見つめながら進めていくことが必要。
といった意見に、思わず納得。

いずれにしても、今までもそしてこれからも日本を代表する原子力研究機関である原子力機構の役割は大きく、今後も様々な分野で貢献されることを期待する次第。

昨朝は朝一番の移動となりましたが、伊吹山と朝日、そして晴天の富士山と気持ちの良い眺め。
この眺めのように、我が国における原子力・エネルギーも気候変動対策も、明確な展望を掲げ進まねばならないと改めて誓う1日となりました。

(おまけ)昇る太陽と左は伊吹山
(おまけ)富士山と富士川の見事なコラボ