2025年1月22日
議会のハラスメント防止対策は誰のため、何のためにやるのか
昨日は、午前中には敦賀市議会の広報広聴委員会、午後は議会運営員会、夜は敦賀市スポーツ協会の「令和7年新春懇談会」に出席。
広報広聴委員会では、「議会だより」次号の校正チェック、1月23日と24日の両日、敦賀高校の生徒が作成した請願を模擬審査する取組み「高校生との意見交換(模擬請願審査)に向けた最終確認を行いました。
初の取組みとなる模擬請願審査に関しては、23日は議場で、24日は学校へと、各常任委員会分かれての開催となりますが、計6クラスの皆さんと意見交換できることを大変楽しみにするところです。
また、市内各スポーツ団体代表の皆さん、各地区よりスポーツ協議会の会長、副会長さんらが参加しての「新春懇談会」では、各テーブルを回り歓談するとともに、それぞれの団体、協議会が抱える課題についても伺うことができました。
こうした会に議員にもお声掛けいただける意味とは、このような課題を共有することにあると思い、同じくご意見を伺ったであろう他の議員とも連携し、改善に向け尽力してまいります。
さて、ご報告として残るは議会運営委員会。
今回の議会運営委員会の主議題は、9月定例会での条例案提出(結果、否決)を契機とし、敦賀市議会としてルールづくりをすべく協議を進めている「ハラスメント防止」について。
前回、令和6年11月18日の同委員会にて、各会派に持ち帰りとした項目に関し、改めて考えを持ち寄り協議しました。
※ご参考まで、前回委員会の状況は以下リンクよりご覧ください。
→令和6年11月19日やまたけブログ『「ハラスメント」のない議会、社会に向けて』はこちら
なお、所属する市民クラブにおいて、事前協議のうえ会派としてまとめた考えは以下のとおり。
1.ハラスメントの対象範囲はどうするのか?
(議員間、議員から市職員へのハラスメントを対象とすることを「大前提」としたうえで)
◉趣旨はあくまでも、議員からのハラスメントを防止するためのルールづくりと考える。よって、議員が市民からハラスメント受けることを想定した対応とは切り分けた方が良いと考える。
◉対象に特別職(病院事業管理者、教育長等を含む)を加えるのは賛成。
◉なお、先の議運で市政会からあった、福岡県議会の条例を例えに挙げての「票ハラ」も対象にすべきではとの点について。条例では、議員と同様、「議員になろうとする者」もハラスメントの加害側に位置付けた規定となっていることから、意図するところと辻褄が合っていない。その上で、福岡県議会と同じく、「議員になろうとする者」を防止規定の対象に含めることは否定するものではない。
2.相談窓口の設置をどうするのか?
◉相談窓口は必要。あくまでも、議長の下に置くという位置付けで、ハラスメントに関する相談等の円滑かつ公正な解決を図るため、 議会事務局内にハラスメント相談窓口を設置してはどうか(事務局はあくまでも、相談を受けて議長に報告するのみの役割とし、そこに判断や責任は持たせない)。
◉ハラスメントに関する相談又は苦情を書面(電子メール等を含む。)又は口頭により申し出ることができるとし、相談しやすい環境構築に務める。
3.第3者委員会の設置をどうするのか?
◉ハラスメントか否かの最終判断を求められる際、行為者、被害者双方の納得できる事実関係把握の手法を取り込んでおく必要があると考えることから、第3者委員会は設置すべき。
◉なお、メンバー構成に関しては、令和6年12月定例会の市提出条例を参考に、弁護士、臨床心理士など3名程度の外部委員とすることが望ましいと考える。
◉ただし、相談から直結で第3者委員会とするのではなく、基本的には議会内で対応するとの考えから、以下の流れで対応してはどうか。
①相談窓口へ相談 → ②報告を受けた議長は「(仮称)ハラスメント対策委員会」を設置(各派代表者などによる) → ③委員会は、相談窓口の報告に対し、その事案の内容に応じて、事実関係の把握、当該事案の解決に向けた紛争に係る当事者間の調整その他必要な対応を行う → ④委員会による対応(注意喚起やハラスメントをしないことの求め等)で解決が図れない場合は、当事者が申立て → ⑤第3者委員会を設置し、調査、事実認定、該当性を調べ、氏名公表を含めた必要な措置を決定 → ⑥議長に報告
4.アンケート調査の要否
◉過去を含め、議会として実状を把握する観点から実施することは必要。
◉ただし、敦賀市議会においては既にルールを設けることは決定しており、アンケート結果に応じて実施可否の判断をする訳ではないため、実施時期は現在の協議と並行して実施することで良いのではないか。
◉なお、透明性の観点から、集計したアンケート結果は公表すべきと考える。
◉また、対象者については、市側は主に議員と接する課長補佐級以上、現職議員に対しても行うこととしてはどうか。※市側・議員いずれも匿名とする。
5.ルール形式の方向性は、あらかじめ持っておくべきではないか(条例or要綱)
◉市民の規範であるべき議会が、自ら率先してハラスメント防止に取組むことの意義は大きく、市や地域社会に対しても影響を持つものと考える。また、昨今はハラスメントが社会問題化していることからも、「ハラスメントのない議会」を掲げることによって、社会全体で取組む意思を示す観点から「条例化」がふさわしいと考える。
◉なお、前述1〜3の議論を突き詰めていくと、例えば外部組織による第3者委員会を設置するとなれば、予算計上が必要となることなど、そうした拠り所としても、必然的に「要綱」の範囲を超え「条例」となるのではないか。
こうした考えに沿って、当会派からは豊田耕一議員より意見いただいたきました(私は副議長として出席につき)。
市政会、日本共産党敦賀市会議員団、公明党、峻正会、無所属議員からも同様、考えが示されましたが、唯一、1の対象を「議員間」のみ、4.アンケートの必要なし、5.条例ではなく「要綱」としたのは市政会。
理由では、11月に議員全員が受講した「ハラスメント研修」で市職員を対象にすることはハードルが高いと認識したことから、ハラスメントの対象を「議員間」に限定した。
議員間でのハラスメントを防止することであれば、相談先も議長、ルールも「要綱」で良いと判断したとのこと。
これに対し、後の委員会質疑では、私も堪らず意見しましたが、「ハラスメント研修」であったことの解釈を履き違えているうえ、そもそも、これまでの議論における(ハラスメント対象の)大前提を「議員間、議員から市職員」に置き、そのうえで、市長など特別職、あるいは「票ハラ」(選挙の際に有権者が候補者に対して行うハラスメント)を含めるのかどうかについて会派に持ち帰ったところであり、市政会の考えは、議論の大前提をひっくり返してしまっていることを指摘申し上げた次第です。
議会は「言論の府」と言いますが、委員会での協議も同じ。
「議論を重ねる」というのは、何のためにやるのかの趣旨・目的や議論の前提条件を皆で共有し、前回までの協議結果を尊重しつつ、積み上げていくからこそ成り立つのであり、こうして前提条件が崩される、あるいは理解されていなかったとすれば、それは「言論の府」というには程遠いもの。
また、時間感覚をもって結論を出すことも議会の役割と考えますが、一歩進んで二歩下がる議論で、会派に持ち帰ってばかりでは時間が過ぎるばかり。
なお、私はそもそも、真剣に議論する場の本会議場や委員会室には緊張感があるべきであり、笑いは必要ないとの考えですが、この場では一部、ハラスメントの話題(内容は控えます)に笑い声があったところ。
緊張感を欠くばかりか、その発言や行為自体が、委員会室にいる誰かにとってハラスメントになる可能性があるということが何故分からないのか・・・。
【12月に発行した「やまたけNEWS(22号)」にも掲載の厚生労働省ポスター。まさにその通り。】
昨日は、悲しいやら情けないやらの気持ちにもなりました。
私が考え過ぎなのかもしれませんが、これ以上ここで言っていても仕方ありませんので、議員任期はあと2年と少ししかないことを強く念頭に置き、前述のとおり、市民の規範となるべき議会に向け、同じ思いの議員の皆さんと協力し対応していく所存です。