言葉は語らずとも心に響く答弁

ブログ 敦賀市議会

29分56秒。
 
昨日の一般質問における私の質問時間です。
 
敦賀市議会の一般質問で与えられる質問時間は「自分の質問時間で30分」でありますから「残り4秒」。
時間をほぼフルに使い、思いの丈を伝えました。
 
質問の項目は、昨日も事前通告の内容をお伝えした通りですが、最も拘り確認したかったのは「県内一円での感染発症を想定した医療体制」。
 
敦賀の医療に関する質問に関しては、これまでの一般質問を通じ、米島敦賀病院事業管理者が鬼気迫る現場実態を踏まえ、思いを込めた答弁をされてきた訳ですが、この日の私の質問に対する答弁はさらに熱く、心に響くものとなりました。
 
順を追い質問を進める中、医療人的資源確保の観点から、「感染症に向き合いストレスを抱える医療従事者のメンタルヘルス対策はどのようにされているのか?」との問いに対し、答弁に立った事業管理者は、途中肩を震わせ、言葉に詰まり、議場の空気が一瞬止まったかのような静寂に包まれる中、そこには涙がありました。
 
静寂の後に絞り出されるように発せられた言葉は、極度の緊張感や自身も感染するかも知れない状況の中、医師や看護師、病院スタッフのまさに感染症と戦う姿、そして、そうした苦しい医療従事者の気持ちを救ってくれたのは患者さん、市民の皆さんから掛けられる感謝や励ましの言葉であり、病院に届けられるあたたかい物資であったと。
 
私が思うに、そんな状況が痛いほど分かる中でも、敦賀の医療を守る、院内感染は絶対に発生させないとの強い思い、そのため苦しくとも医療従事者を鼓舞し、士気を高めるため、厳しい言葉も掛けざるを得なかった、責任者であり陣頭指揮を執る立場である事業管理者の想像を絶するプレッシャーをも思い返されての涙ではなかったのかと。
 
静寂の中にあって、米島病院事業管理者の姿は、言葉は語らずとも私の胸を打ちました。
 
また、これに続く医療物的資源の確保に関しての質問に対しては、議長の許可を得て持ち込んだという「医療防護服」を用いて説明いただいたことに加え、いわゆる「前開き」のカッパのようなものは着脱時にウイルスが付着する恐れがあり相応しくないことを説明するため、ご自身の背広の上着を脱ぎ、前後ろ逆にまで着る「実演」までされ、その実情をお伝えいただきました。
 
衝撃的であったのは、在庫管理をしつつも防護服は全国的に供給が追いついていない現状では、市の指定ゴミ袋をカットして使わざるを得ない状況にもあるということでした。
 

【議場にて、ごみ袋を手に答弁される米島敦賀病院事業管理者(左は織田病院事務局長)】
 
これに関しては非常に重要な問題であるため、後フォローもしっかり行いたいと思いますが、いずれにしても、この日の質問のためにここまでの準備をされたこと、先に述べた通り、心から気持ちを込めた答弁をいただいたことに感謝するとともに、この医療現場の状況を踏まえ、時間軸の視点を持って何をすべきか対応にあたりたいと考えます。
 
私自身も、時間内すべての質問に情熱と思いを込めましたが、「最悪のケースを想定し、嶺北・嶺南のダブル感染により、県内医療がパンクするような事態に備え、滋賀県湖北エリア(高島市や長浜市)との医療連携をしていくべきではないか」との提言に対しては、市長より「県内で対応するため考えていない」との答弁。
 
これは既に政府の対策本部からの「県境を越えての広域連携を考えよ」との対処方針が示されていることや、感染患者を嶺北に搬送しないといけない地理的リスクなどを踏まえ、何故現時点で可能性すら否定するような断定答弁になるのか甚だ疑問であり、「正常バイアス」に掛かってはいないだろうかとの思いも持ちつつ、敦賀の、いや嶺南地域にとっても大変重要な問題であるため「引き続き検討をお願いしたい」と求めました。
 
さらには、「こんな時だからこそ、難局を乗り越えるための原動力となる市民イベントを開催すべきではないか」との提言に対しては、「行政として行うことは考えていない」とのこれまた一蹴の市長答弁。
 
単に中止となっている行事の代替えではなく、今だからこそ行政として行う意味合いや3密とならない、告知をすることなどを条件とすることもお伝えしたうえでの「ゼロ回答」に正直、言いたいことがキチンと伝わっているのかと疑問を覚えました(通告後、担当部局とのヒヤリングも丁寧に行っているつもりではありますが…)。
 
もちろん、私の伝え方が言葉足らずだっただけなのかも知れませんし、検討にも値しないという判断だっただけなのかも知れませんが…。
 
後半述べた「ゼロ回答」の点については、実はテレビ中継などで視聴いただいていた数名の市民の方から「あの答弁は何や」、「意味通じとるんか」との声もいただいた訳ですが、私としては「何故不要と判断するのか」の市の考えをさらに深掘りすべきであったと反省。
 
これも経験ということで、時間配分も含め次に必ず生かします。
 
「言葉は語らずとも心に響く」ものもあれば、「言葉で語っても心に響かないもの」もあることを感じた、今回の一般質問。
 
昨日学んだことを自身に置き換え、「言葉でも語っても語らずとも、皆さんの心に響くような」言動に努め、根っこに「情熱」を持って引き続き精進したいと思います。
 
一般質問は終わりましたが、議会はこれから終盤。
最後まで責任と使命を胸に頑張ります。