2024年11月12日
胸を打たれた「川崎市子ども夢パーク」視察
先の衆院選を受けた首相指名選挙の決選投票が昨日午後行われ、石破茂首相が第103代首相に指名されました。
同日中に第2次石破内閣を発足させた後、石破首相は会見で、「(政治改革について)速やかに自民党案を取りまとめ、年内にも法制上の措置を可能とするべく、多くの党の協力を得られるよう努力する」と述べ、政治資金を監視する第三者機関の設置など、政治資金規正法の年内の再改正を目指す考えを表明。
国民民主党からの「スピード感をもってやるべき」との指摘を意識しての発言とも思いますが、有言実行で進めていただきたいところです。
なお、国民民主党の玉木代表に関する不倫報道については、会見で「家族、特に妻にはすべてを話した。『こんな大事な時期に、こんな報道されて何やってんだ』と強く叱責を受けた。まったくその通りだ。」と述べた上で、その後行われた両院議員総会では、代表の続投が決定。
同日夜に行われた東京・有楽町での街頭演説で謝罪する玉木代表に対し、叱咤と「頑張れ」の声が錯綜する状況が報道されていましたが、真摯に反省いただいた上で、今後は一心不乱に政策実現に向けて邁進される以外ないと思う次第です。
さて、国政のことはこれまでとし、昨日から所属する文教厚生常任委員会の行政視察に出席。
3日間行程で、初日は神奈川県川崎市の「子ども夢パーク」、2日目は静岡県袋井市の「学校給食センター関連」、最終3日目は愛知県岡崎市の「学校フリースクール」をテーマに視察を進めています。
早速、昨日の「川崎市子ども夢パーク」は、「子どもたち一人ひとりが大事にされなければならない。」それを実現するために、川崎の子どもと大人が一緒に考え、多くの話し合い(2年間で200回)をして2003年7月に制定された「川崎市子どもの権利に関する条例」をもとにつくった施設であり、川崎市が決めた「子どもについての約束を実現する場」。
ありのままの自分でいられる場
多様に育ち、学ぶ子どもの居場所
自分の責任で自由に遊ぶ場
つくりつづけていく場
子どもたちが動かしていける場
をコンセプトに、子どもたちの「やってみたい」を大切にした「プレーパーク」に加え、主に学校の中に居場所が見出せない子どもや若者たちが、学校の外で多様に育ち、学ぶ場「フリースペースえん」を運営するほか、「川崎市子ども会議」の事務所も併設する施設となっています。
【プレーパークの一部はこのような感じでした。どろんこ遊びも何もかも自由。】
視察ではパーク内をご案内いただくとともに、当施設の総合アドバイザーでもある認定NPO法人フリースペースたまりば 理事長の西野博之様より、先の条例制定からパークの設置、運営に懸ける考えや思いをじっくりご説明をいただき、知見を通り越し、「意識改革」と言って過言でないお話を聞くことができました。
箇条書きとなりますが、拝聴したエッセンスを記載いたします。
<子ども夢パークについて>
◉子ども夢パークは、映画「ゆめぱのじかん」、NHK「ドキュメント72時間 “どろんこパーク 雨を走るこどもたち”」などでも取り上げられ、大きな反響を得ている。
◉条例制定に向けては、「権利の相互尊重」に辿り着くまでに時間が掛かったが、人間として大切な「子どもの権利」を守ることにつなげることができた。
◉「子どもはだんだんと人間になるのではなく、すでに人間である」(コルチャック先生の言葉)。生まれながらに一人の人間であり、権利の主体であることを認識しないといけない↔︎大人よりも劣った存在として差別されない。
◉条例第29条に「子どもの居場所」があり、夢パークの設立根拠となっている。
◉元々、工場跡地を市が80億円で購入し、図書館建設を考えていたところ、バブルが弾け10年間塩漬け状態にあったところ、ちょうどパークの設置場所に選定された(指定管理料8,900万円で運営)。
◉夢パークは毎日9時〜21時まで開館。当時全国であった中高生による少年犯罪も背景に、遅い時間までの「居場所づくり」を目的としている。
◉「ケガと弁当は自分もち」が合言葉であり、自分の責任で自由に遊ぶこと、「やってみたいこと」に挑戦できる場の提供を考えとしている。
◉日本の子どもの特徴として「自己肯定感の低さ」がある。ユニセフの子ども幸福度で日本は38国中37位。
◉子どもが地域の中でタダで遊べる場所が必要。なぜなら「遊びは子どもの主食」だから。
◉野村総研とオックスフォード大学の共同研究では、今後、日本の仕事の49%はAIが取って変わる時代に入るとあり、これからの子どもたちに求められる力は「非認知能力」ではないかと考える。
◉「非認知能力」とは、「人間として生きていく力を育む」ことであり、それは「遊び」を通じてでしか得られない。
◉夢パークの視察は年間200件。過去には文部科学大臣も来られ、「これが将来の教育の姿だ」と話されたことがある。
◉2024年に夢パークが「グッドデザイン賞」を受賞。理由は、「子どもの権利を尊重し、禁止事項を極力排除し、子どもが自己責任でチャレンジできる場を長年にわたって提供してきたこと」。
【パーク内に綴られた「大人への」メッセージ。】
<不登校について>
◉学校に行か(け)ない理由は、自分でも分からない。
◉不登校児童生徒を「学校嫌いな子」と決めつけないでほしい。
◉いじめのピークは、小1〜小3と言われており、学校に入ってすぐに体験、あるいはそうしたシーンを見た子どもたちを考えると、不登校は減る訳がない。
◉不登校は35万人時代となっており、学校教育の「制度疲労」が限界に来ていると言える。
◉平成28年12月には、「教育機会確保法」が成立し、学校以外の場で学び、育つ選択肢を増やすことが定められた(将来的な自立を目指す)が、敦賀市では何ができているか?
◉文部科学省フリースクール等に関する検討会議では、ICTを使った学習の奨励も進んでおり、出席認定は1万件を突破している。
◉「大人の良かれは、子どもの迷惑」でもあり、大事なのは「何もしないこと」の保証。
◉子どもは、大人の「支援臭」から逃げていく。「良くしよう」「良くしてあげよう」という大人のアドバイスが、子どものやる気を失わせるため、自分の「やりたい」を支援する環境が必要。
◉「こんなもんで大丈夫」が充電されると、ほとんどの子どもたちが高校進学していく(子ども夢パークの実際がそう)。
◉大人たちの不安が子どもたちを追い詰める。周囲が親を支える取組みが必要。
◉子どもたちの「生まれてきて良かった」、「生きてるだけですごいんだ」の気持ちを大切にしている。
◉大人(親)は「生まれてきてくれて、ありがとう」、「あなたがいてくれて幸せだよ」の気持ちを届けよう。
以上、ランダムに書き綴ったため分かりづらかったかもしれませんが、子どもとまっすぐに向き合い続けてきた西野理事長の話しに、正直胸を打たれるとともに、議員である前に、一人の人間として気付かされることが大変多くありました。
「学んだことを持ち帰って敦賀市に生かします」と言いたいところですが、これを生かすためには、何をおいても大人がマインドチェンジすることが必要不可欠であり、西野理事長や川崎市が年月を掛けて積み上げてきたことを考えると、軽々しく言うべきではないとも考えるところ。
帰りには、西野理事長の著書も購入しましたので、昨日学んだことを今一度、自分の中でも整理をし、思考を重ねたいと思います。
【ご自身の貴重なご経験を含めお話しいただいた西野理事長。誠にありがとうございました。】
視察2日目の今日は静岡県袋井市へ。
引き続き、しっかり学んでまいります。