2025年2月19日
経済産業省より「エネルギー政策」について説明を受ける
「第7次エネルギー基本計画」が2月18日、早朝の閣議にて決定。
2021年10月以来となるエネルギー基本計画の改定は、現行計画の策定以降、海外では、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化など、エネルギー安全保障に係る地政学的リスクも高まる中において、総合資源エネルギー調査会では、2024年5月より計画の改定に向け検討に着手。
同年12月に原案を提示、その後1ヶ月間のパブリックコメントに付せたうえで昨日決定したもの。
新たなエネルギー基本計画では、「福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じ取り組む」ことを改めて原点に据えた上で、「S+3E」(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合性)を基本的視点として掲げ、原子力に関しては、「優れた安定供給性、技術自給率を有し、他電源とそん色ないコスト水準で変動も少なく、一定の出力で安定的に発電可能」とのメリットを強調。
立地地域との共生、国民各層とのコミュニケーションの深化・充実、バックエンドプロセスの加速化、再稼働の加速に官民挙げて取り組むとしたほか、東日本大震災以降策定の基本計画で記載されてきた「原子力依存度を可能な限り低減」との文言は削除。新増設・リプレースについては、「廃炉を決定した原子力を有する事業者の原子力発電所サイト内での、次世代革新炉への建て替えを対象」に具体化していくとされました。
また、今回のエネルギー基本計画の裏付けとして、2040年のエネルギー需給見通しが「関連資料」として示され、発電電力量は1.1~1.2兆kWh程度、電源構成は、再生可能エネルギーが4~5割程度、原子力が2割程度、火力が3~4割程度などとなっています。
なお、「第7次エネルギー基本計画」の原文など詳細は、以下リンクより、経済産業省のホームページをご覧ください。
→経済産業省HP「第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました」はこちら
そうして閣議決定のあった昨日、敦賀市議会では午前10時30分より議員説明会を開催。
経済産業省 原子力立地政策室(資源エネルギー庁 原子力広報室長)の前田博貴室長より、「エネルギー政策」について説明を受けました(経済産業省 原子力立地政策室 銀澤室長代理、若狭地域担当官事務所 山本所長も同席)。
室長からは約30分、①エネルギーを巡る状況、②近年のエネルギー政策の歩み、③※第7次エネルギー基本計画(案)について資料に沿ってポイントを説明。
※説明のあった時点では(案)が取れ成案となっています。
説明後、質疑の場においてはまず、議員お二方から、敦賀3、4号機などリプレースに向けたファイナンスについて、使用済み燃料の保管や電力消費地での広報などに関する意見がありました。
【議員説明会が開催された全員協議会室の自席より】
続いて私からは、原子力基本法改正により国の責務を明確にした上で、第7次エネルギー基本計画では「原子力依存度を可能な限り低減」の文言削除、S+3Eの原則のもと原子力を最大限活用するとした原案全体に対し評価する旨申し上げた後、以下について意見。
①既設原子力発電所の最大限活用と原子力規制について
毎年の夏・冬と電力間融通により何とか安定供給している需給ひっ迫の状況にあって、足下の需給逼迫改善に向けては、既設原子力発電所の最大限活用が急務。電力事業者も早期再稼働に向け取組む一方、課題の大きくは審査の長期化によるものであることは周知のとおり。エネルギー基本計画では、産業界や事業者に指導する旨の記載はあるが、規制に対する文言はない。アメリカでは、原子力3倍宣言と同時に規制側の体制も3倍にすると言っている。日本においても、規制サイドの体制強化や審査の効率化、確率論的評価(RPA)の手法も取り入れるべきと考えるため、敦賀からそういう意見があった旨、国においても共有いただきたい。
②今後の電力需要を見据えた時間軸を持った電源容量について
基本計画では、2040年の電力需要を最大1.2兆KWh程度と想定している。日本においては、生成AIの急激な進展による電力需要を2035年までに約600万KW増加想定とあるが、TSMC(熊本)やラピダス(北海道)など、半導体工場やデータセンター進出をはじめ、別の計画なども鑑みるに、既に先の予想を上回ることが明らかなのではないか。この電力需要にどう対応していくのかとの観点から、昨年敦賀市議会が意見書で求めたよう、将来的な時間軸と電源の必要容量を示すべきと考える。
③事業環境整備について
今後の事業環境整備に関し、基本計画原案24頁(成案では25頁)では、我が国においても、電力分野における必要な投資資金を安定的に確保していくためのファイナンス環境の整備に取り組む必要があるとし、具体的には、民間金融機関等が取り切れないリスクについて、公的な信用補完の活用をしていくとある。一方、こうした公的支援に関しては、とかく原子力発電に対して適用するとなると様々なハレーションが起こるのではと考える。ついては、そうした状況においても、確実に予見性ある事業環境整備が図られるよう検討・実施をお願いする。
なお、説明会終了後、前田室長とは立ち話でしたが、敦賀発電所2号機の審査の件に鑑み、確率論的評価がベースの米NRCやIAEAの地盤審査の考え方、AmazonやGoogle、メタ社(Facenookなど運営)がSMR等の次世代原子炉開発や原子力発電との直接契約をしている意味を考えれば、原子力の優位性がより分かりやすくなるのではなどお伝えした次第です(一方的に話したのみですが)。
正直、閣議決定された段階で意見することにどれだけの意義があるかと言われればそうかもしれませんが、日本のエネルギーを支えてきた原子力立地地域、議会の立場から、こうした機会を捉え国に意見することは責務であると考えるところ。
今後は、決定した「第7次エネルギー基本計画」を基に、いかに各電源ごとの課題を改善し具現化していくか。
冒頭述べたよう、我が国を取り巻くエネルギー安全保障に係る地政学的リスクは一層高まっていることを念頭に、引き続き「“超”現実的なエネルギー政策」実現に向け、微力ながら尽力してまいる所存です。