2019年12月25日
福島第一原子力発電所「処理済水」の処分方法について
以前にも投稿しました福島第一原子力発電所の処理済水(原子力規制委員会ではトリチウム水ではなく処理済水との言い方に努めている)の処分方法に関わる問題については、日本記者クラブ取材団が同発電所を取材したことを受け、昨日の新聞各紙で大きく取り上げられていました。
ALPS 処理水の処分方法については、経済産業省資源エネルギー庁の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」において、科学的な安全性を大前提に、技術的に実現可能な処分方法として、地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設について検討を行い、その結果、①希釈して海に流す海洋放出、②蒸発させる水蒸気放出、③海洋放出と水蒸気放出の併用の3案に絞られています。
既に処理済水を海洋放出するにあたっては、放出基準を十分に下回ることを原子力規制委員会も確認しているところでありますが、上記の小委員会資料によれば、仮にタンクに貯蔵されているALPS処理水を1年間で処分を行ったとしても、海洋放出で0.000052~0.00062mSv/年、水蒸気放出で0.0013mSv/年となり、自然放射線による影響(2.1mSv/年)の千分の1以下のレベルであるということをご理解いただければと思います。
比較論で言えば、世界各国の原子力施設においては、福島第一を大きく上回るトリチウムを放出(例えば韓国:馬鞍山原子力は年間で約20倍の液体放出)しているものの、安全上の問題は発生していません。
すなわち、この問題に関しては、放射線影響について問題ないとしたうえで、小委員会でも述べている通り、関係者、国民の皆さん、報道機関への「情報不足」により、「風評被害」が拡大することのないよう、安全に関わる「科学的事実」を丁寧に説明することが重要としています。
原田前環境大臣が「海洋放出しか方法がない」と述べたように、国や政治家からの発信はもとより、皆が関心を持って「事実を知る」ことこそが、この問題を前進させ、ひいては福島の風評被害、さらには国益に資すると考えることから、自身も引き続き、その思いを持って行動していきたいと考えます。