2021年2月2日
無関係ではないミャンマーのクーデター、ロシアの大規模デモ
政府は昨日、2月7日までを期限としていた緊急事態宣言について、栃木県を除く10都府県を3月7日まで延長すると発表。
「感染者数は減少傾向にあるが、しばらくは警戒が必要な状況だ」としたうえで、本日専門家の意見を聞き決定するとの方向であり、菅首相の会見を聞いていても異論はなく、宣言が確実に功を奏し、まずは第3波の収束を願うばかりです。
一方、コロナ禍の「夜の銀座」問題で公明党の一人が議員辞職、自民党3人衆においては事実を隠していたことが明らかとなったことは、本当に情けないやら呆れるやら。
ここに書くにも値しないことなのでこれ以上は止めますが、議員として「覚悟」をもって進退の判断をしていただきたいと思います。
さて、こんな情けない国会議員のことが話題になっている日本とは打って変わり、世界ではまさに命を懸けた政権闘争、イデオロギーの戦いが繰り広げられています。
ひとつはロシア。
1月31日、ロシア全土でプーチン批判を掲げる反政権活動家アレクセイ・ナバリヌイ氏が帰国直後に拘束されたことに抗議するデモが実施され、同氏の妻ユリアさんを含む参加者少なくとも計5045人が拘束されました。
ナバリヌイ氏のチームは「きょうのデモは終わったが、我々はナバリヌイ氏の自由を求めて戦い続ける」とSNSに投稿し、次回のデモを本日2月2日に実施すると呼び掛けています。
この日はモスクワの裁判所で、同氏が詐欺罪で言い渡された執行猶予刑を実刑に変更するかどうかの審理が予定されており、支持者らは、国内120都市でそれぞれ行動を起こし、特にモスクワのデモ隊は同氏が拘束されている市北東部の施設へ向かう行進を計画。
これに対してロシア内務省は、同施設につながる地下鉄線の駅を次々に閉鎖するなど激化の様相を見せています。
次にミャンマー。
昨日は速報で報道されたよう、ミャンマー軍は、与党・国民民主連盟のアウンサンスーチー国家顧問やその他の複数の幹部を拘束し、国軍トップに国の実権を与えたとのこと。
スーチー氏は言わずもがな、「建国の父」と謳われ暗殺されたアウンサン氏の娘で15年にも亘る自宅軟禁を経験するなど、ミャンマーの民主主義の英雄と多くの人々から位置付けられています。
50年続いた軍政後に行われた2015年の総選挙で国民民主連盟は勝利を収め、スーチー氏は同国の事実上のリーダーとなった訳ですが、何でも昨年11月に行われた総選挙に関し、投票不正の調査が行われなければクーデターも排除しないと以前から軍幹部が発言しており緊張が高まっていたところ。
いよいよミャンマー軍が、選挙不正への対応として政治指導者の重要人物を拘束し、非常事態宣言を発令したと軍営テレビで発表したものであり、紛れもないクーデターであります。
この二つの大きな衝突に対し、アメリカを始め欧州諸国は即座に抗議の意思を表明しており、とりわけアメリカは、在モスクワ米大使館と国務長官がtwitter上でロシア当局の対応を非難。
ロシア外務省はこれに対し、「重大な内政干渉だ」と反発する声明を出しています。
またミャンマーに対しては、米ホワイトハウスのサキ報道官が、「もし今回の進展が元に戻らなければ、米国は責任者に対して措置を講じる」と述べたほか、オーストラリア外務省もスーチー氏や幹部らの即時釈放を求める声明を出しています。
わが日本はといえば、茂木外相が談話で「民主化プロセスが損なわれる事態が生じていることに対し、重大な懸念を有している」と表明し、ミャンマー国軍に対してスー・チー氏ら関係者の解放と民主的な政治体制の早期回復を強く求めています。
他国のこととは放っておけば良いとの考え方もあろうかと思いますが、特にミャンマーに関しては、国軍が伝統的に中国と関係が深いということを忘れてはなりません。
欧米諸国がミャンマー国軍批判を強めれば、手を差し伸べるのは中国であろうとの見方が強いことからすれば、東南アジアをつなぐ要衝とも言えるミャンマーが今後、「民主主義」か「軍政」かのどちらに動いていくのかは、日本にとっても極めて重要な意味を持っていると考えるところです。
「足は職場へ、胸には祖国、眼は世界に」
労組時代からのこの教えをモットーとする私にとって、いま世界でうごめいている衝突は、どこかで必ず日本ともつながると思うものであり決して無関係ではいられないもの。
だからといって何が出来る訳ではありませんが、政治に携わる者として、こうした状況を把握し、日本が執るべき対応や果たすべき役割について自分ごとと置き換えておくことこそが「覚悟」と思い、思考だけは巡らせておきたいと考えます。