2025年3月3日
減少する「出生数」、悪化する「体感治安」
3月3日は「桃の節句」。
言うまでもなく、「ひな祭り」とも呼ばれるこの日は、女の子の成長と健康を願う年中行事。
実は今年、わが家も久しぶりに「ひな人形」を飾ったところであり、人形に重ね、今は東京で働く長女が、これからも健やかに過ごせるようにと願った次第です。
一方、そのような親心から、今後の子ども達の将来を考える意味において心配な状況がふたつ。
ひとつは、先般大きく報じられた「出生数」。
厚生労働省が発表した人口動態統計によれば、令和6年に生まれた外国人を含む子供の数は速報値で72万988人と9年連続で過去最少を更新。
さらに、厚労省が6月頃に発表する日本人に限った概数では70万人を割る可能性が高いとされ、出生数の減少は政府想定より15年速いペースで進んでいるとのこと。
婚姻数は49万9999組と前年より増えたものの、戦後2番目に少なく低迷しており、婚外子が少ない日本において、婚姻数の減少は出生数に大きく影響するとありました。
まさに敦賀市においても、この30年で半減した出生数が、婚姻数と比例の関係にあることからも、現在本市で進めるような出会いや結婚を希望する方への支援が重要であると、改めて認識するところです。
ふたつ目は、わが国の治安情勢。
言い換えれば、「安心・安全に暮らせる社会」ということになりますが、令和7年2月に警察庁長官官房が発表した「令和6年の犯罪情勢」によれば、昨年10月に警察庁がネットで15歳以上の5千人に行ったアンケートにおいて、76.6%の人が「過去10年の間に治安が悪くなった」「どちらかというと悪くなった」と回答し、これは過去の調査で最悪の結果であるとのこと。
→警察庁長官官房「令和6年の犯罪情勢」原文はこちら
治安悪化を感じる際に思い浮かぶ犯罪は「オレオレ詐欺や投資詐欺、ロマンス詐欺など」が69%と最も多く、「不正アクセスなどによる個人情報の流出」「空き巣など住宅へのどろぼう」「インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷」などが続いており、統計上も情勢悪化は明白。
特にSNSなどを介した「投資詐欺」「ロマンス詐欺」の被害拡大は深刻で、統計によれば、特殊詐欺の認知件数は2万987件、被害額は何と約 722億円と、いずれも前年比で増加(それぞれ前年比 10.2%、59.4%増加)し、被害額が過去最多となった平成26年を大きく上回るなど厳しい情勢が続いています(下図参照)
【警察庁「令和6年の犯罪情勢」による詐欺の認知件数・被害額の推移】
詐欺に対し政府は昨年6月に総合対策をまとめ、広告管理の強化を柱とする措置をSNS事業者に要請したものの、統計を見る限り、効果を挙げているとは認め難く、犯人が誘導元を詐欺広告からDM(ダイレクトメッセージ)にシフトさせつつあるなど、「いたちごっこ」状態にあるため、より一層、私たち自身も声掛け合って気を付けねばなりません。
なお、警察庁は「今後の取組」で以下のように結んでいます。
「これらの犯罪への対処を含め、その時々の情勢の変化に的確に対応するため、所属・部門を超えたリソースの重点化や能率的でメリハリのある組織運営を一層強力に推進することにより、警察機能を最大限に発揮し、国民の期待と信頼に応えていく。」
国外、いわゆる外交安全保障においては、高まる国際情勢の緊張によって取巻く情勢は厳しいと良く言いますが、国内まで、国民の「体感治安」が悪化するような日本には決してしたくありません。
冒頭の親心からいっても、子ども達がこの先、豊かで安心・安全に暮らしてせる社会にしていくには何をすれば良いか。
国が、警察がやってくれるではなく、できることは小さくとも、一人ひとりが自分ごとに置き換えて、それぞれの地域社会の中で行動することが大事なのではとも考える次第です。