水資源の大切さを考える「上水道の日」

ブログ 敦賀の自然

曇天続きの昨日、午後7時頃には激しい雨。
 
ちょうど車を運転していたのですが、おそらく今の車に乗って8年目で初めて「最速段」にしたワイパーでやっと前が見えるほど。
 
その後しばらくして止んだため、最もタイミングの悪い時に運転していたことになりますが、この程度で済んで良かったと、胸を撫で下ろすところ。
 
この「雨」に関し、日本の年間降水量は世界平均の2倍以上、また島国であるため、隣国と水資源を巡る争いは基本的に存在しないことから、水資源が豊富な国と言われ、そのため日本人は「水と安全はタダ」と当たり前に思っていますが、世界の多くの国ではそうではないよう。
 
国土交通省によれば、「国土全体において水道水を安全に飲める国」は世界に9カ国。
 
フィンランド、スウェーデン、アイスランド、オーストリア、ノルウェー、デンマーク、オランダ、ニュージーランド、そして日本。
 
日本は、水道水がそのまま飲める数少ない国の1つなのであります。
 
これには、降水量が多いことなど、地形学的にも日本列島が自然から与えられた環境があってのことであり、命と直結する「自然の恵み」に感謝すべきと思うところです。
 
さて、水に関して言えば、今日は「上水道の日」。
 
日本の近代水道は、今から138年前の明治20(1887)年10月17日、イギリス人技師のヘンリー・スペンサー・パーマー氏の指導のもと、横浜に初めて創設されたことに始まります。
 
「近代水道」とは、川などから取り入れた水を濾過して、鉄管などを用いて有圧で給水する、今日私たちが使っている水道と同じ仕組みの水道のことで、近代的上水道の特徴は有圧送水、ろ過浄水、常時給水、また、近代的上水道の三大発明として、鋳鉄管、砂ろ過、ポンプが挙げられるとのこと。
 
では、なぜ横浜かと言えば、当時の横浜は、海や沼を埋め立てて町がつくられたため、井戸を掘っても塩辛く、飲み水には適していなかったところ、1859年の横浜開港以来急速に人口が増加し、販売されている水だけでは足りなくなったことや、伝染病が蔓延したことで、近代的な上水道を整備する必要が出てきました。
 
そこで、イギリス人技師のパーマー氏の指導の下、44㎞離れた相模川上流から水をひき、横浜で緩速砂ろ過し配水。
 
この水道こそが、ろ過した水に圧力を加えて鉄管で送り、蛇口からいつでも水を使うことが出来るという、日本で最初の近代的上水道となったとあります。
 
なお、近代的上水道が出来た頃は、各家庭まで水道をひいて使うということはほとんどなく、多くの家庭では、共同の蛇口から水を汲んで使っていたことはお察しのとおり。
 
それから140年近くが経過をし、日本の水道普及率は約98.3%(2023年3月末時点)と高く、世界でもトップクラスの水準であるうえ、水道法で定められた水質に関する基準を満たした水道水は、前述のとおり、その品質と安全もトップクラスと言えます。
 
世界的な視点で見れば、20世紀は自動車や航空機が登場したことにより、石油を巡る争いが絶えず、20世紀は「石油の世紀」と言われましたが、21世紀は「水の世紀」。
 
世界の大河川では、上流での水需要が多くなり、下流で水が枯渇し始めるなど、水の利用を巡って争いが起きています。
 
つまりは、私たちの生活に直結する「上水道」は「当たり前」ではないことに加え、そのおいしさや安全性は、関係者の絶え間ない努力によって支えられていることを忘れてはなりません。
 
私自身、これまで幾度となく、敦賀の水道は水資源もそれらを守る人も「貴重な宝」と述べてきましたが、本日、10月17日の「上水道の日」を契機に、皆様におかれましても、水資源の大切さを改めて考えてみてはいかがでしょうか。
 

【敦賀市が保有する給水車。発災時においても、敦賀の「おいしい水」を届けてくれます。】
 
(参考)水道に関する過去ブログは、以下リンクほか、「水道」「山本たけし」で検索いただきご覧ください。
 
 →2021年10月15日ブログ『敦賀の水道は資源も人も「貴重な宝」』