新幹線開業は「卒業のない入学式」 〜北陸新幹線敦賀開業から今日で1年〜

ブログ まちづくり 北陸新幹線

まさに「漫画の主人公のような」の形容詞がつくスーパースター「大谷翔平」選手。
 
昨日行われたドジャースvs巨人の米大リーグプレシーズンゲームの3回には、快音を残した打球がライトスタンド中段へと吸い込まれ、満員の東京ドームには大歓声が降り注ぎました。
 
これにドジャースのロバーツ監督は、「いつも期待に応えるし、期待を超えてくる。素晴らしい打席だった」とコメント。
 
あれだけの成績を納めながら、幼少期からの夢「世界一の野球選手」になることを追い求め、進化し続ける大谷選手には賞賛の思いしかありませんが、いよいよシーズン開幕。
 
今年はさらに、どんな「度肝を抜く」プレーを見せてくれるのか、世界中の大谷ファンとともに応援したいと思います。
 
さて、ここ最近は周年ごとが続いておりますが、本日3月16日は「北陸新幹線敦賀開業1周年」。
 

【JR敦賀駅構内に飾られた、開業1周年を祝うモニュメント】
 
敦賀市内では「つるが街波祭」が開催されるなど、この週末は県内各地でも1周年を祝うイベントが行われているところですが、昨年の今ごろは、東京初の一番列車「かがやき501号」が出発していたことを感慨深く思う次第です。
 

【開業時の東京初一番列車の出発表示。東京の知人がわざわざ撮影し送ってくれたことに感動してから1年。】
 
開業1周年を前に、昨日の福井新聞には関連記事が掲載されるところ、「なるほど」と納得する内容がふたつありましたのでご紹介いたします。
 
ひとつは、データ分析による開業前後の変化。
 
2024年度の都道府県別観光来訪者数のオープンデータによると、福井は前年同期比113%(2月末現在)となり、増加率が全国で最も高かったことが福井新聞の分析で分かったとあり、新幹線による一定の誘客効果が示された形。
 
都道府県別や市町村別の観光来訪者数を毎月公表している日本観光振興協会の「デジタル観光統計オープンデータ」を使い、23年度と24年度の4~2月の11カ月分の来訪者数を比較。
 
県内4駅周辺(半径500メートル)に滞在した県外者を分析すると、人数は福井、敦賀、芦原温泉、越前たけふの順に多く、芦原温泉駅は大阪を出発した人が減り、福井駅周辺の滞在者は終着駅の敦賀駅の約2倍という特徴が分かった。
 
また、4駅周辺からの移動先を地図上で可視化、駅や主要観光地からの行き先が分かるデジタルマップが福井新聞ホームページで公開しているということで、リンク先から敦賀駅からの移動先マップを見てみると以下のとおり。
 

【デジタルマップで出発地点を「敦賀駅」とした結果】
 
 →「駅や主要観光地からの行き先が分かるデジタルマップ」はこちら
 
県外者の移動の可視化には、スマートフォンの位置情報や人工知能を活用した人流分析を手がける東京の企業「GEOTRA(ジオトラ)」のサービスを利用し、独自のプライバシー保護技術を活用した高粒度人流データ「GEOTRAアクティビティデータ」を用いたとあり、こうした技術やデータを生かして、次の施策を考えることが重要と感じた次第です。
 
ふたつ目は、以前よりご示唆をいただいている櫛引素夫 青森大学教授(新幹線学)による寄稿。
 
タイトルは『安心感と自信が地域に』とあり、北陸三県の真ん中にあった「壁」が取り払われた解放感、敦賀まで延びた新幹線は再び北陸を一つに結ぶと同時に、交通地図の上で福井県の位置が解像度を増したとの書き出しから、「1年という節目は、新幹線の本来の効果や影響を論じるには早すぎる。特需が一段落する2年目以降こそ真価が問われる。」。
 
人口減少と高齢化が労働力を目減りさせる環境下、新幹線延伸と「持続可能な地域づくり」をどうかみ合わせていくか。最大のポイントは暮らしやすさ、近隣県にない「福井らしさ」だろうか。
 
人の動きや経済活動をめぐるデータを収集・分析し、その上で「つながりとは何なのか、その変化が地域にどんな不利益をもたらすのか」をきちんと検証する必要がある。
 
(小浜・京都ルートを念頭に)整備新幹線構想は隣り合った府県単位の利害関係を想定しておらず、感情の正面衝突に出口はない。状況の克服に向け、「政治」の本質的な存在意義が問われる。
 
そして結びには、「新幹線開業は「卒業のない入学式」だ。1周年を一つの通過点に地域や社会、政治の仕組みをどうバージョンアップしていくか。昭和が生んだ“夢の超特急”の先を目指す、ビジョンと覚悟が問われる。」とありました。
 
寄稿のサブタイトルは『「福井らしさ」で人口減克服を』。
 
『「敦賀らしさ」で人口減克服を』に置き換えた次第。
 
また、以前に櫛引先生から教わって以降、肝に銘じていることは「新幹線は目的ではなく手段」、「真の新幹線効果は、地域住民の利便性を向上させ、自分ごとと感じてもらうこと」であるということ。
 
真価が問われるのはこれから。
 
ポテンシャル十分の「敦賀」の発展に向け、気持ち新たに頑張ります。