2024年7月24日
敦賀2号審査を巡る原子力規制委員会のやり方に「違和感あり」
昨日は、粟野交番前での街宣活動からスタート。
開始時点の7時半前で30℃近くまで気温上昇ということもあり、服装もポロシャツに白スニーカーで暑さ対策を講じました(特にスニーカーは快適でした)。
街宣では、主に一昨日発生した東海道新幹線トラブル(保線車両脱線事故に伴う大混乱)を踏まえた国土軸多重化(北陸新幹線小浜-京都ルートなど)の必要性やエネルギー基本計画見直しなど、これら国家的課題はいずれも、敦賀と大きく関わることである旨お伝えしました。
引き続き、少しでも政治や市議会のことが市民の皆様に伝わるよう活動に励んでまいります。
【政治は国民生活と直結。とりわけ、エネルギー・原子力は敦賀にとって切っても切れない課題。】
さて、エネルギーの関係については、地元敦賀にとってはもとより、さらには国にとっても、貴重な116万キロワット(定格出力)の電源を有効に使うか否かという点においても、大注目は日本原電の敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)。
その敦賀2号について、昨日、共同通信が報じたネットニュースに次の記事がありました。
<以下、記事引用>
原子力規制委員会は23日、日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀2号(福井県)の審査会合を26日に開くと発表した。規制委の審査チームは原子炉直下に活断層がある可能性を指摘しており、結論を出す方針。活断層があると判断されれば新規制基準に適合できず、初の不合格となる。
原子力発電所の新規制基準では活断層の上に原子炉など安全上重要な施設の設置を禁じており、廃炉になる可能性も出てくる。
審査では
(1)原子炉の北約300メートルにある「K断層」が活断層かどうか(活動性)
(2)(※1)原子炉直下を通る「D―1断層(※2)」がK断層と一体で動くかどうか(連続性)
が焦点。審査チームは5月、(1)について「活動性は否定できない」と結論付けており、26日は(2)を判断する。原電は規制委からの指摘に回答した上で、改めて(1)(2)をともに否定するとみられる。
<引用終わり>
※1:連続性に関しては「K断層がD-1トレンチより先(原子炉建屋)まで連続しているかどうか」の表現が適切かと。
※2:D-1は、あくまでも「破砕帯」であって「活断層」ではない。
いつものことながら、報道機関はさも、審査不合格=廃炉の印象操作をしたいのでしょうが、審査結果を受けて発電所をどうするかは「民間企業」の経営判断で決めることであり、こうしたレッテル貼りをすることは、民間企業潰しの片棒を担ぐことにもなることから、いい加減、今後は止めていただきたい。
この記事にもあるよう、原電は「改めて(1)(2)をともに否定するとみられる。」という部分がポイントであり、公平を期す報道各社に置かれては、原電がなぜ否定するのかという点についても報じていただきたいと考える次第です。
一連の審査を巡っては、ここ最近、報道では産経新聞論説「正論」や複数の有識者が、一言で言えば、「規制委員会のやり方はおかしい」と指摘する意見を述べています。
すべて拝見し、それぞれ言い回しは違えど、指摘のポイントはおおよそ次の通りと認識するところです。
①なぜ、敦賀2号だけ幕引き(期限)ありきで拙速な判断をする必要があるのか。
②以前の有識者会合(法的根拠なく原子力規制委員会が設置した)と同じく、「可能性を否定できない」の論法を駆使し、事業者に「悪魔の証明」を突き付けている。
③事業者からの、追加調査をし、データを提出したいとの申し出を「勝手にすれば」と突き放していること。
④専門家の多様な意見を聞かずに判断しようとしており、独善的である。
⑤規制委員会は独立性を与えられていても国の行政機関であり、その使命は原子力発電所の安全性を高めて活用することにある。発電所を止めて安全性を高めようとするなら「独立」を「独断」「独善」と履き違えての本末転倒である。
⑥この不安定な国際情勢の中で、エネルギーという生命線を確保する上で、(敦賀2号の件は)極めて重大な判断であり、政府・国会でもきちんと議論すべき。
各記事における、筆者それぞれの主張は以下のリンクより、ぜひご覧ください。
◉産経新聞論説「正論」(2024年7月17日)
→<主張>敦賀2号機の審査 「悪魔の証明」は禁じ手だ 規制委はなぜ幕引き急ぐのか(2024年7月17日)
◉国際環境経済研究所に投稿した石井孝明氏(経済記者)の意見
→敦賀2号機 原子力規制委の適切な審査を期待(2024年7月19日)
◉NewsPicks記事に対する竹内純子氏(国際環境経済研究所 理事・主席研究員)のコメント
→敦賀発電所敷地の活動性否定できず 規制委結論 廃炉可能性も(2024年5月31日)
→敦賀2号 規制庁 26日に審査 再稼働初めて認めない可能性(2024年7月23日)
さらに、昨日行われた国民民主党の定例記者会見において玉木雄一郎代表からは、「大切な決断がこの週末に迫っている」との危機意識のもと、次の発言あり。
<以下、YouTubeをもとに自身で文字起こし、一部文語調に修正したもの>
大切な決断がこの週末に控えている。それは敦賀2号に関する審査に関して、ひとつの判断が下されようとしていること。
12年ぐらい審査してきて、原電側は追加の調査を求めている中で、今月末だと言って期限を区切って結果を出そうとしているが、私は正直、この規制委員会のやり方には違和感を感じている。12年、時間を掛けて時間を掛けてやっておきながら、原電側が追加の断層の調査をしたい、あるいは7月末ではなく、9月末まで延ばしてくれ、追加の資料を出したいと言っているのを打ち切って、敢えて7月末に結論を出そうとすることは、私は非常に不自然だし、違和感を感じる。
あまり憶測でモノを言いたくはないが、間も無く任期を迎える規制委員会の委員の一人が、ある種自分のレガシー(遺産)にするという観点から、12年掛けてきた審査を今月で切って結果を出そうとする。一方で、事業者側はまだ追加の情報を出したいと言っている時に、これもダメだ、再稼働を認めないという結論になる場合、これは敦賀2号のみならず、他の原子力発電所にも大きな影響を与えることになる。よく規制側と事業者側がコミュニケーションをとってやっていくことが必要であり、こういったことを冷静に科学的に客観的にやっていくべきではないかと思いますので、少し違和感を感じること、懸念は申し上げておきたい。
(終わり)
→【YouTube】国民民主党・玉木代表会見(2024年7月23日)
※敦賀2号に関する発言は、20分40秒あたりから
原子力規制委員会が独立性の高い第三者委員会であるが故、政治の場から意見することをタブー視する感は否めませんが、であったとしても、米国のように原子力規制行政をチェックする役割は政治(政府や国会)にあると考えるところ。
国民民主党の認識は玉木代表が述べた通りですが、岸田首相や関係閣僚、自民党を始め、与党の皆さんはいかがお考えなのか。
いずれにしても、敦賀2号の審査如何は地元敦賀のみならず、国際情勢や今の日本のエネルギー事情からすれば、日本再生に向けて鍵を握るもの。
大注目の審査は明後日26日(金)。
本日ご紹介したことも念頭に置いていただいた上で、この審査会合をご覧いただけますようお願いいたします。