敦賀発電所2号機の追加調査計画は「万全を期すため」公表を延期

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若かりし頃、6,7号建設の研修(主にタービン据付工事)のため、約半年間お世話になった東京電力柏崎刈羽原子力発電所。
 
そうした経過から、私の中では、思い入れのある「第2のマイプラント」として、再稼働の行方を見守っているところ。
 
最も再稼働に近い7号機に関しては、あとは地元の了解を待つばかりでありますが、ここに来てエネルギー、原子力分野における国内外の第一人者が同発電所を視察。
 
3月21日には、原子力委員会の上坂充委員長が中央制御室(6,7号共用)や7号機原子炉建屋内オペレーティングフロア等を視察され、委員長からは、日々の努力と成果に対し、心からの感謝と敬意を表されたうえで、「再稼働へ向け、丁寧に、かつ真摯に作業に取り組まれていると感じた。原子力の分野にいる身として、困難な取組をされている皆さんを誇らしく思った」「再稼働へ向けて大変な時期かとは思うが、一人一人が最後まで気を抜かず、安全確保へ思いを巡らすことをお願いする」との激励があったとのこと(東京電力ホールディングス(以下、東京電力HD)ホームページより)。
 

【柏崎刈羽原子力発電所7号機の中央制御室を視察する上坂委員長(写真右)】
 
参考まで、同委員長は昨年9月に開催された国際原子力機関(IAEA)の第68回通常総会の場において、福島第一原子力発電所のALPS処理水海洋放出の安全性に関し、IAEAや専門家によるモニタリングとレビューにより裏付けられており、人や環境への影響はなく、処理水を汚染水と表現することは適切ではない、と改めて強調された方であることを補足いたします。
 
続いて、3月26日には国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長が視察。
 
ガスタービン発電機車や防潮堤などをはじめとする安全対策設備等をご覧になったうえで、事務局長からは、「技術者や作業員、発電所で働くすべての人々が、想定される課題はもちろん、さらに、想像を超えるような課題にも備えた対策を講じており、非常に満足している」と評価。
 
また、「柏崎刈羽原子力発電所は、日本をより安全で豊かな国にするうえで大きく貢献できる。この発電所が安全基準と規制要求に沿ったうえで、一刻も早く発電を開始することを強く期待する。これは日本政府に対する私の強いお願いである」との言葉があったとのこと(同じく東京電力HDホームページより)。
 
ビロル事務局長は視察の翌27日には、経済産業省で武藤容治経産相と会談し、「クリーンな電力を確保するのは大変重要。柏崎刈羽だけでなく、他の原子力も安全性の基準にのっとり、できるだけ早く再稼働することを期待する」と述べています。
 
こうした方々からの評価やご意見を聞けばなおのこと、科学的判断ではなく、どこか空気感で再稼働ができない状況に忸怩たる思いが込み上げてくる訳ですが、日々ご尽力されている関係者の皆様に敬意を表しつつ、一日も早い再稼働を切に期待する次第です。
 
さて、こちらは「マイプラント」の敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)。
 
敦賀2号に関しては、3月末までに県と市に示すとしていた敷地内破砕帯等の追加調査計画の公表を延期する旨、3月31日に発表しました。
 

【3月31日に日本原電が発表したプレス文】
 
追加調査は、先の審査で焦点となった原子炉建屋北側の試掘溝で見つかった「K断層」が活断層でないことなどを証明するために実施するもので、日本原電は外部有識者の意見を踏まえて調査内容を検討してきたものの、さらに慎重を期すため別の有識者からも第三者の視点で意見を聴くことにしたとあります。
 
なお、新たな公表時期は未定。
 
これを受け、米澤光治敦賀市長は「再申請に向けて必要となるデータが確実に得られるよう、調査内容を十分に検討した上で計画を策定し、真摯に調査に取り組んでもらいたい」とのコメントを発表されており、冷静に見守っていただいていると理解するところ。
 
公表延期の理由は「調査内容に万全を期すため」。
 
審査で許可されなかったことを覆すためには、取りこぼしや後戻りは許されないことから、計画の段階で「万全を期す」ことは極めて重要であり、あらゆることを想定のもと慎重に進めていただきたいと思う次第です。
 
敦賀2号のいわゆる敷地内破砕帯問題についてはそのうえで、過去からの経緯を知る私としては、「活断層ではない」ことを科学的に証明できると信じ止みません。
 
ついては、柏崎刈羽と同様、切に期待するのは「一日も早い再稼働」であると、「マイプラント」に思いを寄せる次第です。