敦賀市からの上告申立書を最高裁判所が受理 〜樫曲民間最終処分場問題〜

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昨日、敦賀市市民生活部から届いた一報は、「南那須地区広域行政事務組合外4団体との事務管理費用償還等請求事件に係る上告受理申立ての受理決定について」。
 
タイトルだけを見ると何のことか分からないかと存じますが、これは敦賀市、そして廃棄物行政にとって大きなこと。
 
いわゆる、敦賀市樫曲(かしまがり)地区で起きた、ごみの「民間最終処分場問題」に関する対応について、同部からの報告によれば、
 
◉令和4年12月21日に上告受理申立書を提出した南那須地区広域行政事務組合外4団体との事務管理費用償還等請求事件について、最高裁判所より令和7年4月17日付けで、上告審として受理する旨の決定があったので報告する。
◉なお、今回、最高裁判所からは上告受理申立てを受理する旨のみ連絡があったものであり、現時点で受理された理由等の詳細については不明です。今後は、最高裁判所において審理され、判決される運びとなりますので、今後の対応につきましては、最高裁判所から判決が言い渡された後、判決内容を精査の上、議会説明会にて報告する。
 
とありました。
 
言葉の定義を調べてみると、「上告受理申立書」とは、民事裁判の控訴審判決に不服のある当事者が、最高裁判所に上告受理を申し立てる際に提出する書面のこと。
 
また、上告受理申立ての理由としては次のようなものがあり、上告受理申立ては、民事訴訟法318条に規定され(裁量上告とも呼ばれる)、最高裁判所が上告を受理するか否かは裁量で決めるとしています。
 
<上告申立ての理由>
・控訴審判決が最高裁判所の判例に違反している
・控訴審判決が最高裁判所の判例がない場合の大審院判例・高等裁判所の判例に相反している
・法令の解釈に関する重要な事項を含む法令違反がある
 
つまり、今回の報告は、敦賀市からの上告申立書を、最高裁判所の裁量により受理したことになります。
 
そこで、もう少し本件の過去経過を振り返るに、自分で言うのも何ですが、便利なのが「やまたけブログ」。
 
時系列でいくと、ちょうど上告受理申請書を提出する前の令和4(2022)年12月9日のブログでは、前日の福井新聞トップが「敦賀・ごみ処分場巡る訴訟“市外排出元 対策義務なし”」との記事であったことを踏まえ、次のように記載。
 
<以下、当時のブログ抜粋>
 
全国から許可量の13倍を超えるごみが持ち込まれた敦賀市樫曲の民間最終処分場の抜本対策工事費を巡り、本市がごみの排出元の「南那須地区広域行政事務組合」(栃木県那須烏山市、那珂川町で構成)など5団体に費用の一部約6億3千万円の支払いを求めた控訴審の判決言い渡しが7日、名古屋高裁金沢支部であり、ここで何と、吉田尚弘裁判長は敦賀市側の控訴を棄却し、一審の福井地裁で5団体に命じた計約1億2千万円の支払いのうち、4団体の計約1億1800万円の支払いを取り消す判決を下したとのこと。
 
いわゆる「ごみ問題」に関する訴訟対応に関しては、これまでも市から状況説明をいただきつつ、進捗や対応方針などを伺ってきたところでありますが、この判決を受けての考えについては、12月15日に開催される議員説明会にて説明を受けることになっている。
 
<抜粋終わり>
 

【当時、FBCネットニュースが報じた際に映された、全国から許可量を超えるごみが持ち込まれた敦賀市樫曲の処分場】
 
また、同年12月16日のブログでは、前日に行われた議員説明会にて、名古屋高等裁判所で判決が下された「敦賀市民間最終処分場の費用負担問題」に関し、現況と今後の対応について市民生活部より説明を受けたとした上で、次のように述べています。
 
<以下、ブログ抜粋>
 
「敦賀市民間最終処分場の費用負担問題」については、係争中案件のため詳細に触れることは控えますが、名古屋高裁での判決を認めるようでは、我が国の廃棄物行政の根幹が揺らぐ大問題であると認識することから、市にはこれを覆すべく、最高裁に上告のうえ徹底的に戦っていただきたいと考えます。
 
<抜粋終わり>
 
そもそも、本来はごみを発生した自治体(排出元)が自分のまちで処理するとの原則論があった上で、ごみの処分を受け入れた自治体(今回の場合は敦賀市)が要する対策費用の負担義務もないとすれば(名古屋高裁はこれを認めた)、どこが他のまちで発生したごみまで受け入れるのか。
 
廃棄物行政を揺るがす、「まさか」の判決を受けてから約2年4ヶ月を経て受理された上告申立書。
 
本件が廃棄物行政の根幹を揺るがすものとすれば尚のこと、受け入れ自治体としての主張を最高裁の場でも明らかにすることによって、必ずや判例が覆ることを信じる次第です。