2025年9月20日
敦賀のアイデンティティを継承し、地域を守り続けるために何をすべきか
敦賀市議会9月定例会の一般質問は昨日、最終日を迎え、私も質問を終えました。
13時から55分間(質問の持ち時間は30分)、是々非々かつ建設的な議論を心がけ、自分なりのベストは尽くしました。
早速、本日のブログでは、質問のやり取りをご報告いたします。
私の質問は発言通告書を基に、理事者の答弁は、嶺南ケーブルネットワーク(以下、RCN)議会チャンネルの録画より、要点だけ文字起こししたものをQ&A形式で記載いたします。
なお、答弁を受けて質問したこと(更Q)は割愛しておりますのでご容赦ください。

1.戦争の惨禍と人道の心を伝え、つなぐことについて
<発言趣旨>
まず冒頭、この質問では、戦争、人道というテーマを取り上げるが故、いかなるイデオロギーも排して質問します。加えて、昭和16(1941)年12月に対米開戦した戦争の呼称は、広くは第二次世界大戦、大東亜戦争、太平洋戦争、アジア太平洋戦争など複数あり、どう呼ぶかについても思想が及ぶため、ここでは「先の大戦」と呼ぶことをお断りしておきます。
その上で、先の大戦終結から「80年」を迎えたいま、国民の9割が戦争を知らない世代となり、敦賀においても同じく、市民のほとんどが戦争を知らない世代となるなか、犠牲となった戦没者戦災死没者に対する追悼の念はもとより、日本海側で初めてであり、敦賀の歴史上、未曾有の惨禍となった敦賀空襲などの史実を伝え、つなぎ続けることは、現世を生きる者の使命と役割であると考えるところ。
また、敦賀に根ざす「人道の心」を育み、継承する「人道の港敦賀ムゼウム(以下、ムゼウム)」は、リニューアルオープンから今年で5年を迎え、ポーランド孤児やユダヤ難民を敦賀港で受け入れた史実をもとに、国内外の都市や人との交流を深めるほか、その歴史を次代につなぐなど、「命」と「平和」の発信を続けており、その取り組みは、戦争が絶えない国際情勢にあって、今後ますます重要さを増すものと考える。
そうした認識のもと、敦賀だからこそ、市民とともに戦争の惨禍と人道の心を伝え、つなぎ続ける役割があると考え、そのためになすべきことは何かとの視点をもって、以下質問する。
やまたけ:敦賀市戦没者戦災死没者追悼式の参列者は年々減少しており、今後の継承に危機感を覚えるところ。取り組みの一貫性や継続性の観点から、この役割は今後も行政が主体的に担っていくべきと考えますが、その考えを共有いただけるか。
市長:敦賀市として主催していく。
やまたけ:「戦後80年」を迎えたいま、この節目を機に、今後の敦賀市戦没者戦災死没者追悼式に関しては、令和7年第2回定例会での市長答弁にあったよう、戦没者追悼敦賀市民の会とも連携を図りながら、若い世代の方にも積極的に参加していただけるように取り組んでいく必要があり、来年から少しづつでも変えていくとの思いのもと、今後のあり方について具体的議論を進めていくべきと考えるが、市の考えを伺う。
市民生活部長:次世代につなぐという思いは市の追悼式においても同様であり、遺族の方に限らず、より多くの方が参列し、追悼することができるよう協議の中で具体的なご意見をお伺いし、検討を深めていく。
やまたけ:具体的な見直しの提案として、まずは、真に広く市民の参加を促すよう、①案内のあり方を考える(究極に言えば案内状を無くす)、②格式ばったスタイルを和らげるため読み上げ献花の採用(来賓もご遺族・参列者も同時に献花する)、次代を担う世代の参加に向け、③子ども達が思いを伝える場を設ける(メッセージや作文など)、④国歌や市歌の(中高生の)ブラスバンド演奏での参加、⑤ボランティアでの運営側への参加、空襲の惨禍を知っていただくため、⑥敦賀空襲後の写真や戦争体験を描いた絵などをパネル展示、⑦体験談の語り部、その他として、⑧無宗教で執り行うことの周知(数珠は不要)など。
もちろん、関係者の皆さんと協議をいただきながら、できるところから取り組む前提での提案だが、市の受け止めを伺う。
市民生活部長:多くの提案をいただいた。いずれも様々な工夫で参列者を増やすことができる前向きな提案だと感じている。提案いただいた内容は、関係団体等にも紹介をし、追悼式のあり方を検討する中で参考にしていく。
やまたけ:教育の場においては、戦争体験を風化させずに継承しようと、福井県遺族連合会が県内の小中学校や高校で始めた「語り部」を、敦賀市内においても毎年のプログラムに取り込み実施することを提案するが、市の考えを伺う。
教育長:文科省からも「平和の語り部事業プログラム」の積極的な活用について協力依頼がされている。各小中学校に、平和の語り部事業の趣旨と意義を周知し、子どもたちが戦争体験を直接聞く機会を通して、戦争の悲惨さや平和の尊さを学ぶ教育の充実に努めてまいる。どの学校でも取り組んでいくように。
やまたけ:次に、ムゼウムについて、リニューアル開館から5年を振り返り、当初掲げた施設の役割・目的に対する達成度や、これまでの取り組みに対する評価を伺う。
文化交流部長:施設の役割・目的に対する達成度については、この5年間において一定の成果を残すことができていると考えている。
やまたけ:今年度、ポーランドとリトアニアを訪問され、とりわけポーランドの国内3自治体と協力意向署名をするなど、多くの成果があったと認識するが、今回の訪問を通じて得たものについて伺う。
市長:ポーランド共和国の3自治体と本市の間で強固な絆を結ぶことができたこと。自治体レベルでの交流のスタートを切ることができたことは非常に大きいことだと感じている。リトアニア、ポーランドの本市と関わりの深い博物館と今後の直接的な意見交換や協議を行うことで、ムゼウムとの新しい形での施設間連携ができた。今後は、草の根の市民交流がテーマだと思っている。特に、若い世代に命と平和の尊さを伝えていく。
やまたけ:これまでに蓄積してきた資料、構築してきた国内外の関係をもとに、敦賀港だからこそ伝えられる命と平和の尊さの「世界への発信」を今後どのような形で進めていくのか伺う。
文化交流部長:今後も様々な角度から、敦賀ならではの取り組みを行い、命の尊さ、平和の大切さを、市内外に向け発信していく。
やまたけ:この項目の結びに、質問しました2つの点を併せて大事なことは、敦賀市戦没者戦災死没者追悼式への幅広い市民参加、ムゼウムの価値や役割を、市民の皆様と一層広く、深く共有していくことを通じ、敦賀に根ざす「人道の心」をつなぐことは、ひいては郷土愛や誇りを育むことにつながることから、今後もそうした思いのもとで市政運営にあたっていただくことを切に求めるが、市の受け止めを伺う。
市長:敦賀らしさをつないでいくことによって、郷土愛とか、ふる里への誇りが醸成されるような市政を運営していきたいと考えている。
やまたけ(結びに):ムゼウムは、「人道の港」の史実を保存する中において、敢えて「戦争」を深く語っていないと認識している。「人道」の史実を学ぶ一方で、もう一つの史実「戦争」に関しては、先の大戦によって、ここ敦賀でも多くの人命が奪われたこと、中心市街地が焦土と化し、そして復興を果たしたという、我々は先人の努力の上に立っているという思いを持たないのでは、敦賀のアイデンティティが引き継がれないのではと考える。
古より、その地域を治める長の役割とは、地域にある固有の歴史や文化を守り、継承することにあると考えることから、とりわけ、人道の港を有する「敦賀だからこそ」、市長には、敦賀のアイデンティティを後世に継承していくべきとの思いをもって市政を進めていただくことを最後にお願いする。
2.公民館のコミュニティセンター化を踏まえた地域づくりについて
<発言趣旨>
現在、公民館のコミュニティセンター化を前提とした検討が進められているが、公立の社会教育施設を地方公共団体の長に移管する場合にあっても、社会教育法の理念に則った社会教育施設であることに変わりはなく、法律に定める目的に即し、社会教育の振興に努めることが求められること。また、コミュニティセンター化の目的には、地域コミュニティ形成という概念が強く込められているが、将来に向けて、市は地域のあり方をどのように創造し、地域づくりを進めようとしているのかなど、市の考える趣旨や方向性等について、以下質問する。
やまたけ:コミュニティセンター化については、令和7年第1回定例会における市長答弁において、「幾つかの検討課題をクリアできれば、市長部局のほう(移管)でということになろうかと思う。」とあったが、この際あった課題とは何で、どのように解決したのか。ここに至るまでの検討経過と内容について伺う。
総務部長:移管後の生涯学習の推進体制をどうするか、移管と同時にコミュニティセンター化するかなどの検討課題があ理、関係機関への意見聴取が必要であったことから見送ることとした。その後の検討の中で、生涯学習は引き続き教育委員会が主導して行うこと、移管とコミュニティセンター化を同時に行うことを内部で決定した。
やまたけ:これまで、教育委員会が社会教育施設(公民館)を所管してきたことの意義には、政治的中立性の確保や継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映、社会教育施設としての専門性の発揮等に加えて、学校教育との連携において教育行政としての一体性を保てること等があったと認識している。市長部局へ移管する際は、これらの点に十分配慮することが求められるが、どのように担保していくのか伺う。
総務部長:コミュニティセンターに移行したとしても、これまで公民館が果たしてきた教育面での役割はしっかり担保していく。特に社会教育については、市長部局と教育委員会が連携していく(建物の管轄が市長部局、社会教育については教育委員会で行なっていく)。
やまたけ:地域コミュニティに関しては、平成28年度の粟野地区を皮切りに東浦地区及び北地区の3つの地区で地域コミュニティ運営協議会が設立され、加えて東郷地区も設立に進むなど、各地区の特色を生かした事業が行われている。令和6年第2回定例会での答弁においては、「こうした活動を継続することが地域コミュニティの活性化に寄与するもの、(設立されていない地区においても)引き続き、それぞれの特性を生かした地域づくりがなされるよう各地域と連携し取り組む」としていたが、この考えや取り組みは踏襲されるのか伺う。
総務部長:これまでの考え方や必要性は変わらず、踏襲していく。
やまたけ:既に、あらゆる分野の担い手不足が顕著となる中、私のような団塊ジュニア世代が65歳を迎え、高齢化率が最も高くなる2040年以降は、様々な人的資源が不足することが確実であり、避けることができない。私が考える人口減少、少子高齢化時代における「地域づくり」とは、①地域に対する愛着や帰属意識の醸成、②地域の将来像を考え取り組む意欲の喚起、③住民の主体的参画による地域課題解決 の視点をもって、その基盤(プラットフォーム)を構築していくことにあると考えるが、今回のコミュニティセンター化には、これらの考えが込められているのか伺う。
市長:公民館が地域コミュニティのハード的にもソフト的にも中核的な存在、プラットフォームといった存在となるような地域づくりを進めていきたいと考えている。コミュニティセンター化することで、より活用しやすく、地域コミュニティの充実につなげていけると思っている。
やまたけ(結びに):行政だけでまちづくりの課題に答えるという考え方自体が終わりに近づいていると考える。いかに市民や事業者などの力を借りるかについて本気で知恵を絞る時代が来ていることから、私自身もしっかり考えていくので、よろしくお願いしたい。
一般質問の概要報告は以上となります。
まずは、自身の質問に対し、答弁作成、そして昨日は真摯かつ前向きな答弁をいただいた理事者の皆様、そして、お忙しいなか、議場傍聴にお越しいただいた方に心より感謝申し上げます。
なお、準備していて伝えられなかったこと、話してみて、組み立てや言い回しをこうすれば良かったなど、毎度反省は尽きませんが、とりわけ、2.の「地域づくり」に関しては、市長の答弁を踏まえ、今後も継続して提案すべき(仕組みを構築する)と感じたことから、以降も検討・調査を重ね取り上げていく所存です。
さて、3日間の一般質問が終わり、今晩からはRCNチャンネル(ch093)にて、一般質問の模様が再放送されます。
以下に放映スケジュールを添付しますので、関心のあるテーマ、議員だけで構いませんので、ご視聴いただけますようお願いいたします。







