2025年8月12日
広陵高校が前代未聞の出場辞退
以前のブログで、夏の風物詩は「甲子園」と「敦賀港カッターレース」と書きました。
カッターレースについては、昨日ご報告したよう無事終わり安堵するところですが、一方、熱戦続くのは甲子園。
敦賀気比高校は1回戦で横浜(神奈川)に敗れたため、地元出場高を応援する機会は無くなったものの、やはり聖地「甲子園球場」ではつらつとプレーする高校球児の姿は見ていて清々しいもの。
ところが、私自身、高校野球ファンの一人として極めて残念な、その雰囲気はもとより、今大会全体にも暗い影を及ぼす事案が発生。
今大会に出場している、春の選抜大会で3度優勝するなど全国屈指の強豪校として知られる広陵高校(広島)において、野球部内で暴力行為事案があったとし、大会を辞退すると発表しました。
広陵高は大会第3日の1回戦で旭川志峯(北北海道)に勝利しており、第9日第4試合で津田学園(三重)と対戦する予定でしたが、これにより津田学園は不戦勝に。
問題の発端はといえば、広陵高の硬式野球部では今年1月、寮で禁止されているカップラーメンを食べたとして1年生部員(当時)1人に対し、2年生部員(同)4人が別々に暴力行為を行ったことを学校は日本高校野球連盟(高野連)に報告。
報告を受けた高野連は3月に厳重注意としましたが、公表基準にはあたらないとして発表していませんでした。
ところが、大会開幕前の8月上旬、SNS上でこの件について投稿があったため、広陵高は大会開幕後の6日になって事案を発表。
旭川志峯高との1回戦があった7日夜には、これとは別に、監督やコーチ、一部部員から暴力行為を受けたという元部員の申告が昨年3月にあり、第三者委員会を設置して調査していることを公表し、その後、SNSにて大きく拡散。
私もX(旧Twitter)での一連の投稿を見ましたが、生々しい暴力行為の様子や指導者が隠蔽工作(口止め)を図ったことなどが拡散される一方、暴力をふるったとされる側の選手が今大会出場の登録選手は実名と背番号付きで、また登録外の選手も実名が出される形で発信されており、何とも表現しようのない気持ちに。
こうした状況で出場する広陵高ナインは、開会式の入場行進もどこか覇気がないように見えたほか、1回戦で勝利しても笑顔はほとんどなく。
逆に、敗れた旭川志峯高は試合終了後、整列して挨拶した後、数名の選手は、互いに健闘を讃える握手をせずに自軍のベンチに戻るなど、両チームの選手が複雑な心境でプレーしていたものと推察したところです。
広陵高にとっては、勝ち進むほどこの事案に対する注目が高まり、同校への批判や選手への誹謗中傷が過激さを増すとの考えもあり、結果、出場辞退の判断を下したとありましたが、そもそもの問題は、両者(学校と被害者)がともに暴力事案の存在自体は認めるものの、その範囲や程度、そして監督・コーチの隠蔽工作があったか否かについて、決定的な認識の相違があること。
野球だけではなく言えることは、部活動における暴力行為をなくすことはもちろんのこと、万が一発生した場合は、被害者のケアを最優先とした対応を図ること、速やかな客観的調査により事実を明かにし、必要な処置、再発防止に努めること。
なお、出場辞退に関し、高校野球においては、2002年に全国制覇した明徳義塾高(高知)が05年、夏の甲子園出場が決定した後に部員の暴力行為や喫煙などが発覚し、大会直前になって大会への出場を辞退したことがありましたが、代表校が甲子園期間中に不祥事によって出場を辞退するのは史上初。
次に対戦するはずであった津田学園は、貴重な甲子園での経験を1戦失う形になったほか、他高は別と思いながらも、ここ数日の曇天の如く、どこか暗い影を感じざるを得ない心境であります。
いずれにしても、前代未聞の出場辞退はSNSのあり方を含め、多くの課題を突きつけた格好となっています。
「甲子園に出場できなくなるからやらない」では、本質的な問題は何も変わらない。
いわゆる「勝利至上主義」が、「仲間を大切にする」ということすらできなくなっているのであれば、そんな考えは今すぐにでも捨て去るべきだし、そんな高校野球を聖地「甲子園」は決して望んでいない。

【107回を数える夏の甲子園。長い歴史にあって「史上初」となったことを極めて重く受け止めなければならない。(写真は「週間ベースボールONLINE」より引用)】






