子どもたちの心に芭蕉を

ブログ 敦賀の歴史・文化

敦賀市議会のほうは一般質問が終わり、この後は常任委員会に特別委員会、決算審査のための予算決算常任委員会と続くところ。
 
これに向けた準備と並行してではありますが、昨日は気比史学会主催の「ミニ歴史講座」を開催。
 
毎月この日と決めた定期開催ではないものの、知の拠点「ちえなみき」2階のオープンスペース セミナー&スタディをお借りし開催しているもの。
 
10時30分からの講座では、「つるがバショさん会」の皆様をお迎えし、『松尾芭蕉 おくのほそ道 〜敦賀の旅〜』と題した紙芝居を行なっていただきました。
 
※松尾芭蕉のことを、敦賀では親しみを込めて「バショさん」と呼び、キャラクターにもなっている。
 

【紙芝居の実物とスクリーンに投影された「おくのほそ道 〜敦賀の旅〜」】
 
「子どもたちの心に芭蕉を」との思いのもと結成された「バショさん会」は、上記の紙芝居を作成し、市内の小学校に寄贈したり、「おくのほそ道 敦賀編」のすごろくゲームなど、バショさんと俳句を楽しむ学ぶグッズを作成、配布したりと精力的に活動されてきた団体。
 
なお、こうした機材の作成には、取組に共感した敦賀ライオンズクラブが資金面でのサポートを行うなど、協力して実施することができたとのことでした。
 
講座の参加はどなたでもフリーということで、気比史学会の会員はもとより、一般の方、若い男女も参加されるなど盛況。
 
会の方からは、「バショさん会」の由縁や芭蕉の魅力をお話しいただいた上で、紙芝居を実践いただきました。
 
といっても、紙芝居は実物をご紹介していただくに留め、パワーポイント化したものをスクリーンに投影し、今時のスタイルで。
 
バショさんが敦賀で詠んだ句を、情景が浮かぶ見事な絵とともに紹介いただき、当時に思いを寄せた次第です。
 

【会場のセミナー&スタディの様子】
 
バショさんに関してはこれまでも、「名月や北國日和定めなき」の句によって、私がポジティブシンキングになったことを幾度かお伝えしてきたところですが、ブログを遡ると、「おくのほそ道」から330年の節目の年であった令和元(2019)年には、敦賀で様々な催しがあり、これに参加したことを次のように記録していました。
 
<令和元(2019)年9月17日ブログ>
 
敦賀市立博物館にて開催されている特別展「おくのほそ道 330年の旅」を鑑賞しました。
知る人ぞ知る松尾芭蕉の「おくのほそ道」ですが、今から330年前の元禄2(1689)年3月27日に江戸深川を旅立ち、関東、東北、北陸各地を約5ヶ月掛けて旅した物語は、日本の古典の最高傑作の一つとして、広く読み継がれてきています(特別展資料解説より)
 
芭蕉は、旅の終わり同年9月27日に敦賀入りし、気比神宮を参拝、色ヶ浜にて遊び、中秋の名月や秋の寂しさを感じ入るような句を詠んでいます。
 
また驚いたのは、敦賀を後にする際、宿泊していた出雲屋という宿に杖と笠を残していったと伝えられており、杖は今も敦賀に現存しているとのことで、博物館にも展示されていました。
330年前、しかも芭蕉のイメージにもある杖を眼前に見ることが出来、これだけでも本当見に来た甲斐がありました。
 
おくのほそ道は、また旅立つ場面で終わっていることから、330年経った今もまだ「予(芭蕉)」の旅は終わっていないかもしれず、多くの読者の心の中で芭蕉は永遠の旅人であるとの解説にダブルで歴史ロマンを感じた次第。
 
浅学でこれ以上述べることは止めておきますが、興味のある方は是非市立博物館に足を運んでいただけたらと思います。
 
<令和元(2019)年9月21日>
 
きらめきみなと館で開催された気比史学会主催の敦賀市民歴史講座に参加しました。
先日(上記のブログ)、敦賀市立博物館で開催されている特別展「おくのほそ道330年の旅」をご紹介しましたが、その一環として「おくのほそ道を読み解く」と題し、和洋女子大学より佐藤勝明教授をお招きしての講座でした。
 
教授の「おくのほそ道の舞台である敦賀で講演出来ることに感激しています」との言葉から始まった講座ですが、浅はかな知識で参加した私にとっては、「ここまで深く読み取るのか」と驚くばかりの内容。
 
メモも取りましたが、ここでは紹介し切れませんので、特に印象に残った教授の言葉を2、3紹介します。
 
①氣比さん(氣比神宮)参宮の場面は、おくのほそ道の1・2を争う大事な場面である。
②北陸路に省筆が多い(句が少ない)が、省筆せずに記された「敦賀」の記述は、ここにひとつの大事なテーマ(無常の世の中でも伝わり続けられる「心」)があることが理解できる。
③おくのほそ道は、がっかりの中にも興じる姿勢。例えば、雲で富士山が見えなくとも、見えてしまえば景色はひとつ、見えないことにより想像の中にいくつもの景色が浮かび上がる。
 
私としては、上記の②に注目。
芭蕉が敦賀に「杖」を置いて行ったこと、省筆せずに句を詠んだ理由が敦賀で感じた「心」にあるとすれば、これは後の「人道の港」のエピソードにもつながるのでは無いかと感じた次第。
 
こうしてお話しを聞いたこの時から、「バショさんファン」になった私。
 
〜名月はつるがの湊にと旅立つ(おくのほそ道より)〜
 
今年の仲秋の名月は、10月6日だそう。
 
仲秋の名月を「敦賀で見よう」と楽しみに訪れたバショさんを重ねつつ、バショさんも見上げた前日5日の夜、氣比神宮にのぼる月を眺めてはいかがでしょうか。
 

【紙芝居にあった、氣比神宮にのぼる月。名月もこの絵もお見事。】