2020年5月28日
地元の声や職場の思いはどこから届いたのか?
昨日は、地元福井選出(比例北陸信越)であり、連合福井が推薦する斉木武志議員が、衆議院 経済産業委員会にて「日本原電」をテーマに質問されるとの情報を得たことから質疑の模様を視聴させていただきました。
同じ日本原電の発電所が立地する地元同士との枕詞を述べられつつ、茨城県選出の梶山経済産業大臣と交わした質疑の内容のポイントは以下の通り。
①日本原電は、定款により原子力で手足を縛られている企業であり、原子力発電所を何としてでも動かそうとしており、敦賀2号審査での書き換え問題の「改ざん」のような、どんな手を使ってでも、リスクを犯してでもという話しになる。これは原子力でしか生き残る道がない企業として当たり前のことかも知れないが、縛りとなっている定款を変えて柔軟な選択肢を与えることが大事であり、経産省からも指導してはどうか。
日本原電も株主が良いと言えばやると言っている。
②敦賀3、4号増設の「空き地」がドライキャスク置場になるのでは無いか。中間貯蔵という名の最終処分場になるのではとの懸念が地元にはある。
③電力需要は既に低下し、今後もその低下傾向が進むという中で、敦賀3,4号の電気は受電会社である関西電力も北陸電力も「買わない」と言っている。コスト感のない増設は止め、1,600億円を投じて出来た「空き地」には「水素発電所」を建ててはどうか。
④日本原電は、国策民営として原子力をやってきた会社、国策としてリニューアルを促し、今度は電源開発や日本原燃と合併も視野に入れるべき。
私の議事メモベースにつき、詳細は国会議事録にて精査するとしまして、概ねこのような内容でした。
梶山大臣は、「仮定の話に考えを述べることは避ける」、「民間会社の経営に関わることであり答弁を控える」とのことで、明確な答弁はほぼなかったと認識しています。
私はこの斉木議員の質問を客観的に聞いていて、原子力産業に勤める当事者であるということを除いたとしても正直、違和感を覚えました。
その違和感とは次のようなことです。
◉議員が質問の裏取りとしてヒヤリングされたのであろう、発言の中で出てくる「地元の声」、「日本原電が良いと言っている(①の部分)」、「関電や北電は買わないと言っている(③の部分)」は、日本原電に勤め、地元敦賀に住む私の耳には全く入って来ておらず、むしろ聞こえてくるのは真逆の声(再稼働や新増設への期待など)であること。
◉敦賀2号審査での書き換えの事実はあったものの、恣意的な「改ざん」と断定(決め付けて)し、あたかも悪いことをする企業だと発言していること。
◉議員は連合福井の推薦を受けた国民民主党福井県連の代表であり、即ち「働く者の声を国政の場に伝える」立場でおられる訳ですが、本件に関して電力関係者、とりわけ原子力発電所の最前線で働いている者の思いや受け止めなどを汲み取られていない。つまり、発言された内容は「どこから聞いた、誰の声なのか」ということ。
◉一民間企業である日本原電の定款を、国が介入して変えさせるべきと言っていること。
◉敦賀3,4号の敷地は、今なおメンテナンスも行っている「増設予定地」であり、「空き地」ではない。
◉そもそも論として、国策を論ずるべき立場にあり、少資源国である日本が取るべきエネルギー政策「ベストミックス」における原子力の位置づけがあるものの、現実論としての政策転換がない中で、コスト論で原子力を排除していること。
先ほど述べたように議事精査のうえ、違和感の部分については再整理したいと思いますが、私も連合福井推薦議員の一人であり、原子力立地の地元議員として、斉木議員に真意を確認する権利はあろうかと思いますので、その旨心に留め今後対応していきます。
ちなみに敦賀市の最上段の政策である「総合計画」において「原子力とは今後も共存」としていることや、これまでの市議会の質疑でも「原子力があったうえでの産業の副軸化」と答弁されていることこそが「最たる地元の声」ではないかということも機会を捉え、議員にお伝えしたいと考えます。
【敦賀発電所3,4号機増設予定地全景(2017年11月撮影)←日本原電HPより】