2025年10月26日
原子力・放射線は日常的な技術 〜10月26日は「原子力の日」〜
本日、10月26日は「原子力の日」。
この日を「原子力の日」に定めたのは、昭和38(1963)年に日本原子力研究所の動力試験炉(JPDR)が日本で最初の原子力による発電に成功した日であり、また、昭和31(1956)年に日本が国際連合の専門機関の一つである国際原子力機関(IAEA)への参加を決めた記念すべき日でもあるという理由からです。
なお、昭和31年という年は、戦後日本で初めて原子力予算が認められ、原子力の平和利用に新たなスタートを切った年となります。
当時、米国、ソ連、英国では核爆発実験を続けていましたが、原子力を世界の平和のために利用することを日指す国際的な機関の必要性が叫ばれ、IAEA憲章が国連総会で採択された上で、同年10月26日には、日本を含む70カ国で憲章に署名がなされ、原子力の平和利用の国際協力が大きな広がりを持つことになりました。
原子力の平和利用に関してはまず、核分裂や核融合で生じる熱エネルギーの利用(原子力発電等)、そしてもう一つの大きな柱は、放射線の利用となっており、医療用のX線撮影は、診断には欠かせない手段となっていることは言うまでもありません。
「令和6年度版 原子力白書」(令和7年6月:原子力委員会)を読むに、原子力委員会の上坂充委員長は、公表にあたってとして次のように述べています。
「原子力・放射線の技術は、日々の日常生活で手に取るものにも一般的に使われている日常的な技術です。そして、リスクについて知っていただくことはもちろんのこと、原子力・放射線は適切に扱うことで、私たちの現在の生活や将来に大いに貢献するというベネフィットの側面についても知っていただきたいと考え、今回の白書を作成しました。」
放射線利用に対しては、よく「正しく恐れる」と表現しますが、不安を抱くだけでなく正しい知識を持つこと、その特徴を生かし、さらに有効利用することを考えていく必要があると、「原子力の日」にあたって思う次第です。
→「令和6年度版 原子力白書」掲載サイトはこちら
また、放射線の恩恵に授かるという意味に関しては、昨日書いた父にも関係が。
実のところ、父は約4ヶ月前に「下咽頭(かいんとう)がん」に罹っており、本年7月1日から入院。
35回の放射線照射と抗がん剤治療により、がん自体の存在は消滅し、担当医師からは「こんなに順調に回復した人は稀」とまで言われながら、無事に9月初旬には退院。
その後自宅療養を続けていたところ、症状が出て、見つかったのが「間質性肺炎」だった訳ですが、この要因のひとつが、がん治療の放射線照射が下咽頭であったがために、肺まで届いた放射線によって免疫力が高まり、潜在していた「間質性肺炎」を活性化させてしまったのではとの推察もされるところ。
壮絶ながん治療を乗り越えた後だけに、今回の難病罹患に「なぜ続けて二度も試練を与えるのか」と、人生の非情さを感じずにはいられません。
また同時に、放射線の恩恵とリスク(今回の場合は不可抗力ですが)とはこういうことと感じるところでもあり、先の原子力委員長の言葉を今一度噛み締める次第です。

【夜間の付き添いも4回目。昨朝は、病室の窓から望む野坂山に元気をもらいました。ガンバレ親父!】






