半世紀以上続く「暫定税率」がようやく廃止へ

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一昨日から行われている衆議院における代表質問。
 
国民民主党からは玉木雄一郎代表が昨日登壇し、高市内閣の発足にお祝いの言葉の後、今回の質問にあたっては首相に聞きたい質問をインターネットを通じて募集し、頂戴した2,000件を超えるご提案やアイデア、その思いを背負って質問すると述べた上で、高市政権は約束を守る政権であることを期待しているとし、質問に入りました。
 
質問事項が多岐に亘るため、すべてを紹介できませんが、「任期中、増税はしないという方針なのか」との問いに対し、高市首相は、「成長戦略の肝は危機管理投資。AI、半導体、造船、量子等の戦略分野において、リスクや社会課題に対し、先手を打って供給力を抜本的に強化するため、官民連携の戦略的投資を促進します。これにより、所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収を増加させることを目指してまいる。お尋ねの具体的な方針については、責任ある財政の考え方のもと、こうした取り組みを進める中で、今後の状況をしっかりと見極めながら検討していくべきものと考えている。」と明言は避けた格好に。
 
また、「高市内閣の成長投資に関する方針」については、「この内閣は、今の暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済を作り、日本の供給構造を強化し、強い経済を実現するための成長戦略を強力に推進してまいります。昨日設置した日本成長戦略本部におきまして、戦略分野における官民投資促進策の検討に加えて、労働市場改革や新技術立国についての戦略策定も指示したところでございます。政府の成長戦略の策定は、国民民主党のご提案も真摯に受け止め、幅広いご意見をいただきながら進めてまいります。」。
 
物価高騰対策については、一人2万円から4万円の所得税減税、ガソリンや電気ガス料金に対する補助、灯油等の油種に関しては、拡充を予定している重点支援地方交付金により、地域ニーズにきめ細かく対応する。
 
エネルギー政策の関連では、東日本の電力需給改善に大きく寄与する柏崎刈羽原子力発電所の再稼働、高い電気代の要因ともなっている再生可能エネルギー賦課金(再エネ賦課金)に関しては、お手本としたドイツが2022年7月に再エネ賦課金を廃止し、原子力回帰に舵を切ったことも踏まえ、日本も再エネ賦課金の徴収をやめて電気代を下げるべきではないかと、高市首相の見解を尋ねたものの、従前を踏襲する当たり障りない答弁であったと受け止めるところです。
 
玉木代表は他にも、憲法改正や皇室、防衛費増額・防衛国債発行、社会保険料負担の増加や年少扶養控除の復活、就職氷河期世代対策、障害児福祉の所得制限、中小企業の賃上げ、全国の病院経営が危機的な状況になっていることなどについて質問した上で、以下の言葉を述べ、締めくくりました。
 
「私たち国民民主党はこれからも対決より解決の姿勢で未来を先取りする政策を先手先手で打ち出してまいります。我が党の掲げる現役世代の手取りを増やす政策や成長志向の経済政策については、高市内閣の掲げる政策との重なりが多いのも確かです。他方、高市政権への期待が高い分、できなかった時の失望も大きくなります。現役世代、若い人たちの期待を裏切らないよう、高市総理にはまさに決断と前進を求めます。私たち国民民主党も、国家国民のためであるならば決して諦めません。これが私たち国民民主党の不動の方針です。これからも対決より解決、政策本位で高市総理に負けず劣らず、停滞する日本経済を再び元気にする政策に全力で取り組むことをお誓い申し上げ、国民民主党を代表しての質問といたします。ご清聴ありがとうございました。」
 
詳しくは以下リンクより、代表質問ノーカット版のYouTube「たまきチャンネル」をご覧ください。
 
 →たまきチャンネル「【代表質問】高市総理 増税なき税収増を目指す方針?今すぐ物価高騰対策を 皆様からいただいた質問をひっさげ玉木雄一郎が問う!」はこちら
 
さて、昨日の高市首相答弁で「今般、与野党6党の間で、本年12月31日の廃止で一致したと承知している。政府としては、政党間のご議論の結果を踏まえて、しっかりと対応してまいります。」とあった、いわゆるガソリンの暫定税率について。
 
暫定税率を巡っては、昨年12月の自民・公明・国民の三党幹事長合意がされ、石破政権下の7月末には、6党国対委員長が年内廃止で合意したものの、自民は「廃止は代替財源の確保とセットだ」との立場を崩さず、早期廃止を求める野党との溝が埋まっていませんでした。
 
しかしその後、高市首相は就任早々、暫定税率を「速やかに廃止する」と打ち出したうえ、自民税調のトップを財政規律派の宮沢洋一元経済産業相から小野寺五郎氏に代え、スピード決着を目指すとした結果、昨日5日、与野党で正式に合意文書を交わすこととなりました。
 
なお、国民民主党においては、いち早くこの税制に切り込み、2021年10月の「トリガー条項凍結解除」に始まり、足掛け4年に亘り暫定税率撤廃を訴えてきた経緯、並びに年末までの廃止スケジュールは以下スライドのとおり。
 


【いずれも国民民主党本部作成。政策実現にこくみんうさぎも笑顔です。】
 
これを受け、玉木代表は記者会見で「(自民党との)約束の一つが果たされた。政権との信頼関係は半歩前進した」と評価していますが、これも政策に共感し、後押しいただいた国民の皆様のお陰と感謝申し上げる次第です。
 
私が生まれる1年前の1971年に始まった「暫定」税率は、半世紀以上を経て、ようやく廃止に向かいます。