2024年10月20日
北朝鮮のウクライナ侵略「参戦」は人ごとにあらず
なぜ過激な暴力に訴えるのか。
19日の朝、東京・永田町の自民党本部付近に火炎瓶のようなものが投げ込まれたうえ、首相官邸前の柵に車が突っ込むという事件が発生。
すぐさま犯人は逮捕。
けが人が出なかったことは不幸中の幸いでしたが、選挙期間中の襲撃事件では、令和4年7月の参院選で安倍晋三元首相が奈良市内で銃撃されて死亡。
令和5年4月の衆院補欠選挙でも和歌山市内の岸田文雄前首相の演説会場に爆発物が投げ込まれる事件が起きており、いかなる理由があろうとこうした行為は決して許されるものではなく、今回もまた「民主主義が暴力に屈することがあっては絶対にならない」と胸に刻む次第です。
さて、許されざる暴力の最たるものは、武力で互いの領土や人命を奪い合う戦争、侵略になろうかと思いますが、新たな展開で緊張感がさらに増しているのはロシアによるウクライナ侵略。
韓国政府は18日、北朝鮮が朝鮮人民軍の特殊部隊をロシアに派兵したとの情報を明らかにし、北朝鮮のウクライナ侵略「参戦」を断定したとの報道。
過去に北朝鮮はベトナム戦争や中東戦争などに兵士を派遣したことはあるものの、その時は戦闘機パイロットなど限られた小規模兵力だったため、今回の1万人以上の派兵決定は北朝鮮の歴史で初めてのことで、露朝両国はソ連時代の軍事同盟に回帰、共闘する姿勢を鮮明にしており、北東アジアの安全保障に深刻な影響を与えそうだとあります。
詳しい情報をと“朝鮮日報”(韓国)にアクセスしてみると、ちょうど社説に記事があり、韓国政府は「北朝鮮が特殊部隊を含む4旅団、合計1万2000人以上の兵力をウクライナ戦争に派遣することを決めた」と明らかにした上で、韓国の情報機関である国家情報院によると、すでに1500人以上が移動を開始しており、この事態を受け尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は同日、緊急の安全保障会議を招集したとのこと。
【10月19日付け朝鮮日報「社説」の見出し】
続いて兵力派遣に関し、金正恩(キム・ジョンウン)総書記は1万人以上の北朝鮮軍兵士が受け取る給与の方に関心が向いているはずだ。現在北朝鮮は中国との関係が悪化したことで経済難に苦しんでいる。夏の水害からの復旧もまだ進んでいない。その一方で兵士は海外に派遣される一般の労働者に比べて数倍の給与を受け取れること。
米ニューヨーク・タイムズ紙は「ウクライナ戦争への参戦は北朝鮮将校が現代の戦争の経験を積み、新型兵器に慣れるチャンスになる」と報じた。金正恩総書記は統治資金を確保し、韓国に対する攻撃力を高めるために1万人以上の北朝鮮の若者を弾よけとして送り出したのだ。本当にあきれてものが言えない。
とした上で、「全ての情報収集力を動員し、北朝鮮とロシアの動向をしっかりと把握しなければならない。」と結んでいました。
陸地続きの隣国だけに、緊張感たるや相当なものであることが記事からも分かりますが、6月に露朝が結んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」には「一方が戦争状態になれば、遅滞なく軍事的、またはその他の援助を提供する」とあります。
つまりは、朝鮮半島有事になれば、ロシア軍の参戦の可能性があるということであり、北朝鮮が韓国との対決姿勢を一層強め、南北の衝突がロシアを含む日本有事へ拡大することもあり得ることから、まったくもって日本も人ごとではありません。
台湾と朝鮮半島の有事リスクは、日本に直結するもの。
外交防衛は、言うまでもなく国家の根幹に関わるものであり、「話し合い」で解決できる相手ばかりではないことが露呈しているいま、極めて現実的にどう対処していくのか。
この衆院選でこそ語られるべきではと考える次第です。