2025年10月22日
北九州市「門司港レトロ地区」の歩みと展望を学ぶ
自民党の高市早苗総裁は昨日、衆参両院本会議の首相指名選挙で第104代首相に選出され、自民と日本維新の会の連立政権を発足させました。
なお、女性首相はわが国の憲政史上初であり、歴史的なこと。
早速、高市首相は全閣僚への指示書で「責任ある積極財政」の考え方で戦略的な財政出動を行うと明記したとのことであり、国民民主党の玉木雄一郎代表が「これから大鉈(おおなた)をふるって日本を覆う閉塞感に大きな風穴を開けることを期待しています」と述べたよう、国民民主党の掲げる現役世代の手取りを増やす政策や、強い日本経済を取り戻す成長政略は、高市首相の政策と重なるところも多く、こうした政策の実現に向けて邁進いただきたく思うところです。
さて、私の方は、一昨日に続き、敦賀市議会 産経建設常任委員会の行政視察に出席。
2日目の昨日は、福岡県北九州市にて「門司港レトロ地区」および「クルーズ船誘致の取組み」について視察してまいりました。
かつて、明治から昭和初期にかけ栄華を誇った街「門司」は、近代日本を支えた港町として歴史に名を刻んでおり、明治22年に石炭などを扱う国の特別輸出港に指定され、貿易港としての地位を確立して以降、第一次世界大戦頃には、日本三大港(神戸、横浜、門司)の一つとして数えられ、重要な国際貿易の拠点となったものの、第二次世界大戦の終戦とともに大陸貿易が縮小され石炭の輸出も減り、港として低迷し次第に衰退していきました。
しかしその後、門司港は行政と民間の協力のもと、1995年に「門司港レトロ」として生まれ変わり、今では年間200万人以上の人が訪れる観光地として、新たな歴史を歩んでいるとあり、視察では、門司港レトロの事業や経緯、民間と連携した取り組みや今後の計画についてお伺いした次第です。

【降り立った「門司港駅」。修復した駅の姿に、「今あるもの」を大切にするまちの姿勢を感じた次第。】
以下、説明いただいた概要を記載いたします。
◉門司港の再開発に関しては、市役所内でも①港を活用した観光地の整備と②港の埋立・売却の2案があったが、「衰退する門司港の活性化」の基本理念のもと、①案を選択した。
◉なお、この際、国からの補助金を得ることで危機を回避することができた。
◉第1期計画では、1988年〜1994年にかけ、約295億円(公共事業費として)を投じ、歴史的建造物の保存活用、海峡めぐり事業などのハード整備を実施。1995年に「門司港レトロ」の名称でオープンし、観光客107万人を集客した。
◉その際の課題として、滞在時間が短く「通過型」であることや飲食物販施設の不足があったことから、これを改善すべく1997年〜2007年にかけて第2期計画を展開。
◉約268億円(公共事業費:約125億円、民間事業費:約143億円)の官民連携のもと、公共では物産館やレトロ展望台などの整備、民間では、門司港ホテルや商業施設の整備を行い、その結果、2007年の観光客は220万人となった。
◉また、第2期事業からは、北九州市が公共の部分を担い、ハードは門司港開発株式会社(民間)、ソフトは門司港レトロ倶楽部(民間)と相互の連携関係を構築している。
◉なお、門司港レトロ倶楽部(民間)においては、当初参加団体は6であったのに対し、今では37団体が参加し、イベント開催や景観・環境づくりに尽力されている。
◉また、その他民間事業者のイベントも2024年度では「432件」開催されており、今では門司港レトロ地区でのイベント開催が、事業者のみならず、観光客・市民にとっても定着している。
◉今年は門司港レトロのオープンから30周年であり、さらに「まちのエンタメ化」を図るべく、関門エリアへの呼び込み、門司港「らしさ」を磨く企画を実施予定。
◉関門エリアは今年、「Green Distinations TOP100」(世界の持続可能な観光地TOP100)の認定を受けたことを踏まえ、将来に向けた取り組みを展開していくとしている。

【視察の様子】
また、併せてお伺いした「北九州市のクルーズ船誘致の取組み」については、同市において、クルーズ船誘致を市の重点戦略に置き、クルーズ誘致係の部署により、積極的な誘致活動、クルーズ船受け入れ対応をされていること。
クルーズ船の誘致に関しては、とにかく他の寄港地との自治体連携が重要であること(門司港は、日本海・瀬戸内6港連携など、4つのルートで自治体連携)、寄港地を決める決定権者に訪れていただき、寄港するにあたり必要なことを指摘いただくことが大事との考えをお伺いすることができました。
加えて、セールスに必要な出張旅費を十分確保できるか(欧州なども視野)もポイントとありました。
こうして2つのテーマでお伺いをし、一昨日と同様、敦賀と規模感こそ違えど、「今あるもの」を生かした観光施策やクルーズ船誘致に向けても、多くのご示唆をいただくことができ、大変有意義な視察となりました。
座学での視察の後は、門司港レトロ展望台にもご案内をいただいたところですが、ご担当いただきました北九州市 観光ブランド創造局 観光にぎわい部 門司港レトロ課ならびに港湾空港局 総務部 クルーズ・交流課の皆様には、大変に丁寧なご対応を頂戴し、心より感謝申し上げます。
以上、これにて行政視察の報告を終わりますが、他の産経建設常任委員会メンバーの皆さんとともに学んだことを持ち帰り、敦賀市政に生かしてまいります。

【「門司港レトロ展望台」(31階、103m)からの眺め。日本三大港の雰囲気と誇り、ここにあり。】






