2019年12月21日
世界標準の年代のものさし〜福井県年縞博物館〜
3日分のネタが生まれた「ゆうあい倶楽部視察研修」。
充実を物語るということでご理解いただき、ラストは若狭町にある「福井県年縞博物館」をご紹介します。
まず、この「ねんこう」ですが、スマホで入力しても「年功」とは出ても「年縞」とは変換されません。
それもそのはず、この博物館に保存される三方五湖「水月湖」の湖底にあった、何と「7万年」の歳月をかけて、季節ごとに異なるものが堆積することによって形成された「縞模様」になった泥の地層が発見されて以降使われることになった語句だからです。
若狭町(旧三方郡)は、元々縄文の歴史があった場所で、これに関わる調査をしていた際に、偶然見つけた「年縞」はまさに「奇跡の発見」。
水月湖の年縞は、世界一の長さ45m、一年に堆積する厚さは0.7〜1mmとされており、層を数えていくと約7万年にも及ぶとのこと。
この年縞は、化石や遺物の年代を特定する放射性炭素年代測定の較正にも使われており、水月湖年縞のデータを用いた較正曲線「IntCal13」が2013年9月に公表され、これにより、水月湖の年縞データは、考古学や地質学における「世界標準の年代のものさし」として、年代測定の精度を、従来より飛躍的に高めました。
分かりやすく言うと、化石や遺跡に含まれる成分と年縞に含まれる成分が合致したところが、その化石や遺跡が存在していた時期となるため、年縞を1年づつ数えていけば、その時期が特定されるというもの。
例えば、マンモスがいた時期が、これまで「何万年前ごろ」としていたものが、「何万年前」に表現されるということとなります。
また、年縞に含まれる花粉の種類や量、火山灰などから、当時の気温や降水量、火山活動までもが分かることから「環境のタイムマシン」とも呼ばれています。
このように、神秘と奇跡が満載の「水月湖の年縞」が展示されているのが、「福井県年縞博物館」です。
恥ずかしながら、世界が注目する「年縞」の存在を初めて知り、見ているとタイムスップしたような感覚となりました。
また、展示案内人の方が、技術的なことも分かりやすく丁寧に説明いただけたことにより、理解が大変深まったことにも感謝。
敦賀の新ムゼウム開館に向けては、効果を高める案内人や学芸員の配置が必須であるとも感じました。
初体験で偉そうに言うのも何ですが、是非「年縞博物館」に足を運んでいただければと思います。