2025年6月22日
ガソリン高対策の「国民の審判」を仰ぐのは来る参院選
「異例の土曜日国会」
国民民主党をはじめ、野党7党が提出したガソリン税の暫定税率廃止法案を巡り、参院財政金融委員会は昨日、質疑を実施しましたが、野党の採決要求に対し、自民党は審議不十分だとして拒否。
同委員会の三宅伸吾委員長(自民)は採決を行わないまま散会を宣告したため、野党側は三宅氏の委員会運営に反発し、委員長解任決議案を提出。
しかしながら、与党が多数を持つ参院議院運営委員会は参院本会議で扱わないことを決め、採決されませんでした。
採決を巡り自民と立民は断続的に協議したものの、自民の石井準一参院国対委員長は「答弁が不十分で、熟議の府として採決するに値しない」と折り合いがつかず、結果、法案の継続審査の手続きが取られることもなく、同法案は本日22日の会期末をもって廃案となることに。
少なくとも衆院を通過している法案を「採決するに値しない」と一蹴するのはいかがなものかと思うとともに、参院選を前に「反対したのは与党」の構図を作りたくない考えが見透けするものであり、逆に「良識の府」である参議院として、あるまじき対応ではなかったか。
なお、採決がされていれば行うはずであった討論に関し、国民民主党を代表し「賛成討論」を予定していた浜口誠議員(全国比例)が討論全文をXで公開していました。
この討論内容をご覧いただければ、ガソリンの暫定税率廃止に対する理解をより深めていただけるものと、以下全文掲載しますのでご覧いただければと(長文です)。
<以下、賛成討論全文>
『ガソリン暫定税率廃止法案 賛成討論』
国民民主党・新緑風会の浜口誠です。会派を代表して、ガソリン暫定税率廃止法案について、贅成の立場で討論を行います。
物価高で苦しむ国民に寄り添う法案であるガソリン暫定税率廃止法案を、自民党、公明党の皆さんは何故、参議院で潰そうとするのでしょうか。政治は、国民の厳しい暮らしの実態を何も分かっていないのか!といった、多くの国民の声に与党の皆さんは、どう答えるのでしょうか。日本が、30年ぶりにデフレ社会からインフレ社会に移行する中で、昨年秋の衆議院選挙の結果である国民の民意を踏まえ、政治は税金を取って配る立場の政治ではなく、その税金を払っている国民の立場に立った政治に変わらなければなりません。今回のガソリン暫定税率廃止法案はまさに、税金を払っている国民の側に立てば、当然成立させるべき法案です。
国民民主党は、2021年の衆議院総選挙で緊急追加公約としてトリガー条項凍結解除によるガソリン減税を掲げて以来、ガソリン価格の高騰から国民生活を守るため、過去3回ガソリン減税の議員立法を提出するなど、ガソリン減税の実現に向けて党を挙げて取り組んできました。2022年度予算においては、トリガー条項凍結解除を勝ち取るため予算にも賛成するとともに、自民党、公明党、国民民主党の三党で検討チームを作り協議を行い、補助金によるガソリンの値下げは実現できましたが、トリガー条項凍結解除は見送りとなりました。また、2024年にも再度検討チームを作り協議を行いましたが、ガソリン減税は実現しませんでした。このように、国民民主党は、国民の暮らしに寄り添った政策を実現させるため、とことんこだわってガソリン減税に取り組んできた自負があります。トリガー条項凍結解除、ガソリン減税の元祖は、国民民主党です。今回は一歩も譲るわけにはいきません。我が党にとって、年収の壁103万円の撤廃とガソリン暫定税率廃止は、1丁目1番地の政策です。
そしてついに、昨年12月11日には、自民党、公明党、国民民主党の三党幹事長で「いわゆるガソリンの暫定税率は廃止する」との合意が行われました。公党の幹事長合意は極めて重いものであるにも関わらず、合意後、半年以上が経過しましたが、未だに与党からは、いつから実施するのか等、具体案は全く示されていません。いつまでたっても、やります、やりますと言いながら、有言不実行は許されません。与党の皆さんが、本気でガソリン暫定税率廃止を実行しないのであれば、野党が結束して、本法案を成立させなければなりません。今こそ、野党の底力を示して行こうではありませんか。
道路特定財源であるガソリンの暫定税率は、1974年に2年限定で本来の税金(本則)に上乗せされたものです。2年限定の上乗せだからということで、暫定税率という名称にしたにも関わらず、50年以上も本来の税金への上乗せが続いていること自体、公平、公正な税金とは到底言えません。ましてやガソリンの暫定税率廃止は、50年以上も変わらなかった税率を本来の水準に戻すことを求めているだけであり、過剰な要求では全くありません。さらに言えば、2009年には、道路特定財源は一般財源化されており、自動車ユーザーに課税根拠を求める課税根拠は消滅しており、その時点で廃止すべきであったと考えます。
一方、2022年以降支給しているガソリン等の補助金については、これまでに累計で支払額は約8.1兆円となっています。この補助金については、会計検査院からも、補助金が、ガソリンの小売価格に反映されていない可能性があると指摘され、効果に疑問が投げかけられました。また、補助金の効果を確認するため、全国2万ヶ所以上のガソリンスタンドの価格モニタリング事業に約62億円が使われましたが、会計検査院からは効果が不明と指摘されました。こうした補助金の課題が複数指摘されていることを踏まえ、ガソリンの高騰対策は、1日も早く補助金から暫定税率を廃止する減税に切り替えていくべきと考えます。改めて、国民から集めた税金を補助金で返すのではなく、改めて、国民から集めた税金を補助金で返すぐらいなら、最初から税金を取るべきではない、このことを政府、与党には、強く求めておきます。
これまでの衆参の質疑の中で、今回のガソリンの暫定税率廃止に伴いガソリンスタンド等の現場が混乱するのではないかとの指摘がありました。2008年4月からの1カ月だけ暫定税率が期限切れとなった時のガソリンスタンドの混乱や駆け込み需要や買い控え等が起こったことを踏まえた指摘だと思います。国民民主党は2008年の教訓を踏まえ、補助金を支給している今だからこそ、事前に補助金を1リッターあたり25.1円に設定することで、暫定税率廃止時点で補助金から減税に円滑に移行する方法を検討し、ガソリンスタンド等の負担軽減を図りたいと考えていました。また、ガソリンスタンドなどの業界関係者の皆さんと意見交換した際には、トリガー条項のように、暫定税率が無くなったり復活したりすることは、ガソリンスタンドとしては大変手間がかかり、負担も大きいとのご意見もお聞きしました。他方、業界団体の皆さんは、ガソリンの暫定税率廃止は賛成であり、恒久的に暫定税率が廃止になるのであれば、一度だけの切り替え対応については、協力できるとのご意見もありました。今回の法案は、恒久的な暫定税率廃止です。ガソリンスタンド等現場の当事者の皆さんも、今回の法改正を理解し、ご協力していただけると確言しています。
財源についても委員会等で議論がありましたが、これまでの補助金の財源となっている燃料油価格激変緩和対策事業の基金が、今年7月時点で約0.8兆円の残高になると聞いています。今年7月のガソリンの暫定税率廃止に必要な財源は、0.8兆円であり、この基金の残高で対応できます。さらに、直近3年間の国の一般会計税収の上振れ分は、平均約6兆円となっています。さらに言えば、直近4年間の一般会計の不用額は、平均約7兆円となっています。こうした実態を踏まえれば、毎年度の予算の歳入、歳出を精査することにより、暫定税率廃止によって生じる税収減には十分対応可能であると考えます。さらに言えば、政府・与党が突如表明した国民への2万円給付事業は、その財源に2024年度税収の上振れ分を活用するようですが、必要な財源は3兆円台半ばだとする見通しと言われています。参議院選挙対策として、ばらまく財源があるなら、これまで国民が実施を求めてきたガソリンの暫定税率廃止の財源に使っていくべきではありませんか。それこそが、政府、与党が今すぐやるべきことであると強く申し上げておきます。
最後になりますが、本法案が成立しなければ、来る参議院選挙でガソリン高対策として、25.1円の恒久減税か、期間限定の補助金のどちらの政策を選択するのか、正々堂々と国民の審判を仰ごうではありませんか。ガソリン暫定税率廃止は、今この時間も、そして毎日額に汗して懸命に働いている国民の暮らしを支えるために、国民の民意で法案を作り、提出しています。良識の府である参議院こそ、本法案の重要性を今一度重く受け止めていただき、その成立を望み、賛成討論を終わります。
<討論全文終わり>
いずれにしても、7月の参院選をにらむ与野党は異例の土曜日審議で激しい攻防を繰り広げたものの、通常国会は事実上、閉幕しました。
浜口議員が言うとおり、正々堂々と国民の審判を仰ぐのが次の参院選となります。
本日この後、8時30分からの福井テレビ「タイムリーふくい」に〝山中しゅんすけ”が出演します。
テーマは『参院選① 表明者が論戦』。


【「タイムリーふくい」の告知画面(福井テレビHPより引用)】
福井選挙区ではこれまでに、3年前と同じ過去最多となる6人が立候補を表明しており、17日間にわたる選挙戦で何を訴えようとしているのか舌戦を繰り広げます。
放送後はアーカイブもありますので、ぜひご覧ください。
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