2020年11月11日
ありがとう球児、さらば火の玉ストレート
バイデン氏の勝利宣言がご当地アメリカではどう報じられているのかとCNNニュースを覗くと、全く違うジャンルの記事に目が…。
何でも、米ヴァージン・ハイパーループが開発を進める高速輸送システム「ハイパーループ」が米ネバダ州ラスベガスで初の有人による試験運用を実施し、商用化に向けた大きな節目となったとのこと。
このハイパーループはまだ実証されていない輸送システムながら、磁気浮上などの技術が使われた大きな真空のチューブ(パイプのようなもの)の中を最高時速600マイル(約965キロ)で移動。
記事では、試験距離が500mであったため、時速も約100マイルまでしか上げなかったとのことでしたが、今後10年以内の実用化を目指すとのことであり、奇しくも北陸新幹線敦賀開業延期のニュース後ということも相俟って、時代の先を行く、挑戦の国アメリカの技術開発に唸ってしまいました。
さて、昨日は、そんなアメリカの大リーグにも挑戦し、「火の玉ストレート」を代名詞に持つ、阪神タイガースの藤川球児選手(以下「球児」と呼ばせていただきます)が最終登板の後、引退セレモニーが行われ、ライブでじっくり見させていただきました。
球児の引退により、いわゆる「松坂世代」の名選手、記憶に残る選手がまたひとりグラウンドを去ることとなりました。
この日の巨人戦は0-4で阪神ビハインドの中、9回表に登場した球児は、対する原監督の粋な計らいで代打に送られた、これまた球界を代表するバッター坂本、中島選手をフルスイングの空振りにて連続三振、最後の重信選手を内野フライに打ち取り、見事に有終の美を飾りました。
【巨人・坂本勇人選手から火の玉ストレートで三振を奪う藤川球児投手】
高知商業からドラフト1位で阪神に入団した球児でしたが、先発ではプロの洗礼を受け伸び悩んでいたところ、中継ぎで開花、その後抑えの切り札として活躍したのは説明不要で皆が知るところ。
虎ファンの私としても、球児が打者をキリキリ舞いさせる姿、球児が出て来れば試合は勝ったと思える安堵感を幾度も味合わせてもらったことを思い出した次第。
海を渡り大リーグへの挑戦、帰国後は四国独立リーグでプロ復帰を諦めず投げ続け、念願の阪神復帰。
紆余曲折、屈辱と成功入り混じる野球人生でしたが、それを乗り越えてこれたのは、常に「何くそ」、「今に見とれよ」と思う反骨精神があったからこそとのこと。
引退セレモニーでの球児と戦った選手らからのビデオメッセージでは、何と清原和博氏も登場。
清原を持ってしても「バットの上を行くストレートは初めてだった」と言わしめるほど、唸る「火の玉ストレート」は凄かったのでしょう。
そんな球児がマウンドに上がる姿を見れないのは本当に寂しい訳ですが、40歳、22年間全力投球スタイルを貫き通したことに敬意を表し、今後は違う形でプロ野球界を盛り上げてくれることを願いたいと思います。
そして最後に、松坂世代の張本人「松坂大輔」選手には、「目標でいてくれてありがとう」と感謝とエールの言葉を送ったところにドラマがありました。
ありがとう球児、さらば火の玉ストレート。
その反骨精神と直球勝負の生き様からもらった力は、私はもちろんのこと、皆の心の中で生き続けることでしょう。