「認知症ひとり歩き」に対してはハード面の対策強化を

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「行方不明者の届出受理数は、過去10年間ではほぼ横ばいで推移。令和元年は86,933人で前年に比べ1,029人減少。」
 
これは、警察庁生活安全局生活安全企画課が今月発表した「令和元年における行方不明者」報告の冒頭にある総数に対するまとめ。
 

 
総数に続く分析として、男女別では、男性が55,747人(構成比64.1%)、女性が31,186人(構成比35.9%)と男性の割合が高く、男性、女性共に過去5年間ではほぼ横ばい。
 
年齢層別では、20歳代が17,852人で最も多く、70歳以上は増加傾向。
10歳代、20歳代が多い傾向は続いており、動機のカテゴリーにある学業や異性関係によるものなのかと推定するところ。
 
原因・動機別では、疾病関係が年々増加し、令和元年は23,906人(構成比27.5%)と最も多く、このうち認知症又はその疑いによるものは17,479人(構成比20.1%)。
疾病関係に次いで、家庭関係が14,335人(構成比16.5%)、事業・職業関係10,244人(構成比11.8%)の順で多いという結果となっています。
 

 
新聞にも取り上げられていましたが、ここで注視すべきは原因・動機別にある「認知症又はその疑いによるものの不明者」の増加。
 
前年より552人増、統計に認知症を加えた平成12年に較べ1.7倍との結果となっています。
 
この認知症の行方不明問題に関しては、私自身が身近に経験した事例を踏まえ、昨年の12月定例会にて取り上げ、状況確認と意見提起をさせていただいたところであります。
 
なお、ひと昔前は認知症の方の「徘徊」と呼んでいた訳ですが、最近は言葉から来る印象も踏まえ、一般質問の場においては「ひとり歩き」と表現させていただいた次第。
 
この「ひとり歩き」に関する敦賀市の状況に関して、市の答弁では、敦賀みまもりネットワークでのメール配信(ひとり歩きされた方を探す)に至った件数として、平成27年度が2件、28年度が3件、29年度1件、30年度1件、令和元年10月末時点で2件との状況であり、約9割が75歳以上の方であったとの状況説明がありました。
 
敦賀市においては、認知症になっても安心して暮らせるまちを目指し、「ほっとけんまち敦賀」をスローガンに、普及啓発、早期発見、本人・家族への支援、地域での見守りを中心とした認知症施策を推進しているところであり、前述の「敦賀みまもりネットワーク」も地域全体で見守る活動のひとつ。
 
このように先進的事例も含め取り組みを進めている敦賀市であることは理解をしつつ、認知症ひとり歩きにおける「早期発見」のためには、ソフト面での対応に加え、行政からGPS端末の貸与するなどのハード面での対策を進めるべきとの私の提言に対し、市の答弁は「今後、導入市町の利用状況を確認し、有効性の検証等を行い、研究してまいりたい」とのことでした。
 
増加する認知症ひとり歩きに対して、既に他市町においては、GPS端末購入の初期費用を行政で負担するなど取り組みを進めている事例が多くあることに加え、ドコモなど通信機器メーカーを始め、小型GPS端末をシューズに埋め込むなど、実情を踏まえた効果的な対策を多くの企業が開発を進めている状況を踏まえ、発見が遅れることによる不幸な出来事をひとつでも減らすため、ハード対策導入の必要性は益々増しているというのが私の認識であります。
 
ついては、12月定例会での提案から約半年が経過したこともあり、その後の「研究状況」について市の担当課に確認しておかねばと思います。
 
データにて、明らかに認知症を動機とする行方不明者が増加し続ける状況を目の当たりにし、ソフトとハードの両面を組み合わせたあらゆる対策を講じることにより、当事者となるご家族の心身の負担や周囲に与える影響を出来うる限り低減出来るよう、そして何より、認知症の方の「命を守る」ため引き続き取り組んでいきます。