2025年3月18日
「自由を強制する自由」と「自由を放棄する自由」
2月19日からはじまった令和7年第1回(3月)敦賀市議会定例会も、はや今日が最終日。
これに先立ち、昨日は正副議長、正副議会運営委員長と議会事務局にて最終日の議会運営について打合せを行いました。
元々提出された議案も多いところ、議員提出の追加議案(B議案)も複数あること、事前通告のあった採決前の討論通告数も多いことなどから、内容盛り沢山の最終日になろうかと思いますが、従前と同様、市議会インターネット中継や嶺南ケーブルネットワーク(議会チャンネル)などにてご視聴いただければ幸いに存じます。
さて、議案に加え、本日採決を迎える請願1件、陳情2件のうち、請願1号「選択的夫婦別姓制度をただちに導入するよう求めるよう国に意見書採択を求める請願」に関しては、これを反対とする委員長報告に「賛成」、すなわち原案に「反対」することで会派として意思統一をしているところ。
選択的夫婦別姓制度を「ただちに」導入すべきだとする内容に対し、まず大きな問題は「子どもの姓の扱い」。
父母どちらかの姓を引き継ぐか出生時に決める場合、父母が争った場合、あるいは家庭裁判所に委ねようにも合理的な判断材料がないことから氏名が宙吊りになり、子どもの尊厳を脅かす恐れがあり、いま現在、これの解決策が示されていないこと。
また、「旧姓の通称使用」に関しては、政府の第5次男女平等参画基本計画(2020年)で「婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じないよう、旧姓使用の拡大や周知に取り組む」と規定した上で、マイナンバーカードや運転免許証、パスポートで併記できることになっており、法的位置付けが曖昧な現状を改め、法律で使用の権利を担保することで、地方自治体や企業が推進する責務を定めれば、より旧姓を使いやすくなる。
すなわち、旧姓の通称使用拡大で不便を解消する方が妥当とも考えられます。
加えて、私の中では、鳩山紀一郎衆議院議員(国民民主党・東京2区)が述べた、以下の考えに共感するもの。
<以下、鳩山議員のXポスト引用>
選択的夫婦別姓の議論で、多くの人々が見落としているのは、これは「論理」だけの問題ではないということです。根本的な「価値観」が異なる相手を「論理」で説得しようとしてもムダです。賛成派も反対派も、お互いに「自分の価値観が絶対的正義だ」という考え方だけはしないでいただきたいと思います。
日本は基本的に自由主義の国家であり、私も自由主義を大切にしていますが、「自由」という概念は、常に「自己矛盾」の瀬戸際にあることには注意が必要です。
私の政策顧問である長島令和氏も「『自由』という概念が非常に難しいのは、『自由を放棄する自由』や『自由を強制する自由』も成立し得るからだ」とコメントしていました。
たとえば、選択的夫婦別姓の賛成派の一般的な主張は「別姓にするかどうかは、あくまで選択的で自由なのだから、それで良いに決まっているではないか」というものです。
しかし、これは賛成派による『自由を強制する自由』の行使であり、それに対して反対派は『自由を強制するな』と言っているわけです。
一方で、たとえば、選択的夫婦別姓の反対派の一般的な主張は「別姓が増えて、家族の一体感が薄れやすくなるのは、社会全体として大きな損失だから、そんな制度変更はすべきではない」というものです。
しかし、これは反対派による『自由を放棄する自由』の行使であり、それに対して賛成派は『自由の放棄を強制するな』と言っているわけです。
なお、ここで賛成派が反対派を論破しようとして「自由主義」という基本原則を持ち出しても、それは基本的に無力だと言えます。
なぜなら、政治的決定に基づくすべてのルールやシステムは「強制」になり、最終的には「自由」に反しているからです。
つまり、賛成派が「自由主義」を持ち出しても、たとえば反対派から「そんなに自由主義を突きつめたいなら、そもそも一夫一婦制や結婚という制度が自由に反するはずだから、やめてしまおう」と反論されれば、基本的に再反論の余地はないということです。
以上、議論が長くなってしまいましたが、私の主張の本質は冒頭部分に凝縮されています。
そもそも民主主義は、多様な価値観をもつ人々が、一つのルールやシステムに合意しようという難しい挑戦なのですから、「自分の価値観が絶対的正義だ」という考え方は捨てた上で、議論・対話・説得をしていただきたいと願います。
<引用終わり>
最後の考えは、例えば「再エネは良くて原子力はダメ」、またこれの逆然りといったエネルギー政策の議論で考えていただくと分かりやすいのかと思いますが、私自身、様々な意見が割れる事案にぶつかった時も「価値観の絶対的正義」に陥らないよう留意する所存です。
請願の話に戻しますと、こうした考えに基づく会派の賛否は先に述べたとおりですが、皆さんはどう思われるでしょうか。
少なくとも、敦賀市議会として「ただちに導入」を国に意見するのは時期尚早ではないかと。
【カーテンを開けるとわずかに積雪。この後は、昨日できなかった街頭活動に出掛けてまいります。】