「失われた30年」を「失われた半世紀」にしないために

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「静謐(セイヒツ)」とは、静かで落ち着いていること、世の中が穏やかに治まっていることを意味します。
 
昨日の広島平和記念式典ではまさに、この「静謐」の環境を望み執り行われたところ、こども代表の二人が堂々と、まっすぐ前を見つめ「平和の誓い」を述べた後、聞こえてきたのは拡声器(シュプレヒコール)の音。
 
式典前日の夜から原爆ドーム前で座り込みを続けてきたメンバーが、広島市職員が午前5時前から公園外への移動を要請しても拒否。
 
腕を組みながら「集会弾圧を許さないぞ」「帰れ、帰れ」などとシュプレヒコールし、公園内には怒号が響き渡り続けたとのことで、聞こえてきた音は彼等が発していたもの。
 
反戦や核兵器廃絶を日本から世界に強く訴えたいのであれば、それは騒音ではなく、この世のものとは思えないくらいの静寂こそ強いメッセージになると言った方がいましたが、まさにその通り。
 
式典を台無しにするかのこうした行為は、本当に腹立たしくも残念であり、来年こそは静寂から生まれる静謐の中で、式典が開催されることを希求するものであります。
 
さて、話しは変わり、静謐とは逆に、まるでジェットコースターの如く乱高下する日経平均株価。
 
一昨日、前日の4451円安という、ブラックマンデーを上回る過去最大の大暴落から、一夜明けた6日は過去最大の上げ幅で、歴史的な急伸となりました。
 
これに関しては、ちょうど1年前に、財務官僚出身でもある国民民主党の玉木雄一郎代表が、「賃金デフレ脱却を最優先にせよ。その前に増税も引き締めはダメ。」と言っていましたが、日銀の利上げで想定通りの結果になったことを踏まえ、5日には、「言いたいことはこれ。ずっと同じことを言っています。(利上げは)もう少し待つべきでした。」と指摘しています。
 
もちろん私は専門家ではないので、自論を展開するまでもありませんが、玉木代表は昨日、続けてX(旧Twitter)に次のように投稿しています。
 
<以下、玉木代表のXポスト引用>
 
昨日は、まさにブラックマンデー(アゲイン)でした。
 
ただ、株価収益率(PER)を見ても、かつてのバブル期とは比べ物にならないくらい低い(割高感はない)ので、今日あたりは、さすがに反発する可能性も高く、推移を見守る必要があります。
 
ポイントは金利や株価の変動が、実体経済、とりわけ弱ぶくんでいる消費や、まだ浸透が弱い中小企業の賃上げにどのような悪影響を及ぼすか慎重に見極めることです。
 
ゼロゼロ融資の返済や最賃(最低賃金のこと)の引き上げに、追加の金利上昇や景気後退が加われば、中小企業の賃上げは無理です。
 
政府・日銀は、30年ぶりに生まれた賃上げのモメンタムを失わせるような政策ではなく、後押しする政策を徹底すべきです。デフレ(マインド)はしつこいので、政策的にも、ある意味「忍耐」が必要です。
 
ここで失敗すると「失われた30年」が、「失われた半世紀」になってしまいます。
 
米国経済の減速と利下げ観測でドル円はドル安(円高)に修正されていくでしょうから、金融政策が過度に為替を意識する必要はありませんし、そもそも為替の変動を目的に金融政策をやるべきではありません。
 
植田総裁がかつて強調したように、賃上げの動向、特に、中小企業の賃上げ動向に着目した金融政策に立ち戻ることを期待します。
 
その意味で、今回の利上げは早過ぎたし、特に、会見で出した金利を「上げ続ける」とのメッセージは過度にタカ派的過ぎました。
 
<引用終わり>
 
また、この後のポストでは、
 
「結局、問題は賃金なのです。今は物価を無理に下げるデフレ政策より、とにかく名目賃金が伸びる政策を全てやり尽くして、実質賃金が安定的にプラスになる状態を作り出すことが最優先。賃金デフレの反転こそが日本経済の最大の課題であり、追加の利上げはもう少し待つべき。」
 
とも。
 
厚生労働省「毎月勤労統計調査」で、今年6月の働く人1人当たりの基本給やボーナスなどを合わせた現金給与の総額は、前の年の同じ月と比べて4.5%増加し、およそ27年ぶりの高い伸び率となり、物価を反映した実質賃金も27か月ぶりにプラスに転じました。
 

【NHK NEWS WEBより引用】
 
玉木代表が言うよう、ここは「忍耐」、ガマンの時。
 
持続的な実質賃金上昇に支えられてこそ「真のデフレ脱却」と思い、今後の金融・経済政策に注視する所存です。
 
なお、2年前に国民民主党が「給料が上がる経済の実現」を唱えた際、他党の皆さんは、「給料のことは労使の問題だ」と鼻で笑っていましたが、今はどうでしょう。
 
政府も躍起になって「賃上げ、賃上げ」と叫ぶ姿に、日本の政策をリードしているのが実は、国民民主党であることをお分かりいただけるのではないでしょうか。