2025年10月3日
「原子力発電の将来の開発規模」を示したことに大きな意義あり
10月1日(火)に開催された第46回総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会の原子力小委員会。
電気事業連合会(以下、電事連)は、「今後の電力需給を見据えた原子力発電の見通し・将来像について」と題する資料を提示し、将来的に必要となる原子力発電所のリプレース規模に関する説明を行いました。
→電事連の説明資料(原文)はこちらをご覧ください
これを報じた原子力産業新聞によると、第7次エネルギー基本計画に記された原子力発電容量(総発電電力量の2割程度)を達成するためには、2040年代に約550万kWのリプレースが必要で、2050年代には最大で約1,270~1,600万kWのリプレースが必要な可能性があること。
また、今後の発電電力量の推移や、脱炭素電源の導入状況によっては、さらなるリプレースが必要なケースも想定され、電事連は、今後の設備容量の低下(今後、廃止措置に進むプラント増)や原子力発電所建設に係る長いリードタイムを踏まえると、既存の安定電源を如何に更新していくかが重要だと指摘。
そのため、既設炉の最大限活用を進めるとともに、次世代革新炉の開発と建設に取り組む必要性を強調したほか、それら具体的な中長期の見通し・将来像の明示が、人材やサプライチェーン、技術基盤の維持や再構築に直結すると訴えた。
その上であらためて、国による事業環境の整備や、規制予見性向上が重要であると指摘したとありました。

【まさに、こうしたことを整えていくことが必要不可欠(上述の電事連提出資料「今後の電力需給を見据えた原子力発電の見通し・将来像について」より抜粋)】
なお、今回、「原子力の将来の開発規模」を示したことには大きな意義があり、電事連が以下の資料に記したよう、日本が有する原子力人材、高い技術を持つサプライチェーンの維持に向け、原子力発電の必要性をより具体的に説明し、さらには「成長産業」であることを認知いただくことが重要なことと考える次第です。

【今後必要となる原子力発電所建て替えの規模を示す意義(引用元は上記と同様)】
一方、先日の日本経済新聞[社説]にあったタイトルは「構造問題を解決する『国家の大計』を語れ」。
社説では、自民党総裁選の投開票が4日に迫るなか、選挙戦の最終盤に入っても少子高齢化やエネルギーなど日本が抱える構造問題に関する論戦は乏しいとし、各候補は目先の政策に終始せず、数十年先を見据えた「国家の大計」を語るべきだ。
社会保障や食料安全保障に続き、エネルギー政策を巡る論戦も総じて低調であり、特に1基につき1兆円規模の投資が必要とされる原子力発電所新増設の支援や、使用済み核燃料の最終処分、東京電力福島第1原子力発電所の廃炉など、原子力で山積する課題への言及は少ない。
洋上風力発電のコスト高騰問題への対応など、再生可能エネルギーの普及策も不透明だ。緊迫する地政学情勢や気候変動で、安定供給と脱炭素の両立は一段と難しさを増す。
国の安全保障に直結するエネルギー戦略を正面から論じないことは、政権与党の自覚不足とみられても仕方がない。
5人の候補者は党内融和や野党との連携に気を配り、自分の主張を抑える傾向が目立つ。だが国の針路に関する骨太の議論を行い、長期的な国家運営のメッセージを出さなければ、総裁選後も自民党の再生はおぼつかないだろう。
※記事中の「原発」は「原子力発電所」に修正
余談ですが、先の電事連が「リプレース」とまでしか表現(「第7次エネ基」に従い)していないところ、天下の日経新聞が、しかも社説で「新増設」とまで踏み込んでいただいているのはありがたいこと(意図して書いたのかは分かりませんが)。
話を戻し、自民党総裁選に関してはまさに、私も社説に記載のことを感じていたところであり、「仰るとおり」と拝読した次第です。
なお、「批判するなら対案を持て」。
国民民主党においては、国家の根幹を成すエネルギー政策に関し、公約で以下のとおり掲げています。

【7月の参院選における国民民主党政策パンフレットより】
「電力は国民生活と産業活動の血液」であるとともに、「エネルギー戦争」でもあった先の大戦から学んだこととは何か。
原子力基本法制定から今年で70年。
自民党総裁選と照らし、「自分の国は自分で守る」と原子力発電を選択し、命懸けで法律制定に尽力された故中曽根康弘元首相をはじめ、志と信念ある政治家の姿を思い返す次第です。






